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zoom RSS 『Big Dreams Little Tokyo』- リトル東京が舞台の日米文化ギャップコメディ

<<   作成日時 : 2012/05/01 22:21   >>

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画像 日本未紹介、ロスのリトル東京を舞台にした日米文化ギャップコメディ、というよりはカルフォルニアならではの文化ちゃんぽんコメディというべきか。監督、脚本兼主演は日本語に堪能なデイビッド(デーブ)・ボイル。
 Wikipedia英語版の記述によれば、本作のアイディアは監督がオーストラリア、シドニーの日本人街に住んでいたときに思いついたそうだ。

 ボイド(David Boyle)は日本語専攻で修士号を獲得した、日本文化オタクの青年。しかし、彼の父は他人の下で働くのは恥だという信念を持っており、そのオブセッションの下、会社に就職もせず何とか自力で事業を起こそうとしているが、今のところ何の形にもなっていない。日本語コンサルティング事業家として企業に売り込みに行ったり、日本人相手に英語を教えようと、ランゲージスクールの生徒を募集しようとするがことごとく失敗。
 今のところ何とかできているのは、「言葉は力」という日米対訳本を出版して、ロスに英語の勉強をしにきた日本人を捕まえては、英語勉強の足しになると売りつけることのみ。それも、日本語書籍を扱う、市内の村上書店に入り込んで、日本人客相手に、店で買えば30ドルの本を僕から直接買えば18ドルだと売りつけて、店から「ボイド出入り禁止」の張り紙を張られる始末。
 今、彼の家に、日本語を学びたいという「酒ぼの」という自称四股名を持つ相撲レスラー志望の日系米人の青年、ジェローム(Jayson Watabe)を下宿させているが、彼の下宿費も滞りがち。
 そんなボイドとジェロームは、メキシコ人のアンディ(Drew Knight)が板前をやっている日本料理店に行って食事をするが、大食漢のジェロームはたらい一杯のカレーうどんを食べたあげく、食べすぎで倒れ病院に担ぎ込まれてしまう。そこでジェロームは医師から大食は危ない、相撲レスラーになるのに大食が必要なら、相撲は趣味程度にとどめて置くようにとドクターストップがかかってジェロームは途方にくれてしまう。なぜならジェロームは文字通り無芸大食、早食いと腕力ぐらいしか特技がないので相撲レスラー志望だったからだ。
 一方、ボイドは病院でマイ(Rachel Morihiro)という日本人の看護婦に出会い、彼女が初めての"タイガー・ランゲージスクール"の英会話の生徒になる。ボイドはひそかに彼女に胸をときめかせる。これを契機にボイドとジェロームは日本人相手の英会話スクール事業を拡大させようと、市内や大学のキャンパスに行き日本人を片っ端から捕まえて売り込みに走るが、なかなかうまくいかない。
 ジェロームは、ネイティブからしか英語を学ぶ気がないと言うバリバリの沖縄なまりの青年二人をスカウトすることに成功するが、ボイドは売り込みにいって不在、仕方なく彼が英語を教え始めるが、そこで彼は深刻なアイデンティティクライシスを再認識させられることになる。なぜなら、彼は見た目は完全に日本人の兄ちゃん風だが、見た目が典型的な白人のボイドが流暢な日本語を操るのに対して、彼は片言の日本語しか話せない。かといってアメリカ人としては見た目からフルメンバーとして認識してもらえない。
 日本人相手の英語教師なんかいやだと、ジェロームは転職を決意するが、改めて大食と腕力しかとりえのない自分には警備員ぐらいしか仕事がないことを突きつけられる。それでは、日本食の出前はどうかと考えるが、客の注文を受けても、配達している途中で、客に届ける食事を腹が減ったと自分で食べてしまう始末。つくづく自分は何をやってもカリフォルニア・ロールのように半端者だと自己嫌悪に陥る。

 そんな折、ボイドの許に以前ビジネスの売り込みに行ったミスター・オズ(Michael Yama)から電話が入る。それはメキシコの工場の買収を検討しているので、日本語とスペイン語の通訳は可能かとの問い合わせだった。一瞬戸惑うボイドだが、ビジネスチャンスを逃してはと、二つ返事で引き受け、あわてて日本料理店のメキシコ人板前アンディを通訳としてスカウトするため走るのだった...

 Wikipedia英語版の記述によると監督が今まで出会った人々をモデルに作ったフィクションだそうであるが、アイディアはなかなか秀逸。コンセプトもなかなか良いものが盛り込まれている。
 例えば、日系アメリカ人のジェロームは自分の見た目と中身のギャップから、自分は何もやっても、存在自体も半端者と、深刻なアイデンティティクライシスに陥るが、このようなアイデンティティクライシスは多くの日本人にとって理解・共感困難なものであろう。しかし日系の彼のあり方を見れば、それを理解する取っ掛かり程度にはなりそうである。その彼は、映画のラスト近くで、日本人の英語スクール生徒から、日本とアメリカの架け橋なんですね、と言われて、自己肯定感を持てるようになる、というエピソードもなかなか良い。
 そして、メキシコ人が板前の日本料理店なども、今のアメリカにおける日本文化受容のリアリティをうまく表現していて面白いし、一所懸命日本人になりきろうとするボイドの姿や、後半の企業買収に訪れる日本人ビジネスマンの描写に見られる、アメリカ人の目に、典型的なステレオタイプの日本人はどう映っているかという表現なども、大いに笑える。

 ただ、残念なのは、なかなか秀逸なコンセプトやエピソードがいささか整理しきれずに並べられた、あるいは盛り込みすぎたような印象があり、若干散漫で掘り下げが足りない印象を受ける。この映画に描かれたいくつかのコンセプトやエピソードを取り出して、それぞれを2、3本分の映画にまとめなおし、プロットを練り直したらもっと面白くなりそうだ。それでも、見た目100%白人のボイドが日本人の行動様式を模倣するギャップなど大いに笑える場面はたくさんあるし(でも彼のはったりぶりはやはり100%アメリカ人だ。というよりアメリカで生き残るためにはあのようなはったりは必要なのであろう。そのギャップがまたおかしい)、何より監督の異文化に対する深い理解、造詣が感じられる作品。

 監督のデーヴ・ボイルはアメリカ人の映画監督、脚本家、俳優。アメリカ、ユタ州ソルトレークシティ出身&在住。モルモン教の宣教師として渡豪し、そこで日本語を学ぶ1)。本作が長編デビュー作で、2009年に裕木奈江および本作に助演した渡辺広主演で『ホワイト・オン・ライス』そして2011年にはアメリカで道端で音楽活動を行っているGoh Nakamuraを取材したドキュメンタリー『Surrogate Valentine』、今年はその続編である『Daylight Savings』を発表。
 国内では、『ホワイト・オン・ライス』のみが2010年大阪アジアン映画祭および東京・渋谷のアップリンクファクトリーで公開され、DVDリリースされている。

 本作のアメリカ盤DVDは非英語部分のみハードウェアエンコードされた英語字幕がついている。輪郭強調はさほど大きくないものの、解像度は甘いが、おそらくオリジナルが16mmフィルムのためと思われる。

1)映画の森 デイヴ・ボイル監督インタビューより
http://eiganomori.net/article/144046046.html

原題『Big Dreams Little Tokyo』監督:David(Dave) Boyle
2006年 アメリカ映画 カラー 85分(アメリカ劇場公開版)

DVD(US盤)情報
発行・販売:Echo Bridge Home Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 日・英・西語 本編:86分
リージョン1 字幕: 英(On/Off不可) 片面一層 2008年 7月発行 希望価格$6.99





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2012/06/15 08:01

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