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zoom RSS 『Touch』 - ミン・ビョンフン監督第4作

<<   作成日時 : 2013/06/27 17:42   >>

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画像 韓国映画界では珍しい、モスクワ留学組で、タジキスタン、ウズベキスタンを舞台に映画を撮っていたミン・ビョンフン監督の作品。試練に晒された家族の再生へ向かう道を描く。

 看護婦のイ・スウォン(キム・ジヨン)と元国家代表選手で射撃コーチ、パク・ドンシク(ユ・ジュンサン)夫婦は、愛娘ジュミ(キム・ジヨン[イ・スウォン役女優と同姓同名])と暮らしている。ドンシクはアルコール中毒のため治療中。現在女子中学で射撃競技のコーチを務めているが、まもなく任期切れで再任用はないのではないかと噂され、将来に不安を抱えている。スウォンは生活苦から、ウナ(ユン・ダギョン)と組んで、密かに病院で強精剤と思しき薬を患者に売りつけて小遣い稼ぎをすると共に、実際には親族のいる死期の迫った患者を、地元の神父を抱き込んで、キリスト教会の運営するホスピスと思われる病院に送り込んでいる。
 だが、スウォンが病院の中で患者に怪しげな薬を売りつけているのを、病院の看護チーム長(ソン・ヨルソン)にかぎつけられ、咎められてしまう。
 そんな中、ドンシクは再任用を学校の女理事長(ソン・ヒスン)に頼み込んで酒を強要され、その帰り飲酒運転したあげく車で教え子であるチェビン(チェビン)を轢いてしまうが、そのまま逃げてしまう。だがチェビンの証言であえなく逮捕。
 スウォンは、夫を釈放するため金を持ってチェビンの父(キム・ギスン)に会いに行き、和解を頼み込むが、金の問題ではないと拒絶されてしまう。
 さらに金を積みますすべく、さらに体を張って「副業」に励むスウォン。だが、それがばれて、病院をクビになってしまう。その日、スウォンが家に帰って見ると、ジュミの姿が家から消えていた...

 おそらくは、宗教的(キリスト教的)テーゼがバックグラウンドにあると思われる作品。あたかも神から与えられたかのように、次から次へと試練が彼らに襲いかかっていく。スウォンはアンナというクリスチャンネームを持つクリスチャンであるが、しかし、生活のため神をも恐れぬ行為に次から次へと手を染めていく。もちろん彼女に全く理念がない訳ではない。だが理念と行動の乖離はますます激しくなっていく。
 それはドンシクも同じ。教師としての理念と、現実の苦しみから逃れようとする苦し紛れの行為の、交錯と乖離。その象徴が教え子をひき逃げするという行為に象徴される。
 だが苦難の果て、苦難から逃れるのではなく、苦難を直視せざるを得なくなった瞬間、あるいは苦難を直視しようと決意した瞬間、彼らに転機が訪れる。その象徴が、映像に何度か出てくる鹿なのであろう。
 特にドンシクの救いへと転換する場面の表現が秀逸。

 なお、良く分からなかったのは、なぜスウォンが患者をホスピス(?)に送り込んでいたのか、という事情。映画での描写を見る限り、それが金稼ぎにつながるように描かれている。おそらく韓国では患者の家族や親族に、患者のターミナルケアが丸投げされる状況があり、それにも拘わらず、実際にはそのケアが家族の手に余り困惑する状況が一般的なのではないだろうか。それで金を払って、身寄りがないように見せかけ、キリスト教系ホスピスに送り込む、という自体が横行しているのではないか、と推測しているのだが。

 なおスウォン役のキム・ジヨンが、取り立てて美人という訳ではないのだが、非常に魅力的。彼女は『私たち生涯最高の瞬間』でムン・ソリらと共に主演級で出ていたほか、TV、映画で活躍。またユ・ジュンサンの、アルコール中毒患者の演技も良い。彼はホン・サンス作品でもお馴染み。TVドラマでも活躍している。

 本作は、2012年11月8日韓国封切り。韓国での観客動員数は18,393人(KOBIS 2012年データ)。日本国内では未公開だが、聯合ニュースによると日本の映画配給会社が配給権を購入したようであり、何らかの形で公開される可能性はある1)。

ミン・ビョンフン監督は、1969年生まれ。大学入試失敗後、平凡な映画ファン生活を送っていたが、東欧・ロシア映画に感銘を受け、1992年ロシアに旅発ち園でたまたまであった撮影監督の薦めでロシア国立映画学校で学ぶことになった。留学時代にKBSのドキュメンタリー製作ならびに現地ロケのドラマの演出助手として携わる。1999年卒業作品としてジャムセ・ウスマノフと共同演出した『蜂が飛ぶ』がトリノ映画祭で大賞、批評家賞、テッサロニキ映画祭で大賞など多くの国際映画祭で受賞。しかし、国内での興業では成果を収められなかった。
 2001年に『泣くな、大丈夫』2006年『ブドウの木を切れ』2009年『天国の香り』2010年『ノスタルジア』(短編)、そして本作。
 2008年からは全州国際映画祭韓国短編の選択批評家週間セクション審査委員を務める。
(以上、監督紹介はDaum映画データベースを参考に執筆)

1) 聯合ニュース(日本語版)「<芸能>韓国映画「タッチ」 日本など6カ国・地域に上陸へ 」2012.11.2日付
http://japanese.yonhapnews.co.kr/enter/2012/11/02/1000000000AJP20121102002600882.HTML

原題『터치』 英題『Touch』 監督:민변훈
2012年 韓国映画 カラー 1:1.85


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