9月韓国盤DVD化、韓国映画評

 2013年9月に韓国でDVDとして刊行された(される予定の)韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。

 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 9月は、第一線で活躍する脂ののった監督たちの作品が目白押し。この中で最大の話題作はチャン・ユニョン監督のハン・ソッキュを起用したヒット作『パパロッティ』であろう。チャン・ユニョン監督は、初長編が韓国ホラーの新境地を開拓したと評された『鳥肌』、それに朝鮮最初の民間女流飛行士、パク・キョンウォンを描き、親日派を正当化する映画だとしてボイコット運動を招いた『青燕』など、その作品は度々話題にはなっていたが、興行成績が追いつかなかった。だが本作で長年の雪辱を晴らした形。過去の作品に関する監督インタビューを見ても、大学教授を思わせるかなりの理論派であることが感じられて面白かったのだが、やや作品に理が勝ちすぎるところが難点だった。ただ今回ネティズン評を見ると、やや作為的であるものの感動的という評に見られるように、情感面で進歩があったようだ。Daumで9.4と今月最高評価、Cine21でも7.4と好評。
 その次の話題作は『全国のど自慢』か。監督は新鋭イ・ジョンピルで、昨年『アンサンブル』で長編映画デビューしているものの殆ど話題になっていなかった。笑いや感動の強要がなく、庶民の日常から来る笑いを温かく描いた作品のようだ。Daumで7.9、Cine21で7.5と好評。そういえば日本でも井筒和幸監督が『のど自慢』という映画を撮っていたっけ。
 その次はアクション・コメディ『ランニングマン』か。監督はやはり新鋭チョ・ドンオで、この人は『ビート』『武士』『ユリョン』等、アクション系商業映画の助監督を長年つとめてきた。シン・ハギュンの演技に負うところが大のようで、Blu-ray発売も予定されている。Daumでは7.9と高く、Cine21でも7.1と健闘。
 そして個人的にもっとも注目しているのはイム・スルレ監督のポリティカル・コメディ『南へ高飛びしろ』。本作は国内10月のコリアン・シネマウィークでの上映が予定されている。Daumで8.2とかなり高いが、Cine21は7.0とまずまずといったところ。専門家評は6.8と今月最高。
 そして『恋愛の温度』。この作品は先日評を書いたのでそちらをご参照頂きたいが個人的には気に入っている。ロマンチックではないリアルな恋愛関係の描写が話題。Daumで7.8、Cine21で7.2。監督は女流新鋭ノ・ドク。

 「多様性映画」の中では最近監督活動に熱を入れている俳優ユ・ジテが撮った『マイラティマ』がDaum8.1と高い。日韓合作の浅川巧伝記映画『道』に出ていたペ・スビンの演技が高く評価されている。
 そして、かつてイ・ヨンエを起用した『ラスト・プレゼント』で人々を感動させたベテラン、オ・ギファン監督が中国で撮った恋愛メロ『離別契約』。Daumで7.4と健闘しているものの、監督のセンスは古いと韓国の観客からはやや冷ややかな評を受けている。
 そしてDaumとCine21で対照的評を受けているのが『ヨンコン探偵事務所』と『始まりと終わり』。『始まりと終わり』は『五感図』の拡大版のようで、韓国盤DVDも『五感図』とセット販売がある。『ヨンコン探偵事務所』はインディー映画で頑張ってSFアクションを撮ったというあたりのようだ。

 そして古典映画では韓国映像資料院の『トスニ』(1963)。変動期の韓国をたくましく生きる若い女性を描いた作品のようでCine21の唯一の評者が10点をつけている。DVDは日本語字幕付き。この作品も個人的には注目。

 来月に入ると、現在予告されているものは『またウェブ漫画: 予告殺人』これは、あまり怖くないホラー映画が多い韓国にあって、かなり怖いと評判。そして芸能界のセックス接待問題を告発した『慰み者』。製作意図はいいのだが、映像の方はAVまがいで、第二の『トガニ』になり損ねたという評が出ている。他に魚の3D映像が迫力のお魚ドキュメンタリー『スーパーフィッシュ』。そして済州島4.3事件を扱って話題の『ジスル』、独特なメロ or ホラー『幻想の中のあなた』、森林保護を扱ったらしいドキュメンタリー『踊る森』が予告されている。

韓国盤Blu-rayのリリースは

9/4 『イル・マーレ』 Warner Korea [韓英字幕]
9/4 『江原道の力』 Contents Zone [韓日英字幕] (発売延期となっていたもの)

10月に入って
10/2『ランニングマン』 United Entertainment Korea [韓英字幕]

画像


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