実在のある女子高生自殺事件を元に描いた韓国映画 『軽い眠り』

画像 1999年、韓国である衝撃的で痛ましい事件が新聞を賑わした。それは両親に死なれ、幼い妹との生活を維持するために援助交際を続けていた女子高生の自殺であった。もちろん移り気な韓国社会のこと、人々は瞬く間にこの事件を忘れてしまっただろう。しかし、この事件を風化させてはならないと考えたある映画監督が、その事件をモデルに映画を撮った。それがこの作品である。

 16歳の女子高生、ヨリン(チェ・アジン)。彼女には最近彼氏が出来た。それは優等生のジュゴ(ユン・チャン)。スジンと(ホン・アルム)一緒に行った合コンで知り合ったのだ。傍目にはどこにでもいそうな平凡な女の子だが、彼女は夜眠れず睡眠薬を常用している。実は両親が2年前にひき逃げされて亡くなり、幼稚園生の妹ダリン(リュ・ヒョンビン)と二人暮らし。しかも母親の遺体は事故の際の入院費が払えずにその代わり献体したためまだ返却もされていない。時々市の児童福祉担当の課長ホンシク(イム・ヒョングク)と職員のジヨンが様子を見には来るが...しかもひき逃げとはいえ目撃者もいないということで生命保険もなかなか下りない。
 実はスジンがヨリンを合コンに誘ったのは、元々彼女がジェゴに関心を持っていたためだということが分かる。しかもヨリンとジェゴが良い雰囲気になったので妬いているようだ。しかもジェゴとデートしている間にダリムがけがをしたこともあり自分がジェゴの彼女でいる資格がないような気がして、ジェゴとも距離を置こうとし始める。
 そんなある日、ホンシクがなぜかヨリンをドライブに誘う。そしてドライブ先である事件が....

 映画は決して告発調ではない。また彼女が援助交際をしていたという事実もあからさまに描かれる訳ではなく、あくまでも暗示されるだけだ。ただ彼女は外見は普通の女子高生でいようとして、彼女の抱える困難を外部に対して隠そうとすればする程、苦痛は彼女の内面に積もっていき、そして世間から切り離されていく、あるいは世間とコンタクトを取る資格がなくなってしまったかのように思わされる、そんな彼女の内面を再構成し追体験するように映画は進行していく。そのような抑制的な作劇法がこの悲劇の悲惨さをより鮮明に伝えている。

 なお、映画の進行中、回想シーンで時間軸が前後する部分がある。多分事件を知っていればすぐ分かるのだろうが、事件を知らないで見ていると、回想シーンと一般シーンの映像上の区別がつきにくいので要注意。

 本作品は韓国映画振興委員会の資金的支援を受けて制作された,低予算のインディペンデント映画。そのため名の知られた俳優は出ておらず、演技面でも限界は感じられるが、それでも見る価値のある映画だと個人的には思わされた。

 監督のイム・ソンチャンは1968年生まれ。映画製作所チャンサンコメ出身。過去数多くの短編映画を製作し、2000年にはインディーフォーラム観客賞、釜山アジア短編映画祭審議委員特別賞、観客賞、2001年大韓民国映像対戦最優秀賞などを受賞し高い評価を得てきた。本作が長編第1作。

原題『가벼운 잠』英題『A Light Sleep』監督:임성찬
2008年韓国映画

DVD(韓国版)情報
販売: WIDE Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 96分
リージョンALL 字幕: 韓/英 片面一層 2009年3月発行 希望価格W19800



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 4

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック