思わぬ拾いもの 台湾短編映画集DVD『天黒.夏午.闔家觀賞』

画像 台湾の新鋭による短編映画集DVD。3作品に特に関連はないようだ。いずれも印象的な作品であり、今後の映画界での活躍が楽しみな監督たちだ。

 第1作目は張榮吉監督の『天黒(The End of Tunnel)』(2008年, 37分)。盲人の音楽の好きな男子高校生と、失恋の痛手を受けたばかりの女子高校生の心の交流を描く。
 目の見えない男子高校生(黄裕翔[ホアン・ユィシアン])。彼は晴眼者に混じって高校に通っている。彼は5歳までは目が見えたものの、ある日海岸に家族で遊びに行った時に突然視界が暗くなり以来盲目。当初は目が見えなくなって閉じこもっていたものの今は大好きな音楽、ピアノを通じて人々とつながっている。一方もう一人の女子高生(張榕容)。彼女は付き合っていた彼氏に振られたばかり。悲しみに暮れる彼女の耳に音楽室からピアノの音が聞こえてきた。ピアノの音に惹かれて音楽室に行ってみると盲目の少年がピアノを無心に弾いていた。彼のピアノに癒される彼女。そんな彼女はお礼に彼を失明以来の海に連れて行く...

 たわいないストーリーと言えばそれまでだが、とにかく愛らしく気持ちの良い心温まる短編。そして男子高校生を演じる黄裕翔は実際に台湾で活躍する盲目の若手ピアニスト。そして本作品に出ている張榕容も今まで見た作品中最も魅力的。

 本作品は、台北映画祭最優秀短編映画賞及び金穂賞審査員特別賞を受賞するとともに2010年Tokyo Downtown Media Festivalにて国内上映もされている。

第2作は、何蔚庭監督のモノクロ作品『夏午(Summer Afternoon)』(2008年, 16分)。
 茶髪の二人の若い女性と若い男性が運転する車が山道を行く。前の助手席に座る女性と運転する男性は恋人同士らしく、後部座席の女性はお邪魔虫状態。機嫌の悪い後部の女性は突然、「おしっこがしたい」と叫び出す。彼女が小用を足して車に戻ろうとすると、車に残った二人は更に盛り上がっており、終いに彼女に見せつけ、あざ笑うかのようにセックスを始める。それを見た彼女は突然...

 突然の暴力的なシーンと感情の切れ具合の描写が印象的な一作。

第3作は郭承衢監督の『闔家觀賞(Family Viewing)』(2008年、28分)。
 ある週末の朝、林家の家に突然フランスのTVクルーが訪れる。何でもフランスの人気番組だそうで、世界各国の普通の家庭を訪れてその家庭の様子を記録し、ファンの投票によって一番人気となれば約4万台湾元の賞金をくれるのだという。そしてフランス人のカメラマンと林家の奇妙な一日半が始まる。何とか頑張って賞金を取ろうとする娘(桂綸鎂)、台湾家族の恥をさらしてはならないと緊張する父母(陸弈靜と李天柱)。だがそこには一人の家族メンバーの姿がなかった。そしてそれは林家で一番気にしている点であった。
 無事フランス人カメラマンが帰った翌朝、家の新聞受けにDVDが一枚投函されている。そこで林家は衝撃の事実を知るのだった。

 前半は家族の姿をユーモラスかつ笑いを以て描いていくが、最後に驚きの逆転劇(と感動)が待つ家族ドラマ。だが同時に、そこには家族の絆の意味と同時に絆の限界、切なさを非常に上手く提示した作品。アイディアも秀逸である。
 さほど期待していた訳ではなかったが、これは思わぬ拾いもの。是非皆さんにも一見を薦めたい。

 台湾盤DVDは前2作はアナモルフィック収録。第3作のみ4:3のレターボックス収録になっている。パッケージには正しくスクリーンフォーマットが記載されている。画質はやや甘めながらも繊細感があり、色彩、コントラストとも良好。

DVD(台湾盤)情報
発行・販売 采昌国際多媒体 画面: NTSC/16:9(1:1.85)&4:3(1:1.85) 音声: Dolby2 北京語
本編:37, 16, 28分 リージョン3 字幕:中/英(On/Off可) 片面一層 2010年 4月発行 希望価格NT$299

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