テオ・アンゲロプロス『ユリシーズの瞳』DVD評

画像 テオ・アンゲロプロスが1996年にフランス、イタリア資本で撮った作品。それまでギリシャ現代史を扱っていたアンゲロプロスが、視点をバルカン半島に拡大した作品と言って良い。

あらすじはこちら(goo映画)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD17013/

 ハーヴェイ・カイテル演ずるギリシャ出身の映画監督Aが探す映画が20世紀初頭にギリシャで初めて映画を撮ったマキナス兄弟が撮影したはずのバルカン半島に関する未現像の記録映画。
 もちろん20世紀の初頭に撮った未現像のフィルムが100年近くも経って現像できるはずもない。フィルムが冷凍されていれば、フィルムの未現像の潜像が残っている可能性はあるが、常温で保管していれば化学反応が進行し、潜像は消えてしまっているはず。
 だからマキナス兄弟の撮った未現像のフィルムとはちょうど『薔薇の名前』に出てくるアリストテレスの「失われた」、『詩編 第3部』と同じ役割を果たしている。

 つまりそれは、失われたバルカン半島の平和な人々の暮らしや文化の象徴なのであり、それをふらふらと彷徨しながら探す行為は、バルカン半島の平和を取り戻す難しい道のりのシンボルなのである。だからこそ、Aはサライェボへと向かうのである。

 そしてドナウ川を運び出されるレーニン像にも、そこに象徴的な意味が込められているのは当然。

 なお、arte videoのフランス盤DVDの上映時間は公称170分、日本版は169分であるが、ほぼ同一。ちなみにIMDBによれば公称176分なので、やはりPAL 4%スピードアップが行われてる。なお、arte video盤の解像度はやや甘め。おそらく日本版も同じソースからNTSCを起こしているものと思われ、多少明るさのレベルが異なったり、NTSCの分やや解像度的に不利な部分はあるが、映像の傾向はほぼ似ている。わざわざ海外版DVDを求める必要は、将来Blu-ray Diskでも出ない限りないだろう。

原題『Le Regard d'Ulysse』英題『Ulysses' Gaze』監督:Theo Angelopoulos
1996年 ギリシャ=フランス=イタリア映画 カラー

DVD(仏盤) 
発行・発売:arte video 画面: PAL/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 英・希語 本編: 170(本作)分
リージョン2 字幕: 仏(On/Off可) 片面二層(2枚組) 発行年2007年5月 希望価格 Eur 22.99
※『永遠と一日』とセット

DVDビットレート比較(上 仏盤平均5.18M/s、下 日本盤平均5.68M/s)
画像

画像


仏盤は前の2/3はほぼビットレート固定、日本盤の方がまじめにエンコードしている。

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