弱肉強食社会を描いた中国映画『小蛾(シャオオー)の行方』

画像 中国のインディー系映画で世界的に大きな注目を浴びた作品。2009年に中国インディペンデント映画祭2009他で上映されたようだ。

駱江と桂花の夫婦は、叔父から女の子を売りたいという男がいると聞く。男は、妻に先立たれた上飲んだくれで、足の病気で歩けない女の子を病院に連れて行くことも出来ない。それで100元で娘を売ろうというのだ。夫婦は、その男から小蛾という名の11歳のその少女を買い、まずその娘を連れて都市に出て病院に行くと、その娘は地元で言う血蝉病という血液の病気を患っており、その結果足が歩けないのだという。農村出身で貧しく十分な医療費が工面できないというと、医師は漢方薬を多少無料で分けてくれる。
 なんとまぁ奇特な... と思いきやそうではない。夫婦はまずその都市で、短期滞在のため家を借りる。家に着き、桂花が小蛾のため、貰った薬を煎じようとすると、駱江は「馬鹿なことをするな」と言って阻止しようとする。「金を稼ぐために病気の娘を買ってきたのに、病気を治してどうする」
 果たして、夫婦は足の悪い小蛾を利用し、哀れを誘って物乞いで金を稼ごうとしていたのであった。とはいえ、夫から馬鹿にされている妻の桂花が小蛾を心から哀れに思って夫の寝ている間に、小蛾の世話を一所懸命することだけが救い。物乞いを始めて数日、彼らが家に帰ると男が家の前で二人立っている。「農村から来て一時的に住んでいるんだろう。ここはうちの縄張りだ。みかじめ料を出せ」
 更に数日、駱江は同じ街で、右腕のない男の子を使って同じ商売をしている男を見かける。やがて駱江にその男、楊が近づいてきて、「同じ商売をしているなら、ここは俺の縄張りだ。みかじめ料を寄越せ」駱江は楊と話しているうちに、叔父の知り合いだということが分かり、駱江は楊の弟分になることにする。
 駱江が楊とその連れの男の子小春を家に招き、大人たちが酔っぱらって寝込んでしまうと、小春は小蛾に逃げようと提案し、二人で逃げ出してしまう。そして小春の本当の父親の家を探すのだが、父親は転居しており、二人は途方に暮れてしまう。そこへ以前道で通りかかって小蛾に哀れみを掛けてくれた金持の夫人が通りかかり、二人を家に連れて行く。

 一方、子供たちに逃げられた駱江と楊はパニックになる。子供たちに警察に申告されたら、自分たちが逮捕されてしまう。すぐにずらかろうとするが、桂花は小蛾を心配して何とか探そうと主張する。駱江は小蛾を単なる道具としか見ていないので、新しい子供を買えばいいと主張するのだが、桂花は聞き入れない。そこで、楊は、桂花と共に小蛾を探すから、駱江は叔父の元に相談に行ったらどうかと提案し、駱江は同意する。しかし楊には腹黒い計算があった。そのまま桂花を連れだし、臓器売買のために売り払ってしまおうと考えていたのだ...

 いや、とにかくすさまじい映画だ。まさに弱肉強食、例え病気の女の子であっても食い物にしよう、隙あらば他人を食い物にしようという、中国社会の拝金主義のすさまじさに圧倒される。その一方で、他人に対して無関心でない「情」の側面も確実にある。哀れを誘う物乞いが効率的な金儲けとして成立するのもそれ故である。だが概ね無私な「情」を掛けることは結局「馬鹿」なのだ。
 その一方、小蛾たちを救う夫人は、この映画において唯一の希望に見える。だが結局彼女の「情」も金勘定ではないにせよ、利己的な思いから発するものでしかないという意味では同じことなのだ。
 そして駱江は、叔父から楊は臓器売買を手がけていると聞き、そこで初めて自分の妻を自分が非常な危険に陥れてしまったことに気づき、必死に妻を捜す。利己的であった駱江はそこで初めて人間の情に気付いたのか、はたまた、単に男としての面子で動いているのか... その解釈は視聴者に任せられるであろう。

 なお、台湾盤DVDには ASPECT RATIOとして、Anamorphic 16:9と表示されているが大嘘。実際は4:3のフルスクリーン収録である。リージョンは3と書いてあるが実際はALL。

原題『血蝉』英題『Little Moth』監督:彭韜
2008年 中国映画

DVD(台湾盤)情報
発行: 波音数位科技(Boeing Digital Tech) 画面: NTSC/4:3(1:1.33) 音声: Dolby2北京語
本編: 99分 リージョンALL(表示は3) 字幕: 中/英 片面一層 2009 年 5月発行 希望価格 NT$525


映画生活「小蛾の行方」
http://pia-eigaseikatsu.jp/title/153122/

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