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zoom RSS レトロ感覚あふれるインディーズ韓国映画 『啓蒙映画』

<<   作成日時 : 2011/10/18 06:31   >>

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画像 2009年に製作されたインディーズ映画。韓国の富裕層三代の家族の模様を1931年から現在(2009年)まで振り返る。レトロな回顧感覚と社会批評的視点が秀逸な作品。

 チョン・ギルマン[祖父](イ・サンヒョン) - チョン・ハクソン[父](チョン・スンギル) - チョン・テソン[娘](オ・ウジョン)の、韓国富裕層であるチョン家、三代の歴史を、1931年京城 - 1965年ソウル - 1983年ソウル - 2009年の4場面に分けて辿っていく。映画のなかではこの4場面が交錯するが、以下時系列的に紹介する。

1931年京城
 チョン・ギルマンは朝鮮総督府によって作られた土地管理会社、東洋拓殖株式会社に勤務する朝鮮人社員。彼の仕事は土地を担保に金を借りた朝鮮人地主から借金を取り立てたり、借金が返さない場合は、担保に取った土地を収用する仕事を行っている。彼は自分の仕事が朝鮮人のためにならないのではないかと時に良心の呵責に苦しみながらも、朝鮮随一のエリート企業に勤めることで生活の安定が図られており、「日本人」として忠実に仕事をこなしてきた。そんなある日、学校時代の同級生で抗日運動をしながら地下に潜っていたサンスが訪ねてくる。明日、午後2時ごろ、会社にいないようにしろと忠告に来たのだ。抗日運動家たちが東洋拓殖へのテロを計画していたのだ。彼は仲間を裏切ってでも旧友であるギルマンの身の安全のため、忠告に来たのだ。その知らせを受けたギルマンは....

1965年ソウル
 ギルマンの息子、ハクソンは、裕福な父をバックにつけた恵まれた家庭に育ち、趣味は、当時としては非常に高価なレコード鑑賞。カラヤンが指揮するベートーベンが好みだった。そんな彼には意中の女性がいた。彼女の名はパク・ユジョン(キム・ジイン)。今日は彼女に告白すべく準備万端整えてきたのだ。ソウルの「国際中央茶店」で彼女と待ち合わせするハクソン。彼が準備した風呂敷包みを開けると、そこにはティファニーの指輪が。感激した彼女はバックもしっかりしたハクソンとの結婚を快諾する。
 喫茶店を出て朝鮮戦争当時の思い出話など雑談をしながら街中をゆくハクソンとユジョン。そこへ突然警戒警報が鳴り響く。ハクソンはユジョンを放り出し、近くの寺の床下に隠れ、頭を抱えて震えるのだった...

1983年ソウル
 ハクソンとユジョンの娘、テソン(子役: シン・ギュリ)。彼女は幼いながらも機械いじりが得意で、父の命を受け度々ラジオ放送をテープレコーダーに録音する役割を任されていた。そのため、友達の誕生パーティーに招待されても、いけないこともしばしば。
 その日も、友達の誘いを断って父のため番組を録音しようと待機していた彼女は腹部に痛みを感じる。あわててトイレに駆け込もうとすると腹部から血がしたたり落ちた。初生理だったのだ。
 その驚きで彼女は録音を逃してしまったのだが、帰ってきた父は、娘の事情も聞かず、録音を逃した娘を頭ごなしに叱りつけるのだった...

ソウル - 現在
 ハクソンは病院で長患いの床にあった。これまでも危篤だと呼ばれては何度も駆けつけていたが、そのたびに持ち直してきたのだ。今カナダにいるテソンはそのたびに韓国に呼びつけられてきたのだった。テソンは父の会社に勤務するキム・ソンホ(パク・ヒョッコン)と結婚して息子が一人。だが金持ちのご多分に漏れず、彼女と息子は子供の教育のためカナダに移住。夫であるソンホ一人韓国に残り、「キロギアッパ」となってカナダの妻子に送金を続けていた。
 そしてこれまたご多分に漏れず、テソンにはカナダに別の男ができており、夫との間柄は冷え切っていた。ソンホはその境遇に不満を持っていたが、その立場上その不満を今までぶつけることはなかった。だが、韓国に帰ってきてソンホとの関係を拒絶するテソンにソンホはついに不満をぶちまける。「俺は会社を辞める。西橋洞の家も整理して、俺もカナダに行く」と。だが、ソンホの抗議をテソンは軽くあしらう。
 いよいよ父が死に、葬式も終わり、遺された西橋洞の家をどうするかを考えながら弟テハン(ペ・ヨングン)とともに家を見に行く。そこにあのオープンリールのテープレコーダーがいまだに残されていた。それを前にして、テソンはかつての父の自分への態度が、今の自分のソンホへの態度とオーバーラップするのを感じていた...

 本作品はもともとパク・ドンフン監督が2006年に製作し、好評を得た短編映画『戦争映画』の拡大版。『戦争映画』は本作品の1965年のエピソードとほぼオーバーラップしている(本作品韓国盤DVDに付加映像として収録)。それに1931年、1983年、現在のエピソードを付け加え編集しなおして長編化したのが本作品。
 まず感じるのは本作品で描かれている当時のレトロ感覚の演出が(実際に当時の雰囲気がどこまで再現されているかはわからないが)、非常に秀逸。おそらく当時はこういうのがリアルであったのではないかと思わせる説得力がある。おそらくセットは陜川映像テーマパークあたりのセットを使っているようだが、例えば1965年のエピソードであれば、朝鮮戦争の思い出話や、警戒警報にPTSD反応を起こしてしまう様など、当時の心情描写演出の細かさが光る。
 そして韓国の富裕層、エスタブリッシュメントに対する批判的な視点。弱い立場の者に対する共感のなさやかれらの卑怯さに関する描写。声高に批判するのではなくそれを映像で斜めにじっくり描いていくという、そのあたりのセンスは買いたい。
 インディーズ映画ということで韓国では多くの観客には恵まれなかったようだが、ネットでの評点の高さも納得の印象に残る作品。

 本作品の韓国封切りは2010年9月16日。全国観客動員数は2,420人(KOBIS調べ 2011/10現在)。第14回釜山国際映画祭、「韓国映画の今日」部門招待作(2009)、第15回インディー・フォーラム招待作(2010)。日本国内未公開。

 パク・ドンフン監督は1972年生まれ。ソウル芸大映画科卒業後アメリカPratt institute of the Artsで修士号取得。さらに中央大先端映像大学院映像芸術学科を修了。過去の演出作に『母』(1993)『連結』(1996)『Looking For...』(2000)『間をおいて』(2002)があり、さらにMBC韓国映像大賞短編映画最優秀賞受賞の『戦争映画』がある。2007年には初長編『少女×少女』を発表。本作が長編第2作(以上Daum映画データベースの内容を参考に執筆)。

原題『계몽영화』英題『Enlightment film』監督:박동훈
2009年 韓国映画 カラー


DVD(韓国盤)情報
発行・販売: DS Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編:120分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 9月発行 希望価格W22000

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