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zoom RSS 『東京原発』 - 3.11以前に原発技術に関して問題提起していた映画

<<   作成日時 : 2012/03/22 07:33   >>

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 福島原発事故にさかのぼること8年前に既に原発技術に問題提起をしていたブラックコメディ映画。今見ると、この作品で提起されていた問題の一部が現実なものとなっていて、単純に笑えないというところが恐ろしい...

あらすじについてはこちら(Goo映画『東京原発』)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD4543/index.html

 本作の特徴としてまず、本作の設定が原子力技術には素人の都庁の役人たちが、原発のことを調べて議論するという設定であるために、原子力の基本的な知識や用語に関して丁寧に紹介しているという点が挙げられる。おそらく監督には、まず素人でもわかりやすい原子力に関する知識を啓蒙しようという意図があるのではないだろうか。
 例えば、我々にとっても3.11(というより3.15か)以降すっかりお馴染みになってしまったベクレル、シーベルトという言葉が丁寧に説明されているし、原発の仕組みなども説明されている。
 また、原発を巡る論点、争点なども丁寧に紹介されている。随所にブラックユーモアや当てこすりは含みながらも、決してヒステリックに反原発を叫んでいるわけではなく、要は、原発の抱える様々なリスクを(もちろんそのメリットも)きちんと知り理解した上で、原発を推進するかしないか判断しましょうという、ごくまっとうな問題提起を行っている。
 もちろん、原発は絶対安全、危険性は0%だと称して、リスクを全面否定しそれに対して向き合おうとしない態度、あるいは徹底的に外部に対して情報を隠蔽しようとする体質に対しては徹底的に揶揄してはいる。だからといって映画としては原発を頭ごなしに否定しているわけではない。

 映画としてみた場合に、前半は会議室でのやりとり中心、そして後半は原発燃料の乗っ取りという構成は、いささか地味ではあるし、また会議室の議論と乗っ取り話のつながりが若干木に竹を接いだような印象は否定しがたい。ただおそらく、到底原発スペクタクル映画を作ることができないような予算制約の中での、最大限の工夫であったのではないかと思われる。
 それに何と言っても、今見てみると、制作当時は単なるブラックユーモアとして描かれたエピソード類が、例えば突発事故が起こったときに国より先に米軍が状況把握を正確に行って、都庁に連絡が来るといったエピソードが、まさに現実に起こってしまったことに驚かされるというか、呆れるというか... 何とも言いようがない。とにかく必見!

 ただ、原発のリスクをありのまま伝えようとする本作に対して、「原発絶対安全神話」を喧伝しようとし、わずかなリスクさえも認めまいとする輩は敏感に反応するであろうことは想像に難くない。役所広司、段田安則、岸部一徳、吉田日出子、平田満などの第一線級の俳優を取りそろえた本作の公開が一時危ぶまれ、公開されても単館系でひっそりとしか公開されなかった事実、そして監督を務めた山川元がその後一作も監督できていない事実を考慮すると、有形、無形の圧力があったのではないかと想像せざるを得ない。

 現に本作を批判する次のようなWebページがある。

映画「東京原発」にみられる間違い (エネルギー問題に発言する会 小笠原英雄)
http://www.engy-sqr.com/watashinoiken/iken_htm/ogasawara_tokyogenpatu.htm

このサイトの筆者は、「エネルギー問題に発言する会」の会員名簿を見ると原子力発電技術機構(NUPEC)の職員で、元日立製作所社員。専門は原子力安全、過酷事故、熱流動だそうである。

 このうち、映画に描かれた原発設計上の耐震加速度不足の問題についてサイトの筆者は、
「関東大震災の900ガル等は地表で観測された地震の加速度である。一方日本の原発は地面を硬い「岩(がん)」まで掘り下げた解放基盤に設置することになっており、浜岡原発の設計地震加速度600ガルというのは、そこで想定したもので地表での加速度とは異なる。この時浜岡地区の地表の加速度は1300ガルとなる。浜岡原発をはじめとして、全ての原発はこの想定された加速度に基づいて、厳密に設計され安全性が確認されている。」
と述べている。
 しかし2008年6月14日発生した岩手・宮城内陸地震では、地上で最大4022ガルを観測しており 1)、筆者の言う現在の原発の加速度想定はその1/4強しかなく、決定的な耐震加速度不足は明らかである。
 もちろん、今後起こる巨大地震が4022ガルを超えない保証もない。また東日本大震災では栗原市で2933ガルを記録している(時事ドットコム2011年3月11日報道)。

 また、映画の中の
「チェルノブイリ事故の際、事故処理にあたった作業員86万のうち、5万5千人以上がこれまで死亡し、残る生存者も87%が発病との表現」

に対し、

「2000年の調査結果の数字と思う、ロシアの一般平均と変わらないようである(死亡原因も)。87%が病気は本当とは思えない、半数くらいの人が放射能恐怖が原因で高血圧等放射線障害とは関係のない病気に罹っていると言われている。」

と答えているが、「87%が病気は本当とは思えない」というのは単にサイト筆者が「そう思えない」と感想を吐露したのに過ぎない。

またサイトの筆者は、
「核廃棄物の量は人間の他の営みの結果生じる一般ゴミや炭酸ガスなどの廃棄物に比べて量的に少ない。放射線を出すので管理しやすい特徴があり、人間の生活圏に影響がないように隔離、貯蔵し、長年にわたって管理できるように技術開発に努めている。」
とも書いているが、今の福島の現状を見て皆さんこのサイトの筆者のご意見に同意されるだろうか?

 ともあれ、今の原子力専門家の専門性のレベルをよく示してくれている好例であろう。ちなみに「エネルギー問題に発言する会」はサイトを見るとNHKの報道を中心に報道に対する抗議活動を一所懸命行っているようだ。
http://www.engy-sqr.com/
http://www.engy-sqr.com/media_open/index.htm

 しかし東京電力の値上げした料金は一体どこに流れていくのでしょうかねぇ...


1) 平成20年(2008年)岩手・宮城内陸地震において記録されたきわめて大きな強震動について、防災科学技術研究所、2008年6月14日
http://www.k-net.bosai.go.jp/k-net/topics/Iwatemiyaginairiku_080614/IWTH25_NIED.pdf

付記: 4月になって上記ファイルが消されている。それ以外の出典として鈴木 亘・青井 真・関口春子,2010,「強震記録から見た平成20 年(2008 年)岩手・宮城内陸地震の震源過程」,『防災科学技術研究所主要災害調査 第43 号 2010 年3 月』, pp. 11-18

原題『東京原発』英題『TOKYO :LEVEL ONE』監督:山川元
2003年 日本映画 カラー 110分

『東京原発』公式サイト
http://www.bsr.jp/genpatsu/


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