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zoom RSS 『ウンキョ』 - 老詩人の女子高校生への恋慕を描く韓国映画

<<   作成日時 : 2012/09/09 06:48   >>

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画像 2012年4月公開されて話題になった韓国映画。高名な老詩人の女子高生への思いを描く。原作はパク・ボムシンの同名の小説。パク・ヘイルの特殊扮装による老人役が話題に。

 教科書に彼の詩がのるほどの高名な国民詩人で、気難しいイ・ジョキョ(パク・ヘイル)。今彼は、内弟子であるソ・ジウ(キム・ムヨル)の世話を受けながら、広大な屋敷に暮らしている。そのジウは、最近「心臓」という大衆小説を出版し、それがベストセラーに。だが、ジウは、今やベストセラー作家になっても、依然としてジョキョの世話を続けている。
 そんな、ジョキョの屋敷の庭のロッキングチェアの上にに、ふと庭に紛れ込んだ女子高生、ウンキョ(キム・コウン)が座っている。それを見て、お前はどこから入ってきたか、と追い払おうとするジウ。だが、その彼女の姿に何かを感じたジョキョは、ジウを引き止める。
 そんなウンキョは、ジウに連絡してジョキョの家でジョキョの家で家事を手伝うアルバイトをしたいという。母親も家政婦をやっていたからやることは分かっているのだと言う。ジウは老詩人に、ウンキョがとんでもないことを言って来ていると告げると、ジョキョは意外にもアルバイトを受け入れると言う。
 やがてジョキョの家に、土曜日の午後、家事アルバイトをしに定期的にやってくるようになったウンキョ。ウンキョは、他人の目には畏れ多い偉大なる国民詩人に「おじいちゃん」と気安く呼びかけながら、軽やかにジョキョの心の一角に入り込んでいった。
 ジウが朝食を準備するときは、少しでも塩辛ければ手をつけず、決してご飯しか受け付けなかったジョキョ。だが、今やウンキョが朝、ジウが止めるのも聞かずサンドイッチを準備すると、ジョキョは喜んで食べるまでに。そんなウンキョの姿をジウは嫉妬するかのように不安げな目で見つめるのであった。
 そんなある日、家事アルバイトの日でもない雨のある夕方、ウンキョが助けを求めるようにジョキョの家にやってくる。今日は家へ帰りたくない、泊めて欲しいと訴えるウンキョ。その彼女のただならぬ様子にジョキョは彼女を一晩泊めることに。朝、起きてみると、自分の寝台の中にウンキョの無邪気な姿があった。夜、雷が怖くてジョキョの寝台に潜り込んできたのだ。そんなウンキョにますます惹かれていく自分の気持ちをはっきり自覚するジョキョ。

 一方、ますます親しさを増し、ジョキョと様々な話を交わすようになったウンキョに対し、ジウは先生は何か自分に対して話さなかったかと執拗に聞きだそうとする。そんなジウの姿に、ウンキョは何かを感じる。
 ある日、ウンキョが、ジョキョが留守の間、ジョキョの書斎で、彼がずっと執筆用の机として一定の位置において使っていた机を移動しようとする。それを慌てて止めようとするジウ。二人の争いでふと机のふたが外れる。そこで何かが書かれている原稿用紙が収められているのが見える。
 結局二人の争いは、ジョキョが戻ってきて、やはり元も場所においてくれと言うことで決着がつく。だが、その夜、ジウはその原稿をひそかに見に来る。その原稿の表題には「ウンキョ」と書かれていた。そこには、おそらくジョキョが決して公開することのないであろう内容の美しい小説が書かれていた。それを発見したジウは...

 老人の若い女性への恋慕、あるいはエロティシズムというテーマは、すでに谷崎、荷風以来、何度も小説などで取り上げられているテーマであり、今更さほど衝撃的なテーマとは言えない。とはいえ、儒教的な倫理秩序観が強い韓国ではいまだ十分に、時にスキャンダラスと言えるほどまでに、衝撃的なテーマでありうるようだ。

 ウンキョは母親との関係にトラブルを抱えていて、そしておそらく父親は不在。そんなウンキョには、学校には友達がいても、どこか家族関係の中に埋められない穴が開いているさびしい少女。そんなウンキョにとって、ジョキョは、高名な老詩人というよりは、なによりもそんな穴を埋めてくれる「おじいちゃん」であった。そんなウンキョの「おじいちゃん」に対する無垢で無防備なストレートな思慕に対し、青年のような恋情が心の中にふつふつとわきあがってくるのを抑えられなくなってくるジョキョ。だが、その恋情に対し立ちふさがるものは、自分が既に70を過ぎた老人であるという残酷な現実と、自分が「国民詩人」になってしまい、もはや自分の気持ちにストレートに行動することが許されないという、社会的体面だ。
 その葛藤に悩んだジョキョは、ジウのある行動をきっかけに、自分の素直な気持ちを押し殺して、ウンキョと距離をとろうとする。それが、ウンキョの寂しさを募らせる。

 一方、ジウは、ウンキョとはジョキョを巡る三角関係のような立場にあることを一方的に感じていた。ウンキョにとってはジウは決してライバルではなく、単なる「おじいちゃん」の内弟子以上に思ってはいなかったが、ジウにとってみれば、敬愛する先生をウンキョに横取りされつつあるという思いが募った。しかも、ジウは決定的にジョキョに依存せざるをえない事情があり、ジョキョをウンキョに奪われることは彼の社会的立場を決定的に危うくすることでもあった。
 そのこともあり、ジウはある行動に出るのであり、さらにそれによってウンキョとジョキョの関係に波乱を引き起こした後、それをさらに確実にするために、ウンキョの寂しさにつけこんだ、さらに決定的なある行動に出る。だが、それはこの三者の関係に決定的な悲劇をもたらすものであった。

 韓国では、パク・ヘイルの特殊扮装とキム・コウンの情交場面の演技が妙に話題になっているが、そういう部分をおいて考えたとしても、老境に至った詩人のくやしさ、さびしさ、やるせない、せつない思いなどの表現などの側面でなかなか成功しているように思う。「若さは、青年の行いに対する何かの賞ではないのと同じように、老いは、老人が犯した罪に対する罰ではない」という台詞に、老人を一定の社会的地位に祭り上げて、その行動や思いを社会的制約の下に押し込めようとする世間の儒教的秩序観念や世間の偏見に対する抗議が込められている。
 また、全くの新人であるキム・コウンが、最近流行の二重に目がぱっちりの、国籍不明のいかにも美人というタイプではなく、一重の目の韓国人らしい顔立ちであるところに好感を覚える。その分、若さそのものが持つ美しさがより際立って表現されているように思われる。
 特典映像のインタビューでキム・コウンは、大胆な演技が含まれており躊躇したが、ここで挑戦しなければ、自分にチャンスはないと思ってオファーに応じた、という趣旨のことを話していたが、本人も、自分がいわゆる「美形」ではない点をよく自覚していたのであろう。今後の彼女の順調な活躍を祈りたい。

 本作品は2012.4.25韓国封切り。韓国での観客動員数は 人。国内未公開。

 監督のチョン・ジウは1968年生まれ。漢陽大学演劇映画学科卒。1994年から映画製作所「青年」で活動。日常生活の中のコミュニケーション不全、不在等をテーマとした短編映画で注目を浴びる。1999年、失業者である夫が妻の不倫を知って殺害に及ぶ『ハッピーエンド』で長編デビュー。この映画はカンヌ国際映画祭に出品された。
 その後は、国家人権委員会の啓蒙映画『五つの視線』(2005)、『親知らず』(2005)、『モダンボーイ』(2008)ときて、本作。以上Daum映画データベース情報を参考に執筆。

 また、原作者のパク・ボムシン(박범신)は、忠清南道論山出身。輝かしい想像力と、躍動的な叙述が一体となった華麗な文体で、近代化過程において噴出した韓国社会の本質的問題を、濃密に描き出した多数の作品を発表しおおくの読者を獲得した。1993年突然、自己省察の時間が欲しいと断筆宣言して波紋を広げたが、1996年、執筆活動を再開した(以上教保文庫作家紹介記述を参考に執筆)。   

 韓国盤Blu-rayは、若干白浮き気味ながらも、かなり高精細な映像。ディスクのプレスは台湾。

原題『은교』英題『Eungyo』監督:정지우
2012年 韓国映画 カラー 129分

Blu-ray(韓国盤)情報
発行・販売: KD Media 画面: HD1080p/16:9(1:2.35) 音声: DTS-HD5.1 韓国語 本編:129分 リージョンA
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2012年 8月発行 希望価格W31900
※韓国盤DVD(2枚組)もあり(W25300/2012.8発行)

付記 国内盤DVD発売予定(2014.2)邦題『ウンギョ 青い蜜』

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