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zoom RSS 『カフェ・ノワール』 - 映画評論家が撮った韓国独立映画

<<   作成日時 : 2012/10/10 00:02   >>

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画像 韓国有数の映画評論家であるチョン・ソンイルが2009年に撮ったインディー映画。原案はゲーテの「若きウェルテルの悩み」とドストエフスキーの「白痴」を足して割ったものだという。198分と長く、DVDも2枚に分かれている。その人脈をフルに活かしてか、『JSA』『高地戦』等映画出演多数のシン・ハギュン、『トガニ』のチョン・ユミ、歌手のヨジョ、それにカメオでユン・ヒソクらが出演している。。

 中学校の音楽教師であるヨンス(シン・ハギュン)は、同僚教師であるミヨン(キム・ヘナ)と恋人関係であったが、どういう訳か教え子のチョンユン(チェ・チョンユン)の母親で全く同姓同名のミヨン(ムン・ジョンヒ)と不倫関係になってしまう。夫(イ・ソンミン)とは母子とも溝があって、チョンユンもヨンスと母の関係を応援していたが、結局別れざるを得ないことに。
 ミヨンの父が戻ってくることになり、ミヨンがヨンスとの別れを告げようとする日、チョンユンはヨンスにプレゼントを渡そうとする。「これはもらえない。お父さんにあげなさい」と諭すヨンスに、チョンユンは意味深く「お父さんにはあげられない。わかっているんです」と話す。
 一方、教師のミヨンはヨンスの心を取り戻そうと、映画に彼を誘って、ブロージョブをしたり、チョンユンの母親が不倫していると噂になっている、などと言ってみるが、彼の心は取り戻せない。
 そんなある日、音楽室に現れたチョンユンはヨンスに意味深く「この広い世界で先生の願いを聞いてくれるいる女性が一人もいないはずがありません。絶対に探し出せるはずです」と伝える。そして、いよいよヨンスがミヨンに別れを告げる日、母親は娘と全く同じ台詞を彼に伝える。だが、その意味は全く異なるものだった。
 その直後、チョンユンの誕生パーティに招かれることになったヨンスは、大きな金槌を買い、隙を見てチョンユンの母であるミヨンの夫を殺そうとするが、ミヨンに阻止され、結局、別れざるを得なくなる。彼は、ついに漢江の観光船から投身自殺を図るが、生き残ってしまう。

 ここまでが前半部。ここで、タイトルロールが入り、後半部が始まる。

 二人のミヨンと別れたヨンスは、魂が抜けたような生活を続けていた。そんなある日、ソウル、清渓川の川縁で痴漢に追いかけられていたソナ(チョン・ユミ)に出会う。彼女は旅人宿の娘で、旅人宿を運営する祖母を手助けして生活しているという。だがそこは客層が良くなく、ラブホテル代わりに使うカップルか、単身の男性が泊まれば、彼女に向かって一晩いくらかと問いかけてくる状況。彼女はそんな境遇から救ってくれる男性を待ち望んでいた。
 そんなある日、小説を書くという男が長期滞在を申し込んできた。彼は大抵部屋にこもって小説を書いていたが、他の男のように彼女に色目を使ったりしなかった。そして彼女は彼に片思いするようになる。やがて、彼女は男と度々清渓川周辺を夕方散歩をするように。だが、男は仕事が一段落付いて出て行くことに。彼が出て行く日、ソナは男に私を連れて行って、と頼む。
 そんな彼女に、男は一年後、必ず来て、君を連れて行くと約束する。そして、その約束を果たすため、ほぼ1年たった毎日、毎夕方、清渓川に出て待っているのだが、約束の日を3日過ぎても男が現れないのだという。そして何とかしてほしいとヨンスに訴えかける...

 本作品は、冒頭メインストーリーとは関係ない妊娠した女性が神に祈りながらハンバーガーを食べる姿から始まる。次に「世界少年少女教養文学全集」の文字。そして次々映されるソウル各所の姿。そしておもむろに別れを目前にした二人の姿が映される。
 そのカメラワークは王超、あるいは初期の北野武の作品の様に、固定カメラ、パンやズーミングも限定され、カット割りの少ない長回し気味のカットという、意図的なカメラワーク。
 だが、ストーリーライン自体は意外に起伏があり、あるいは意外に通俗的というべきか、それが、そのいかにもアート映画を狙ったカメラワーク、mise-en-sceneと、いささか狙った哲学的台詞回しとのミスマッチで、面白い効果を醸し出しており、意外に退屈しない。それに南山のソウルタワーを中心とするソウルの風景。
 このあたりを、面白いと評価するか、それとも頭でっかちのインテリのディレッタンティズムとこき下ろすかで、この作品への評価は分かれそうだ。

 この作品では、結局個人は救われない。だが、各個人は救われなくても、子供は生まれるし、世界(あるいはソウルは?)は続いていく。いささかムダに長い、あるいは妙に深刻ぶったディレッタンティズム(フランスのヌーヴェル・ヴァーグを模した?)という評価はあり得るとは思うが(なにせ「若きウェルテルの悩み」+「白痴」だ)、私としては、興味深い試みとしてこういう作品もありという気がする。


 なお、メインストーリーとは関係ないが、最初と最後に出てくる妊娠した少女、どこかで見た顔だと思ったら、『殺人の追憶』の最後の場面に出てくる少女(チョン・インソン)であった。 これも『殺人の追憶』へのオマージュと言えよう。

 本作品は2010年12月30日韓国封切り。観客動員数は5,676人(KOBIS 2011年データ)。国内未公開。

 監督のチョン・ソンイルは、1959年生まれ。成均館大学新聞放送学科卒業。映画雑誌「ロードショー」、「KINO」の編集長を経て映画評論家として活躍。全州国際映画祭プログラマー、韓国映画アカデミー、韓国芸術総合学校映像院教授等を歴任し、現在はCJ文化財団が公式支援する映画祭「シネマ・デジタル・ソウル」の執行委員長。また「Cine21」客員編集委員も務めている。本作が監督デビュー作。(以上Daum映画データベースおよびDVD付属パンフレットを参考に執筆)

 なお韓国盤DVDだが最近のArt Serviceの標準画質に準じ、解像度は甘く、輪郭のゴーストも目立つ。本編が2枚に別れて収録されており、特典は監督・出演者コメンタリー及び予告編。これに16ページのパンフレットが付く。

原題『카페 느와르』 英題『Cafe Noire』 監督:정성일
2009年 韓国映画 カラー 198分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: Art Service 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声:Dolby2 韓国語 本編:198分 リージョン3
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層2枚組 2012年 5月発行 希望価格 W25300 

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