yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS 『7番房の奇跡』 - 韓国リベラリズムの浸透を象徴する映画ながらもやや作為的

<<   作成日時 : 2014/11/03 20:58   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像 刑務所を舞台に冤罪をテーマしたファンタジー作品。韓国社会におけるリベラリズム(ネオ・リベではない)の浸透を象徴した作品。監督は『角砂糖』『あいつはかっこよかった』が国内でも公開されているイ・ファンギョン。

あらすじはこちら (Movie Walker)
http://movie.walkerplus.com/mv54435/

 テーマは知的障碍者に対する冤罪という非常に重いテーマだが、真正面からの告発調ではなくファンタジーとして後味良く上手く昇華している点は評価したい。また特定のモデルとなった事件がある訳でもないようだ。ただ、お涙頂戴ではないかという批判はあり得るだろう。
 また、あくまでもファンタジーなので、何で収監者たちがあんなに善人なのだ、とか、刑務官がなぜあんなに収監者に同情的なのか、あり得ない、という批判は却下だろう。あり得ないからファンタジーなのだ。
 ただ、従来の上下のタテ関係が非常に厳格な韓国社会では、刑務官が収監者に対して同情的であるとなどとは、殆どあり得ないと思う。強者が弱者を踏みにじって当然の社会だったのだから。まして強者=刑務官=道徳的に正義/弱者=収監者=道徳的に悪人という図式が当然視され、徹底している刑務所においてはなおさらである。それをファンタジーとして描き、それが韓国社会で大ヒットした、ということは、やはり韓国社会において弱者に対して思いやりのある社会であって欲しいという意識が、韓国社会の中で広く広がりつつある象徴なのだと思われる。その延長の上にセウォル号事件に対する韓国社会の反応も理解されるべきであろう。

 おそらく監督や脚本家、製作者の中には、何か社会的なメッセージを盛り込もうという意図はそんなに強くないのではないか。ただ、今の韓国社会の中でヒットしそうな、泣かせる映画を作ろうとしたとき、結果的に社会的なメッセージを水面下に潜ませたこのような映画になったのではないか、という気がする。そこに今の韓国社会の雰囲気が強く反映しているように思われる。

 何だか弱者への「思いやり」が溢れていた日本社会が、その「思いやり」が偽善と指弾され、強者の本音全開社会になりつつあるのと、韓国社会の向かう方向が全く反対のようである。

 個人的には、リュ・スンリョン演じる演じる知的障碍者の父親が、イ・サング監督の『バービー』などに比べると、話しぶりも含めて非常にわざとらしく見えて(これはファンタジーということを意識してわざとそう演出している可能性もあるが)、今ひとつ没入できなかった。だが悲劇を爽やかにまとめられていたという点では、必ずしも個人的な好みではないにせよ、高く評価したい。

 本作品の韓国公開は2013.1.23。韓国での観客動員数は12,782,920人(Cine21 Data)。国内劇場公開済み。

 監督のイ・ファンギョンはソウル芸術大学映画科卒。卒業後、イ・ミョンセ、パク・ジョンウォン監督の下で助監督につく。その後放送局PDとして活躍したが、映画への情熱止みがたく、2003年MBSムービーズ 映画製作企画PD、そして2004年に『あいつはかっこよかった』で長編劇映画デビュー。さらに馬と人間の共感を描いた2006年『角砂糖』、視力を失った騎手を主人公に描いた2011年『チャンプ』と撮ってきて、本作。『角砂糖』以降は脚本も書いている。以上DAUM映画データベースを参考に執筆。

原題『7번방의 성물』 英題『Miracle in Cell No.7』 監督:이황경
2012年 韓国映画 カラー 1:2.35 127分




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『7番房の奇跡』 - 韓国リベラリズムの浸透を象徴する映画ながらもやや作為的 yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる