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zoom RSS 『嘘ついてもいいですか?』 - 日本人の知らないユダヤ人ギャグコメの世界

<<   作成日時 : 2011/12/25 22:46   >>

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画像 1997年フランスのB級コメディ映画。日本人にとってはユダヤ人もそれ以外の西欧人も大して区別がつかないが、我々の未知の世界であるヨーロッパ人によるユダヤギャグ全開のコメディ映画。舞台はパリのテキスタイルで有名なセンティエ街のユダヤ人コミュニティ。

 エディ・ヴィヴェール(Richard Anconina)は、失業中で下宿代の支払いにも困るゴロワーズのフランス人青年。なけなしの金を何とか増やして下宿代を払おうと、街角でやっていたトランプギャンブルに有り金を掛けるが、いかさまに引っかかりかかって、現場にあった金を抱えて逃げ出す。屈強な男二人に追いかけられ、殴られていたエディを助けてくれたのはユダヤ人生地問屋の商人ヴィクトル・ヴェンザキム(Richard Bohringe)。彼は地域のユダヤ人コミュニティの顔役であるのだが、エディを助けたのは、喧嘩の現場で落ちていたユダヤのダビデの星のネックレスをエディのものと誤解して、彼をユダヤ人だと思って助けたのだった。だが、実はそのネックレスは追いかけてきた男のものだったのだ。
 ともあれ、職探しの方もさっぱりだったエディに、ヴェンザキムは同じユダヤ人のよしみと、自分の問屋の倉庫整理係に採用してくれる。しかし慣れない倉庫整理の重労働に、ユダヤ人の振りをしなければならない心労で疲労困憊。翌朝起きてみるとと既に始業時間を過ぎている。エディはあわてて問屋に駆け付けるとシャッターが閉まっている。その日はユダヤ教の安息日(シャバト=土曜日)だったので救われたのだ。
 安物の布と高級な布を売り間違えかけたりと失敗も繰り返しながらも、同じ倉庫で働くユダヤ人の友人ドヴ(Vincent Elbaz)やラフィ(Elie Kakou)もでき、なんとか日々をこなしていくが、ある日彼のうっかりと相手の錯覚で、安物の布を取引先にひどく高い値段で売ってしまう。ヴェンザキムから、正直であるのがユダヤ人の鉄則なのにとひどく怒られ、お前は倉庫係は首だ、と言われる。だが営業係として採用してやると言われる。
 それからは生来のお調子者の性格で営業マンとして順調に成績を伸ばしていく。そんなエディに気になる女性が現れる。それは高嶺の花、社長の娘サンドラ(Amira Casar)であった。
 そんな中、エディは友人のいとこでアメリカで事業を営む大金持ちのパトリック(Gilbert Melki) と知り合う。彼はイスラエルで、スウェーデン人女性と知り合い、彼女との結婚を熱望しているが、周りの友人は異教徒と結婚するなんてとんでもないと皆反対。だが、エディだけは宗教の違いなんて何が問題なんだいとの反応。この結果図らずもエディはパトリックの歓心を買うことになり...

 全体としてはユダヤ社会版『無責任男』といった雰囲気の作品。エディは実はゴロワーズ男なのだが、ユダヤ人の振りをしてユダヤ社会を泳いでいく中で出会う、様々なカルチュラル・ギャップがギャグのネタになる。例えば、シャバトの日、友達の家に呼ばれて皆で回し飲みをしなければならないお酒を一人で飲み干してしまうなど、自分の知らない様々なユダヤ文化のしきたりを、自分をユダヤ人と装うために知ったかぶりをして繰り返される失敗の数々。
 だが、本作を見て改めて驚かされたのは、日本人から見るとユダヤ人もその他のヨーロッパ人も大して区別がつかない存在だが、彼らにとってみればユダヤ人のエスニシティがヨーロッパ人と違うものとして明確に認識されているという事実とそのリアリティ感覚。もちろん、知識としてはユダヤ人はユダヤ教徒であって、キリスト教徒のヨーロッパ人と宗教が異なる、とは知っていたが、これほど明確なエスニシティの違いとして認識されている彼らのリアリティ感覚は全く未知のものであった。ユダヤ人らしい名前というのがあるというのも知らなかったし(例えばウェーバーという苗字は典型的なアシュケナージの苗字なのだそうだ)、本来の苗字をもじってヨーロッパ人風の姓を名乗っているケースも多いという事実も知らなかった。このようなリアリティの理解なくしては、ナチスドイツのユダヤ人殲滅の歴史も正しく理解することはできないだろうと認識を新たにした。
 また、やはりヨーロッパにおけるユダヤ人の存在は改めて日本社会における在日朝鮮人の位置づけに似ていると感じさせられた(逆にヨーロッパ人から見れば日本人も朝鮮人も大した違いがあるように見えないだろう)。言うならばヨーロッパ版『月はどっちに出ている』というところか。もっとも『月はどっちに出ている』を在日の友人に見せたところ、この映画は誇張がある、と言っていたので(ただし遠藤憲一演ずる胡散臭い実業家タイプの人間は確かに多いと彼は認めていたが)、もちろん本作もコメディ化のためのユダヤ人のエスニシティに対する誇張があるのだろう。それにしても... ではある。しかし、9.11以後のアメリカでこれと同じコンセプトでアラブ人ギャグ映画が作れそうだ。
 ヨーロッパ社会に関心のある方には一見を強く勧めたい。

 監督のトーマス・ジルーは1955年、フランス、パリ郊外のブローニュ=ビアンクール生まれ。画家のブレーズ・サンドラールの孫。IMDBでは1979年以降映画監督の記録があるが、1986年にコメディ映画『Black Mic-Mac』で最初のヒットを飛ばす。さらに1995年、『ライ』でモンテカルロ国際映画祭で金のレオパルド賞を受賞。1997年、本作でフランスにおいて500万人クラスの大ヒットを記録。さらに2001年、続編で800万人クラスの大ヒット。その後もコメディ映画とTVドキュメンタリーを作り続けている。来年には本作の第3部を発表予定。以上Wikipediaフランス版及びimdbの記載を参考に記述。

 イギリス盤DVDは正編と続編2編が1枚のDVDに収められているお買い得盤。画質に関しては多少輪郭強調が見られ、解像度もやや甘めではあるが、比較的良好な画質。カラー、コントラストに関しては申し分ない。


原題『La vérité si je mens!』英題『Would I Lie to you?』監督:Thomas Gilou
1997年 フランス映画 カラー

DVD(UK盤) 
発行・発売:Arrow 画面: PAL/16:9(1:1.78) 音声: Dolby2 仏語 本編: 分
リージョン2 字幕: 英(On/Off可) 片面二層 発行年2005年10月 Amazon.Uk価格 £ 4.99



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『また嘘ついてもいいですか?』 - グローバリゼーションの波をかぶるフランス版無責任男
 新年あけましておめでとうございます。2012年になったからといって特に変わり映えしませんが、引き続き海外版ビデオディスク中心の映画紹介と、時々つぶやきを続けていきたいと思います。  本作は、先日紹介した、フランスのユダヤ・ギャグコメディ映画の続編で2001年作。続編ではワーナーが出資に参加しており、フランスでは正編以上の大ヒットになった。 ...続きを見る
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2012/01/01 11:53
[書籍] E.J.エプスタイン著『ビッグ・ピクチャー』
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2012/02/29 00:21

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