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zoom RSS 『鉄道の涙』 - 韓国鉄道労組のロジック (1)

<<   作成日時 : 2014/02/01 08:01   >>

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画像박흥수(パク・フンス)著,2013,『철도의 눈물(鉄道の涙)』,후미니스트(Humanist)刊
 昨年(2013年)12月9日より、韓国国鉄(韓国鉄道公社=KORAIL)民営化反対闘争で、韓国鉄道史上最長のストを打った(12月30日終結)韓国鉄道労組。本書はその直前、2013年10月17日に出版された、韓国鉄道労組の理論的主張を論じた書籍で、筆者はKORAILの機関士であると同時に、韓国鉄道労組政策研究チームの一員。また昨年から社会公共研究所鉄道政策客員研究員でもある。

 因みに昨年の韓国鉄道労組のストライキ(罷業[파업])は、直接的にはKORAILが打ち出した、国の鉄道事業を、韓国鉄道公社を持ち株会社とした4子会社に分割するという案に対して、これは実質的には民営化推進の準備作業だとして鉄道労組が反対し、民営化反対を掲げてストライキに突入した。これに対し国は、4子会社は、あくまで鉄道公社を持ち株会社にした子会社なのであって、民営化ではないとし、鉄道労組が民営化反対を理由にストライキに突入したのは、自分たちの労働条件とは全く関係のない理由で行った違法ストだと主張、鉄道労組幹部の逮捕劇にまで発展した1)。これに対し、労組側は、公企業として設立するのではなく、子会社とはいえ株式会社として設立する以上、いずれ民間に売却するはずであり、民営化の第一歩である、と主張している。

 本書を読むと韓国鉄道労使の主たる直接的争点は次の二点にあることが分かる。
1. 水西発KTX運営のKORAIL子会社への委託
2. 鉄道事業の子会社等への機能別分割、とくに鉄道施設の管理権を鉄道施設公団に任せること
 さらに、国の主張ではKORAILの子会社はあくまでKORAILが全株を持つ会社であって、国の事業であることには変わらない、とするのに対し、鉄道労組の見解では、子会社化すれば、今は株主がKORAILであってもいつでも株式を売却して民営化することが可能になるので、実質民営化同様になるとの主張だ。

 この1. 2.の争点とも解説が必要であろう。
1. 水西発KTX運営のKORAIL子会社への委託
 現在のKTXはソウル-衿川間の線路を在来京釜線と共用になっている。短区間の共用ではあるが、これが線路容量のボトルネックとなって、KTXの増発が出来ず、KTXは大混雑状況となっておりビジネス機会を逃している。この対策として、ソウル南東部、江南地区にある水西(スソ)駅から京畿道天安(チョンアン)までKTXのバイパス線を建設し、KTXの増発する計画が進行中である(政府による基本計画発表は2009.12)。これを現在KORAILでは、KORAILが直接運営するのではなく子会社を設立し、そこに運営を任せることを計画している。
 ところでなぜこの計画に鉄道労組が反対しているのかというと、ソウル江南地区は新都心として発展しており、水西発KTXバイパス線は建設すれば大幅黒字が見込まれる儲かる路線になることが確実視されている。したがって大幅赤字が問題視されているKORAILにとって赤字縮小の有力な手段になるはずなのだが、それをKORAILから切り離せば、ソウル発KTXの収益率縮小と相まって財政改善に直接寄与できなくなる、との主張だ。おいしい所だけ民間につまみ食いされるのではないかという危惧である。
 そもそもこの水西発KTX運営問題も、発端は、大宇建設がこれはおいしいチャンスだと、2010年10月、GREEN高速鉄道民間投資事業事業提案を発表し、うちの会社に任せて欲しいと政府に陳情、これがおめおめと財閥においしい汁を吸わせるのかと2011年末から政治問題になった。これに対し政府は、水西発KTXを民営化するのではなく、民間競争体系を導入する(施設保持は政府、運営は民間)のだと主張し始めた。結局、労組の反対、世論の批判を浴びて、2013年7月国土交通部は水西発KTXを運営する法人をKORAIL 100%出資の株式会社として設立することで法人(第2鉄道公社)設立準備をはじめるところまで追い込まれた。

2. 鉄道事業の子会社等への機能別分割、とくに鉄道施設の管理権を鉄道施設公団に任せること
 これは上で指摘したように、韓国政府のいう民間競争体系を導入と関連している。韓国政府の目指す民間競争体系とは欧州の上下分離方式、特に韓国政府の言うところのドイツ型の鉄道改革と関連している。
 政府の言う民間競争体系の詳細は分からないが、どうやら鉄道施設は鉄道施設公団に任せ国有のままとし、その上に民間各社が運営する列車を走らせる、ということのようだ。つまり国有の高速道路の上に、民間バス会社各社が高速バスを走らせるというようなイメージを鉄道に導入するということのようである。

1) 韓国国鉄の場合、労働条件を巡るストライキは合法となっているようである。この点は、ストライキ権が一切認められていなかった日本の旧国鉄とは異なる。

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