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zoom RSS 『Touch』 - ミン・ビョンフン監督のキリスト教的テーマを扱った韓国映画

<<   作成日時 : 2015/03/24 23:02   >>

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画像 『ブドウの木に学べ』『ミツバチが飛ぶ』など、ロシアで映画を学びキリスト教的テーマを継続して手がけてきたミン・ビョンフン監督の2012年作品。

 元射撃競技国家代表だったがアル中のためすべてを失い中学校の射撃コーチをしている夫パク・ドンシクとその妻で病院の看護師をしているイ・スヨン、そして一人娘ジュミの一家。スヨンは、家族からいやがられている死が間近に迫った老人たちを、家族から金を取って、家族不在と嘘をついてキリスト教系の慈善療養所に送り込んだり、違法な薬を患者から金を取って飲ましている不良看護士。それも生活苦、生活不安から起因することだった。

 だがスヨンが嘘をついて患者を度々療養所に送り込んでいることが問題視され、療養所からこれ以上患者を受け入れないと宣言され、さらに違法薬物を患者に投与したことが病院側にバレ免職に。
 そしてドンシクはコーチ職の契約更新がなさそうだとの話を聞き、理事長に直訴しに行ったときに酒をのむことを余儀なくされ、そのことに起因して重大な事故を起こしてしまう。
 そんな危機に陥ったある日、ジュミの姿が見えなくなる...


 本作品のテーマは一言で言えば「赦し」であろう。罪を犯した人間も許されうる... そういう宗教的、キリスト教的テーマを描いている。
 主人公の一人イ・スヨンは病院の看護師だが、死を間近に控え、おそらく家族が病院の費用支払いに苦労している入院患者を、(たぶん金を取って)身寄りのいない孤独な人だと嘘の証明書を書いて、慈善事業として運営されているキリスト教系療養所(ホスピスに近いか)に何度も送り込んで問題視されている。おまけに友人と組んで違法薬物を患者から金を取って病院で密かに投与している。
 もう一人の主人公である彼女の夫パク・ドンシクは元エアライフル競技の国家代表だが、アルコール中毒のため第一線に出られない状態で、高校で任期制契約職のエアライフルコーチとして勤務している。彼はまず自分の身分不安定という心配を常に抱えており、そのことが原因で飲んではならない酒を飲んでしまい大きな失態を繰り返し起こしてしまう。
 彼らの過ちは当初は周辺の人々の偶然的な寛大によって赦される。だが、彼らはその過ちを二度と犯してはいけないと感じながらも再び過ちを犯したり、周辺の人々の寛大を再び乞う羽目に陥る。その時になって彼らは初めて痛切に自分の罪の重さを思い知ることになる。その結末はネタバレになるのでここでは記さないが、それを通じて「赦し」の重みを描いていくという趣向。

 監督のメッセージは明快であり、視聴者を引きつける力もあるが、個人的には主人公たちの生き様には苛立ちを覚えてしまう。やっぱりアルコール中毒の者はそもそも運転をするべきではないと思ってしまうし、もっと「廉恥」を知るべきなのではと思ってしまう。もっともこのような苛立ちを感じさせる者達(周囲から「自己責任」で片付けられそうな人々)にも「赦し」が与えられるべきかという問題提起なのであろう。たぶん他人をいらだたせるような生き方をする者達は、それ以外に生きる選択肢を奪われた状態なのであろうから...

 また、アルコールなしでは日常生活が非常に困難な韓国の実情 (たぶん、韓国でアルコール中毒者が快癒することは至難の業。そして結局はそれらは自分たちと異なった人間への寛容度の低さから来ることが示唆される) 、韓国における個人のリスクを社会で分担して分散していく仕組みの不十分さ (そのような社会は、今の日本が目指そうとしている地点であるのだが) なども克明に描かれる。

 演技面では、アルコール中毒のエアライフルコーチを演じたユ・ジュンサンのやや狂気を含んだ目の泳いだような演技がよい。彼はホン・サンスの映画にも常連格で出演している。またイ・スヨン役のキム・ジヨンはさほど美人ではないが、透明感ある雰囲気がよい。また憎々しげな役はいかにも憎々しげで、演技の演出面では全般的に的確な手腕を感じる。

 設定のややオーバーさや強引さ、そして監督の提示するメッセージに同意できるかどうかで好き嫌いは分かれそうな作品。

 韓国での封切りは2012.11.8。韓国での観客動員数は18,393人(KOBIS 2012年データ)。2012年釜山国際映画祭、韓国映画の今日パノラマ部門上映作。日本国内未公開。

原題『터치』英題『Touch』監督:민병훈
2012年韓国映画、カラー、1:1.85 99分




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