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zoom RSS 問題提起は良いのだが非常に惜しい『取り戻せない』 - 韓国映画

<<   作成日時 : 2011/10/09 07:29   >>

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画像 日本でも児童性犯罪者に対する監視や情報公開をするように求める動きがあるが、すでに韓国ではそのような動きは実現していて、警察が前科のある児童性犯罪者の所在を把握できるようなシステムが整備されている。これに対して韓国国家人権委員会が製作した啓蒙オムニバス映画『六つの視線(もしあなたなら)』で、そのような動きを批判する作品が含まれるなど、このような動きを人権侵害だと批判する動きもある。
 本作もまさにこの問題に対する、問題提起を意図した作品。

 チュンシク(キム・デウ)は、田舎で花屋を経営している。その彼にとって何よりも大切な存在は一人娘のミリム。ところがある日突然ミリムが行方不明になってしまう。チラシを作って必死にあちらこちらに張りまくって娘の行方を探すチュンシク。そんな彼の必死の姿に、ムン刑事(ペ・ホグン)は町内に児童性犯罪者がいるとつい彼に漏らしてしまう。
 実はその犯罪者とは最近この町内に母(キム・チャンスク)、妹イニ(イム・ソンオン)と越してきたセジン(イ・ジョンジン)。イニは町内の幼稚園教師として働き、セジンは貸し自転車屋を始めた。
 そういえばミリムはセジンの貸し自転車屋で、自転車を借りたことがある... と思い当たるチュンシク。だが、ムン刑事は疑わしきは推定無罪の原則で、闇雲に児童性犯罪者だからと言って逮捕できないという。
 そうこうするうちに最悪の事態が。ミリムが死体で発見されたのだ。チュンシクの憔悴する姿に警察も犯人検挙を固く誓う。その一方、犯人捜査がなかなか進まない事態に納得のいかないチュンシクは今度は、セジンが児童性犯罪の履歴を持つ前科者だとのチラシを作成し、町内のあちらこちらに貼りまくる。
 その動きにパク刑事(チョン・インギ)とムン刑事も何とかセジンを立件しようと動き出す。すると貯水池の近くに住む美術専門の大学教授キム(オ・グァンノク)がセジンらしき人物を見たと証言し、ついにセジンを逮捕する。
 だが、キム教授の証言はいまひとつ不正確でしかも法廷での証言を拒否。ちゃんとした物証もないまま拘留を続けることもできず、ついにチュンシクは処分保留のまま釈放。だが、犯人を野放しにすると町内からは批判の声が相次いだ...

 果たして挙動の怪しいセジンは本当に犯人ではないのか、とミステリー仕立てで興味を持たせつつ、同時に前科者の人権をどう考えるべきかという重大な問題提起を行っており、このあたり人々の興味をひきつけて語りを進める映画のストーリー構成力は秀逸。父親を襲った悲劇に同情を向けさせつつも、果たしてセジンを証拠不十分なまま犯人扱いしてよいのかという、ダブルバインド状況を非常にうまく描いている。
 ただ、ミステリーとして見た場合、非常に重大な欠陥がただ一箇所。それは後で描かれる真相が文字通り真相であるならば、セジンも負傷していなければならないはず。ところが全くぴんぴんしていた。これはまったくシナリオの詰めが甘かったと言わざるを得ない。まさに画竜点睛を欠くとはこのことである。

 問題提起の良さが光っていただけに、返す返すも惜しい作品。あ〜ぁ...

 本作の韓国での封切りは2010年11月4日。全国観客数は65,135人(2011年10月現在 KOBIS調べ)。日本未公開。

 監督のパク・スヨンは1976年晋州生まれ。漢陽大演劇映画科卒。2001年より短編映画を発表。DVDが出ている作品としてはオムニバス映画『ファンタスティック自殺騒動』の一遍、および2009年に製作して今年公開された長編『殺しにいきます』、そして本作がある。

原題『돌이킬 수 없는』 英題『No doubt』 監督:박수영
2010年 韓国映画 カラー 88分(韓国上映時間)

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:KD Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:88分
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 3発行 希望価格W23500

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コメント(3件)

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とりあげていただき、ありがとうございます。私もこれ字幕なしで何度も見たのですが、その部分は考えが及びませんでした。つまり、バスとの衝突がミリムの死の直接の原因とみられるわけですね。もっと前で示唆される画家が少女を掘り返したと思われる部分、ここのところはどう見られますか?
amudena
URL
2011/10/10 09:43
お読みいただきありがとうございます
[以下ネタバレしますので、読みたくない方はスルー願います]

 ミリムの死因は水死です。これは、司法解剖(剖検[ブコム])結果だとして最後の方でそう言っていたので、確実です。つまりミリムは落ちた人形を拾おうとして、川に転落し溺れ、それをセジンが人工呼吸をして救おうとした。しかしミリムが蘇生しなかったので、セジンが救急車を呼ぼうとミリムを抱えて道に出たところで、前方不注意のバスがぶつかってきて、セジンとミリムは道路下に跳ね飛ばされる。
 [ここからは画面で描かれていないので憶測]バス運転手は、跳ねた証拠隠滅を図ろうと、ミリムの死体を畑に隠し、そのまま逃げる。
 で、キム教授が見たのは人工呼吸していたセジンの姿かと...

 というのが映画に描かれている真相だと思うのですが、明らかにセジンはミリムとともにバスに跳ねられ道路下に転がり落ちているので、大けがは免れないはず。しかし、なぜかミリム行方不明後、探しに来た人たちにぴんぴんしている姿を見せています。バス運転士も証拠隠滅を図るならミリムだけ隠さずにセジンも何とかしなければならないはずですが、そこがよくわからない。

 100歩譲って、セジンはミリムの死体を抱えながらも大した怪我はしなかった、と仮定すると、バス運転手はそのまま逃げ、セジンがミリムの死体を畑に隠したということになるのか、という話になります。しかし、死体を隠すほどぴんぴんしていたとしたら、普通、ひき逃げされたとその場で警察や救急車を呼んでいてもよいはず。なぜセジンがミリムの死体を畑に隠さなければならなかったのか辻褄が合いません。

 画家が少女を掘り返したと思われる部分に関しては、すみません、再度見直してみます。
yohnishi
2011/10/11 18:52
ありがとうございます。ああ、そうだったのですね。最後の方でバスドライバーがスコップを買った証拠が現れて逃げ出す場面がありました。それで、ドキッとしたのは、セジンが自転車でぶつかって倒れた別の少女の脚の砂を払う場面、セジンの目線でスカートの内部が覗けてしまうのですね。自分の中にある性欲に戸惑っている場面でした。調書を拡大して読んだのですが19歳の時に、1歳の女児を公園トイレに連れ込んでスカートの下に手を入れたというものでした。その後数年間を服役しているんですね。また何かあったら教えてください。
amudena
URL
2011/10/12 22:37

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