彭浩翔映画製作七周年記念作 『破事兒 (些細なこと)』

画像 今や東京国際映画祭(TIFF)常連ながらも、一作も劇場公開されないパン・ホーチョン2008年お正月映画(2007年暮れ公開)。映画製作開始7周年と言うことで、7つのエピソードのオムニバス映画。この作品も2008年秋のTIFFで日本上映された。

○不可抗力
 ベッドで達することの出来ない夫婦がそれぞれ心理カウンセラーに(しかも夫は心理学の教授でそのカウンセラーの元指導教授だった...)打ち明ける話。二人とも自分にとっては良くないが相手にとってよかれと思ってやっていることが、全く空回り...

○公徳心
 ある男(エディソン・チャン)が女性(ステファニー・チェン)に切々と語る、彼のトイレにおけるマナーとは...

○做節
 ある男(イーソン・チャン)が彼女(陳逸寧)と同棲しているが、彼女は一向に応じてくれない。せめて口だけでもと頼んでもNo。ところがなんとかクリスマスの晩、今日は記念日じゃないかというと、しぶしぶ口で応じてくれた。それから彼が考えたのは...

○徳雅星
 今から2500年後、ある星に地球から移住してきた人類の子孫が語る、その星の名前の由来は、お金を掛けずに彼女にプレゼントをしようと思う、ある男の子の思いから始まった...

○大頭阿慧
 阿琪(ステフィー・タン)はカラオケ大会出場のため阿慧(ジリアン・チョン)と練習したことをきっかけに阿慧から親友と見込まれるが、阿琪にとっては単なる友人の一人に過ぎない。しかし何かと阿慧から相談を受けたり、一緒に食事に行こうと誘われ、すこしうざったく感じていた。画像
 たまたま阿慧が自動車修理工の飛鷹から誘いを受けつきあうべきか相談を受けたので、厄介払いに丁度いいと、つきあえばと返事した結果...

○増値
 ある男(チャップマン・トー)がホテトル嬢を予約すると彼女(張錚)は本土から出てきたばかりの出稼ぎの女の子であった。事が終わると、広東語が分からず携帯電話のチャージの仕方がよく分からない彼女にチャージを頼まれる。

○尊尼亞(ジュニア)
 ある会社社長下に、突然ある営業マンが押しかける。実は彼は殺し屋の営業マンだったのだ。社長はVIP顧客になり、新しいプロモーションサービスを受ける権利が出来たという。その一つはアンチ殺人プログラム。別の顧客から彼の殺人依頼を受けた場合、連絡を受けることが出来、2倍料金を払うと、逆にその依頼人を殺すという。もう一つは12回殺人を依頼をると1回無料サービスをつけるという。但し、その1回のサービス分はJHTP(Junior Hitman Training Program)つまり見習の殺し屋が請け負うというのだ。そして既に12回依頼を受けたので今回無料殺人券を進呈するという。
 という訳で、サービスの殺しを依頼してみたところ、その仕事ぶりは...

 今回の作品、大笑いする作品ではないが、すくっと笑わせられるエピソードが詰まっている。「七個故事一部喜劇」のキャッチフレーズ通り。同時に改めてパン・ホーチョンらしさに気付かされた。つまり、全てのテーマがコミュニケーションのずれなのである。コミュニケーションを取る双方がそれぞれ別、もしくは、ずれた思惑をもって接することでコミュニケーションが(一応)成立している。しかし、決して完全に一致している訳でも、ほつれなく「共同主観的」にコミュニケーションが形成される訳でもない。むしろ「呉越同舟」的な性格こそコミュニケーションの本質である... それがパン・ホーチョンの言いたいことなのではと思わされる。その特徴は第1エピソード「不可抗力」で最もクリアに描かれるが、他のエピソードのいずれでも明らかであろう。
 考えて見ると過去のパン・ホーチョンの映画、主に男と女の間で描かれることが多かったが、すべてこのコミュニーケーションのズレ(決してコミュニケーション「ギャップ」ではない)がテーマだった様に思う。

 題名通り「些細なこと」を描いた映画であり、決して大仕掛けな大作映画ではないが、パン・ホーチョン映画のエッセンスが詰まった、7周年にふさわしい映画だと言えよう。

原題『破事兒』英題『Trivial Matters』 監督:彭浩翔
2007年香港映画

DVD(香港版)情報
販売: KAM & RONSON Enterprise 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby6.1/DTS 広東語/北京語 本編: 90分
リージョン: 3 字幕: 中/英(On/Off可) 片面二層 2008年2月発行 希望価格

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