NYを舞台にエスニシティを肯定的に捕らえた心温まるロマンス映画 『Bella』

 2006画像年、ニューヨークを舞台に撮ったアメリカ映画。様々な異民族が行きかうニューヨークで、彼らの持ち込むエスニシティを肯定的に捕らえて展開される、メロ・ロマンス映画。

 国際的に活躍するあるヒスパニック系アメリカ人のサッカー選手が、高額な契約に署名するために意気揚々とゴージャスなオープンカーを運転して契約場所へと向かう。その直後、悲劇がそのサッカー選手を襲う。

 その数年後、ニューヨークにあるメキシコ料理レストラン。そこでたびたび遅刻してくる白人ウェイトレスのニナ(タミー・ブランシャール)が、店主のマニー(マニー・ペレ)によって解雇を宣告されてしまう。実は彼女はその朝妊娠検査薬を買いに行って、自宅で検査していたため遅刻してしまったのだ。彼女は妊娠が明らかになるが、父親たる恋人とは破局したばかり。とても子供を生める状態ではない。妊娠の上、解雇と踏んだりけったりの彼女は足早にレストランを後にする。彼女のただならぬ様子を見て、その後をレストランの主任コックで、ナニーの弟ホセ(エドゥアルド・ヴェラステギ)が仕事を放り出して後を追う。
 ホセは彼女から事情を聞き、まずランチをご馳走するとともに、ランチを食べに行った店で彼女の仕事口を手配する。さらに、海に行こうと誘って、ニューヨーク郊外ペンシルバニアの海の近くにある、彼の両親の住む家に招待する。
 ニナはそこで、ヒスパニック系であるホセの家族関係の暖かさに触れるとともに、ホセの抱えていた心の傷やホセの両親の隠された大きな秘密を知ることにもなる...

 本作品の特徴を一言で言えば、人間関係が希薄化していく都市社会において、ヒスパニック系の家族を大切にしようとする規範が、人々の家族同士(やコミュニティ)のつながりを回復させる契機になる可能性を強調したラブストーリー作品。その意味で多民族社会のエスニシティを肯定的に捉えようという思考が強く感じられる。これは、監督・プロデューサーともにヒスパニック系であるから当然のことなのかもしれない。やはりヒスパニックのネガティブな面ばかり見ないでポジティブな面も見てよ、という気持ちから作られたのではないかと思う。
 見れば心温まる気持ちになる作品であるのは間違いない。ただ基本的に善人ばかりが出てくるので、多少甘いという評価はあるだろう。でもこの映画を見ると、ヒスパニック系の人々と付き合ってみたくなるような気持ちになる。題名どおり「美しい」映画。

 本作品は2007年トロント国際映画祭で観客賞を受賞。但しアメリカの映画批評誌の評価は概して辛めで、安手のメロドラマと批評しているケースが多い。その原因は、出てくる人が皆、善人ばかりで悪人がほとんど出て来ず、絵空事と感じられる部分があるためではないか。それがマルチカルチャリズムを肯定的に受け止めようとする理想主義的志向の強いカナダと、多民族のマイナス面が目に付くようになったアメリカの観客・批評家との受け止め方の差として現れているように思われる。

 本作品は、日本国内未公開。

 監督のアレハンドロ・モンテヴェルデは1977年メキシコ・タンピコ出身。数編の短編映画を撮った後、本作が長編デビュー作。その後何本かの映画製作に携わっているとともに、進行中の企画もあるようだが、まだ2作目は世に出ていないようだ。以上IMDBの情報より。
 またエドゥアルド・ヴェラステギはメキシコでモデル、俳優、歌手として活躍。本作品のプロデューサーも勤めている。

原題『Bella』監督:Alejandro Monteverde
2006年 アメリカ映画

DVD(US盤)情報
発行:Lions Gate 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 英語 本編: 91分
リージョン1 字幕: 英・西 (On/Off可) 片面二層 発行年2008年5月 希望価格 $14.98


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