2010年上半期台湾大ヒット映画 『一頁台北 (さよなら台北)』

画像 本年度ベルリン国際映画祭で最優秀アジア映画賞を受賞した台湾映画。台湾でも今年大ヒットとなった作品。夜の台北の街をファッショナブルに描いたロマンス&活劇映画。

 小凱(姚淳耀)は大学を卒業したフリーター。今は家業の中華そば店で仕事を手伝っている。彼には大学時代から付き合っていたフェイという彼女がおり、彼女とパリに行こうと約束している。だが金のない彼は、一足先に彼女をフランスに旅立たせ、お金を作ってからパリで合流しようと計画中。今はパリの彼女の留守電に定期的に連絡を入れる毎日。
 そんな彼は、台北の書店に毎日やってきてはフランス語テキストコーナーに座り込み、フランス語のテキストを読みながらフランス語を自習している。その書店で店員として働いているスージー(郭采潔)は、毎日やってきてはフランス語のテキストを座り読みする彼が気になって、ある日声を掛け、彼らの間に会話が始まる。
 一方、ヤクザで今は合法的に不動産屋や貸し金業を営む豹哥(高凌風)。彼は海南島出身の女性に惚れ込み、引退して部下の小洪(柯宇綸)に仕事を譲ろうとしている。だが小洪の方はボスの財産分与に不満。ボスからもう少し財産をくすねようと皮算用をはじいている。
 そして警官の基永(張孝全)。彼には美人の妻がいるが、仕事が忙しく妻との生活はすれ違い気味。今日も妻が夕食の準備をした矢先、部下からの呼び出しがかかり、食事もせずに家を出て行った。
 小凱は度々パリにいるフェイに電話するが、なぜかいつも留守電。ところが珍しくフェイから電話が来た。喜んで電話に出る小凱。しかしその電話は彼女からの別れ話だった。ゆっくり金を貯め、フランス語を自習してからパリに行くつもりだった小凱。しかしその電話で急遽パリに行き、彼女を説得することを決意する。しかし金は...?
 そこで自宅の食堂の常連客だった豹哥が何かあれば連絡するようにと言われていたことを思い出し、慌てて豹哥のところに行くと、彼は気前よく好条件で金を貸してくれるという。その代わり謎の包みを豹哥のヤクザ時代の若頭だった文朝(楊士平)から受け取り、それをパリに持って行くことを条件づけられる。
 航空券の手配を終えた小凱は言われた通り、友人の高高(姜康哲)にバイクに乗せて貰って、文朝から包みを受け取り、さらに食事に立ち寄った食堂でスージーに出逢う。ところが、その直後、その包みを横取りしようと小洪が手配した彼の手下に追いかけられる羽目に。彼らの手から逃れようと小凱はスージーを連れて逃げるのだが、高高とはぐれてしまう。さらにヤクザの取引を見張っていた警官基永らに追いかけられ、パリ出発を翌日に控えた小凱と、スージーは夜の台北の街を彷徨う。一方彼らとはぐれた高高は、人質として洪の部下に捕らえられ、彼らから、高高の命を助けたければ包みを渡せと小凱の携帯に連絡が入る。共に手を取り合って逃げ回る中、小凱はスージーへ芽生えたある感情に気づいていく... そして小凱たちは高高を救い出せるのか...

 付録ディスクの監督インタビューを見ると、台北の地下鉄(捷快)がフランス製であることから、台北をパリに見立てて映画が作れないかというアイディアから出発したという。 今日的な台湾の若い男女が台北の一夜を縦横無尽に駆け回りつつ、台湾的エキゾティックな要素(屋台、ヤクザetc.)を加味しつつ、ラブロマンス、コメディ、アクション的要素を混ぜ、台北の街をファッショナブルに描いたところが持ち味。出てくる男の子が草食系っぽいのは日本の影響か。

 本作を見て思い出したのは、フランスのジャン=ピエール・リモザン監督が日本で撮った『Tokyo Eyes』(1997年、吉川ひなの、武田真治主演)。『Tokyo Eyes』の方が暴力的な要素が強く、ラブ・ロマンス的要素は少ないものの、若者たちがアジアの都市を縦横無尽に駆け回るという要素は共通するものがある。本作は台湾の監督(といっても下のプロフィールを見れば分るようにアメリカ育ち)によって撮られているものの、いかにも欧米好みな『Tokyo Eyes』の台北版という印象。

 監督の陳駿霖(アーヴィン・チェン)はボストン生まれのサンフランシスコ育ち。カリフォルニア大バークレー校で建築を専攻するが、アメリカ在住時にエドワード・ヤン導演工作室でアシスタントを務める。卒業後台湾に渡りエドワード・ヤンの『ヤンヤン 夏の想い出』の制作に参加。2年後に再びアメリカに戻り南カルフォルニア大学で映画修士を取得。卒業制作の短編映画『美』(2007年)でベルリン国際映画祭短編部門銀熊賞。本作が初長編監督作品。以上情報は 台湾電影筆記 http://movie.cca.gov.tw/files/15-1000-2255,c14-1.php の陳駿霖監督紹介より。

 本作品は2010年福岡アジア映画祭にて国内公開された。[追加情報]また『台北の朝、僕は恋をする』との邦題で国内公開が決まった。

 なおDVDは今のところ台湾盤のみ。発行元は天馬行空でしかもちゃんとアナモルフィックなので画質は申し分ない。一般的な国内盤DVDを上回る高画質。

原題『一頁台北』国際題『Au Revoir Taipei』監督:陳駿霖
2010年 台湾映画

DVD(台湾盤)情報
発行:天馬行空数位 発売: 迪昇数位影視 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 北京語 本編: 85分
リージョン3 字幕: 英/中(On/Off可) 片面二層(付加映像付き2枚組) 2010年 7月発行 希望価格$NT399

付記
『台北の朝、僕は恋をする』(国内公開邦題) 公式ページ
http://aurevoirtaipei.jp/






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この記事へのコメント

夏期休暇
2010年11月07日 11:59
こんにちは。「一頁台北」、来年3月公開が決まったようです。邦題は「台北の朝、僕は恋をする」です。大きなスクリーンで台北の街を見ることができますね。とても丁寧な作品紹介をうなずきながら拝読させていただいています。これからも作品の紹介、お願い致します。
yohnishi
2010年11月09日 23:10
貴重な情報提供有り難うございます。この映画の記事は比較的アクセス数が多いので、日本でも結構関心を持っている方が多いと思っていました。日本でもヒットをすると良いのですが...

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