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zoom RSS アダム・スミスの発想の根本にあるものは何か?

<<   作成日時 : 2018/07/19 19:09   >>

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 分かったつもりになっていたアダム・スミスの『国富論』を改めて読んでみて、今更ながらアダム・スミスの慧眼ぶりを再認識させられた。少なくとも、今日ドナルド・トランプの「アメリカ・ファースト」政策に対する現役の批判書として、十分な説得力を持つ。逆に言えば、トランプの頭が18世紀以前のものでしかないということに証明でもある。とはいえ、それは、何人かの経済学者が指摘しているように、重商主義的な発想は今日でもなお克服困難であり、度々そのような発想は復活する、ということの証左でもあるだろう。

 アダム・スミスの発想の根本にあるのは、数年前にインターネット関連書籍の翻訳書の邦題として採用された「みんなの意見は案外正しい」(ジェームズ・スロウィッキー他、角川書店)(この邦題は原題とはかけ離れているが)というものにかなり近いと思う。つまりある種の(=市場行動を通した)「集合知」への着目である。そういう意味ではインターネット時代の考えを先取りしていたといえる。

 そして、アダム・スミスの「自由競争市場」とは、そのような実践的「集合知」を集約する場、装置として重要なのである。だからアダム・スミスは、新自由主義者(リバタリアン)たちのように、「自由競争市場」至上主義、もしくは原理主義者ではない。新自由主義者は自由競争市場を経て成立した寡占や独占を承認するだろうが、アダム・スミスは決して寡占や独占を承認しない。またよく読むと民間セクター原理主義も採用していない。アダム・スミスは、最も望ましいものは競争のある民間セクターとしているが、競争を実現することが難しく、独占を認めざるを得ない場合は公的セクターが望ましく、最悪なのは民間セクターによる独占だと指摘している。

 スミスは、『国富論』の巻末近くで税金の徴収方法について延々と述べているが、その発想の根底にあるのは、社会の中に存在する資本として活用される可能性のある資金を政府が下手に税として徴収してしまうと、かえってその資金の社会的有効活用の方途が阻害されかねない、という問題意識であると思う。とはいえ、軍事・防衛費のように公共的に消尽されなければならない分野にたいする負担を分かち合わなければならないところから、税徴収による社会活力の阻害を最小限にするためにはどのように徴収されるべきかについて延々論じているのである。

 個々の税金をどのように徴収すべきかという議論自体は、今日の観点からは、もはや歴史的記述でしかない。ただ、ある資金を、政府が税として徴収して使うよりも、民間に資本として活用させたほうが、社会的有効投資となるという発想はどこから来るのかを考えることこそ、より今日的意義がある。

 実はこの発想は一旦ケインズによって覆されているといえる。というのはケインズは不況時は政府が無駄に穴を掘ったとしても需要創出に有効だと言っているのであるから。とはいえ、時によって、ある資本(資金)を政府よりも民間に任せるほうが効率的に使われたり、あるいは逆に民間に任せるよりも政府に任せたほうが有効に使われるという環境の変化はなぜ起こるのかを考える必要があろう。もちろんこれは、市場が活性化し、資本(資金)に対する需要が大きいときは、その資本を民間に任せたほうが効率的に使われ、市場が不活性で、民間需要が縮小しているときは、政府に、たとえ無駄遣いであっても、使わせたほうが、経済的に良い効果が得られる、という当たり前の話であろう。ただ、一つ問題提起をさせてもらうと、民間の需要が大きかったり小さかったりということは、単純に量的な問題ではないのではないか、という点である。

 さらに言うと、民間の需要が大きいときは、より多数の民間セクターが参入するので、資本をより効率的かつ社会的に有効に使うアイディアが生まれやすいが、民間の需要が少ないときは、参入する民間セクターも少なく、資本を効率的に使うアイディアも生まれにくいという話なのではないのか。そして公共セクターが資本を有効活用しにくいのは、そもそも公共セクターの目的が、売り上げを伸ばす(→それは結果的に、より多くの社会的需要に応える)ことではなく、資源の公正な配分に置かれてるためである、というだけでなく、そもそも公共セクターが単一もしくは少数のセクターからしか構成されていないため、より効率的に資本を活用するアイディアが生じにくい、ということにあるのではないか。

 つまり、より多数のアクターが参入することがより効率的な資本の使用につながる、というアイディアではなかったろうか?






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