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zoom RSS 催涙系だが類型に必ずしも陥らない - 韓国映画『ママ』

<<   作成日時 : 2012/09/25 07:54   >>

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画像 三組の母子の愛情と葛藤を描いた作品。催涙系の映画であることは間違いないが、必ずしも説教調でも、単純に母親の愛は偉大だと礼賛する訳でもない点は評価できる。そのあたりが題名が「オンマ」ではなく「ママ」であるゆえんであろう。

 一組目の母子は先天性筋ジストロフィー(韓国語では筋異栄養症)にかかったウォンジェ(イ・ヒョンソク)とその母親のドンスク(オム・ジョンファ)。子どもは難病で母子家庭という二重苦の状況にありながらも、ヤクルト・レディをしながら毎日元気に働いている。

 二組目は、高名なソプラノ歌手で大学教授である母親のヒギョン(ジョン・スギョン)とその付き人をしている娘のウンソン(リュ・ヒョンギョン)。婿のキルジュはタクシー運転手で、孫のヨンドゥ(イ・チャンギョン)ともどもヒギョンに頭が上がらない。

 三組目は実際にはヤクザで酒場を運営していながら、母親には自分は英語教師であると嘘をついているスンチョル(ユ・ヘジン)とその母で、全羅道なまりを駆使するオクジュ(キム・ヘスク)。

 だがある日その三人の母親ともある日突然の不幸に見舞われる。ドンスクは、ある日突然倒れる。病院に行ってみると、医師(ジン・ドンギュ)からもはや末期の卵巣癌で手の施しようがないと言われる。手術をしても延命効果しか期待できないとの宣告。その医師の言葉に、子どもは少なくともあと5年生きるので、それまで死ねない、助けて下さいとすがりつく...

 二番目のヒギョンはアイドル男性歌手と出演することになったミュージカルで、相手の歌手にこんなババアと出演できるかと嫌われる。その結果、ミュージカルから降ろされることに。その上、泣きっ面に蜂なのは、雇用先の大学から解雇通知が。ミュージカルの方は政治力を使ってアイドルを降ろして、自分を復帰させることに何とか成功するが、娘のウンソンの方は、今まで耐えに耐えてきた母親に対する気持ちを爆発させて、反乱を起こす...

 三番目の母親はスンチョルが母親を病院に健康診断に連れて行くと、乳がんにかかっていることが分かり、手術をすれば命に別状はないものの、乳房片方の摘出手術が必要だと明らかになる。だが母親はかたわになってしまうと、いっそ手術を受けないで死ぬと言い出す。何とか母親に手術を受ける気力を持たせようとスンチョルは何とか母親をなだめすかすと、母親は初恋の男性、ドクス(チャン・ハンソン)に会えるなら受ける言い出す。調べてみると、ドクスはロクデナシで、今はクラブなどで歌を歌って生計を立てていることが分かる。これでは良くないと、ドクスを母親の理想型に仕立てて合わせようと、作戦を練る...

 監督は『女高怪談4: 声』(2005)『彼女は美しかった』(2008)オムニバス映画『黄金時代』(2009)を撮ってきたチェ・イックァン。既に述べたように催涙系映画であることは間違いないが、私が評で取り上げた中では『世界で一番美しい別れ』 あるいは『天使の息づかい』のように、単なる母性愛礼賛、あるいは母親の恩をありがたく思おう、という類型には陥っていない点が買える。
 母親は一方的に愛情を子どもに惜しみなく与える存在では必ずしもなく、母親もまた子どもの存在から大きな勇気を貰っているという双方向的な関係がきちんと描かれるとともに、ヒギョンとウンソンの関係のように、時に母親が子どもを抑圧してしまっているというあたりも描かており、最終的には家族愛礼賛にたどり着くものの、陳腐な類型に陥いり切ってしまっていない点が評価できよう。

 あと、個人的には、ちゃっかりしつつも前向きな韓国人の母親らしい好人物像を好演したオム・ジョンファの演技に一票。

 本作品は、2011年6月1日韓国封切り。観客動員数は243,209人。国内ではこの10月にコリアン・シネマウィーク2012で初上映予定。

 監督のチェ・イックァンは1970年ソウル生まれ。ソウル大学言語学科卒。1988年『女高怪談』(初回のもの)で助監督を経験したのが映画界に入るきっかけ。25歳で早くも『女高怪談4: 声』でデビューしたものの、これは余り好評を得られなかった。しかし理論と実践を兼ね備えた映画作家としての評価を得て、プログラム・ピクチャーからアート映画まで広い幅の映画を手がける。『彼女は美しかった』はアニメと実写を融合した韓国最初の「アニグラフィッス」ラブコメディ映画であり、大きな挑戦と評価される。

 キャンドルメディアからリリースされている韓国盤DVDだが、最近の韓国盤DVDの例に漏れず全般的に解像度が甘い。それでも比較的高いコントラストとカラーの自然さで印象的にはまずまず。

原題『마마』 英題『』 監督: 최익환
2010年 韓国映画 カラー 110分

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: Candle Media 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声:Dolby2 韓国語 本編:110分 リージョン3
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 特典盤付き2枚組 2011年 9月発行 希望価格 W25300 

『世界で一番美しい別れ』
http://yohnishi.at.webry.info/201108/article_11.html

『天使の息づかい』
http://yohnishi.at.webry.info/201206/article_14.html


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