8月韓国盤DVD化、韓国映画評

 2014年8月に韓国でDVDとして刊行された(される予定)韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。

 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 8月にDVD化された映画の最大の話題作は、空前の大ヒットとなった『弁護人』。故盧武鉉大統領の駆け出し弁護士時代から人権弁護士へ転身する過程をモデルに描いた作品。映画の王道を行く脚本力に、ソン・ガンホらの演技力、そして当時の権力に立ち向かっていこうとする時代精神への懐かしさ(それは今日の韓国政治の方向性の喪失の反面でもある)で観客をノックアウト。今期最高評点をたたき出しているもの十分に納得。ただその映画の力が現実の政治に対し寄与するものがあるのか、単なるガス抜きに終わっていないかと考えると疑問の余地がない訳ではない。既に本ブログで評を扱っている。
 その次の話題盤は、『バンジージャンプをする』『後宮』などのキム・デウ監督の『人間中毒』。ただその評は、出来損ないのエロと見る人から、人間の深い部分を描いたとする人まで大きく評が二分される。ひょっとしていると新しい境地を開いているのかもしれない。映画マニアを自負する方には見る価値がある映画では?
 さらにだいぶ関心度は落ちるが、スリラー映画『モンスター』。B級映画であることは間違いないようだが、そこにB旧映画ならではの面白さを発見できるかどうかというあたりがキーポイントか?
 そしてさらに関心度は落ちるが、『優雅な嘘』。専門家評は5.8と余り高くないが、一般ネティズン評は今期『弁護人』に次いで高いと言えよう。リピーターの高い評点も特徴的で、ストーリー的面白さで見せる映画ではないようだが、じわじわと情感に訴える良さがあるようだ。そのあたりを評価できるかどうかで好評価か低評価の分岐点になっている模様。Blu-rayの発売も予定されている。監督は『ワントゥギ』『恋愛小説』などのイ・ハン。それに次ぐのが、以前筆者が日本テイストと評したことのある、クォン・チリン監督の『官能の法則』。アラフォー女性のセックス観を描いた作品らしいが、若くて美しい女性ばかり強調される韓国映画界にあって、やはりテーマ設定は日本テイストか。セックスを題材にした映画では韓国では一定低評価評点が入るものだが、その中では比較的健闘している。

 これ以外は多様性映画のジャンルに入る。多様性映画というよりは懐かしの映画に入ると思うが、見逃せないのは1990年の『ぼくの愛,ぼくの新婦』で監督は『デュエリスト』などのイ・ミョンセ。韓国映画史上、画期的なラブ・コメ映画であり見逃せない。今でも高い評点が出ている。ただDVDは字幕なしなのが日本人にとって痛い。
 そして韓国では異例のBlu-ray先行リリースとなるアニメーション『ウリビョル1号とまだら牛』。ウリビョル(我らの星)1号、とは韓国の人工衛星の名前。魔法で少女になった人工衛星と、まだら牛になった男の子の恋愛を描いた、おとなも見られるファンタジーらしいが、Cine21、Daumともネティズン評で7.2と比較的高い。
 そして男と女の心理スリラー『棘』。これはかなり票が割れるが、女性と男性ではかなり感じ方が違うのではないかという評が出ている。男は共感困難な一方、女性は共感可能のようだが、一種のフェミニスト・スリラー?
 そして全般に評点が低いのが『メロ』。金持ちの男にすがりつく貧乏女性を描いた一種の恋愛サイコ・スリラー。私が見た感じでは一種、ミニ、キム・ギドクという印象だったが、これは間違いなく評価が割れる。監督インタビューを見ると、一種格差社会問題を扱いたかったと述べていたが、単純に見れば、貧乏サイコ女性を描いたと見られかねず、貧困層への偏見を増長する逆効果の側面もあるのではという気がする。そのあたりを含めての低評価だろう。

 あとはArt Visonから出た、字幕なしの懐かしの映画。但し、評が少ないので何とも言えない。『愛人 新・イエローヘア(2001)』,『巫女の夜(1982)』,『彼らは太陽を撃った(1981)』,『火の娘(1983)』。このうち、『愛人 新・イエローヘア(2001)』のみ日本盤DVDが出ていた。『火の娘(1983)』はイム・グォンテク作品、『彼らは太陽を撃った(1981)』はイ・チャンホ作品。

 来月発売予定は現在わかっているのは『標的』のみ。中年版『アジョシ』といった辺りで、オリジナリティを評価するかどうかが評価の分かれ目という印象。


なお、韓国版Blu-rayの発売状況は、


8/1 『ウリビョル1号とまだら牛』 KD Media (韓英字幕) Blu-ray先行発売
8/22 『月は太陽が見る夢』 Nova Media (韓字幕)
9/1『優雅な嘘』 Art Service (韓英字幕)
9/2『8月のクリスマス』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『後宮:帝王の妾』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『ハピネス』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『デュエリスト』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『春の日は過ぎゆく』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『シラノ恋愛操作団』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『外出(4月の雪)』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『恋愛とは狂った仕業だ(情愛)』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『ペパーミント・キャンディ』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/2『鳥肌』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
9/26『犯罪の再構成(ビッグ・スウィンドル)』 Nova Media (韓英日字幕) 廉価再発
10/3 『弁護人』 KD Media (韓英字幕)


なお、Nova Mediaの未発再発盤字幕情報は初回版の情報に基づくものであり、確定ではない。

また、『弁護人』のBD発売は延期になった模様。

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