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zoom RSS キム・テヒファンのための韓国映画 『グランプリ』

<<   作成日時 : 2011/05/15 00:06   >>

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画像 既に日本では『リベラ・メ』『風のファイター』『ホワイト・バレンタイン』などが公開されておなじみのヤン・ユノ監督の最新作。落馬&骨折事故を起こして傷心の女性騎手の再起の物語。監督の故郷である済州島が舞台の一つとなっている。

 スンデクク食堂の娘、ジュヒ(キム・テヒ)は競馬の世界で、相棒の「青馬(プルマ)」とともに女性騎手として頭角を現しいたところ、レース中に落馬事故を起こし、右肩を骨折する。そして「青馬」も足を骨折して殺処分に。自分だけが落馬しただけではなく、相棒を失ったことにショックを受け、引退をも覚悟し「青馬」の遺灰を撒きに済州島へ渡る。「青馬」の生まれた牧場主マンチュル(パク・クニョン)に挨拶に行き、そこにしばらく滞在することになるが、そこで「青馬」の子供「タムナ」と、元牧場従業員の遺児ソシム(パク・サラン)、そして隣の帝王牧場の跡取り息子ウソク(ヤン・ドングン)と、そこの名競走馬「無敗戦(ムペジョン)」に出会う。
 ところがジュヒがソシムと「タムナ」に乗って遠出をしたことから、帝王牧場の女主人でウソクの母でもある、足の不自由なユジョン(コ・ドゥシム)が「タムナ」はかつて帝王牧場からマンチュルが連れ出した馬の子孫であることを知り、マンチュルに対し「タムナ」を返すように言ってくる。「タムナ」が大好きなソシムは泣いて反対するが、マンチュルは仕方なく返す。ところが、帝王牧場に着いた「タムナ」の足をユジョンは折るように従業員のクァンホ(ウ・ヒョン)に命じる。
 実は元々はマンチュルとユジョンと幼なじみであったのだが、その二人と「タムナ」の祖先の馬は、済州4.3がらみの因縁があり、その恨みを晴らすべく、そう命じたのだ。その命令を体を張って防いだマンチュル。
 一方、ジュヒと親しくなったウソクにも傷心の過去があった。日本の競馬界で韓国人騎手として知られた存在だった彼は、同僚が競技中に落馬事故を起こし死亡。そのショックで一時競技を休んで故郷に戻ってきたのだったが、母は彼が騎手を続けることに反対していた。ジュヒの肩の脱臼を直したことで、ジュヒと親しくなったウソクは、自分が騎士を辞め、ウソクの代わりに韓国で「無敗戦」に乗ってくれる騎手を日本からスカウトする代わりに、母に、「タムナ」をマンチュルに返させる。
 やがて傷心が癒えソウルに戻ったジュヒは「タムナ」を相棒に再び競馬界で実績をあげ始める。そんな中、日本語なまりの韓国語でジュヒに挨拶する騎手に出会う。「無敗戦」の騎手として日本からスカウトしてきた騎手のアキエダである。
 しかし、ウソクが「タムナ」を返すために不本意に騎士を辞めたことを知った彼女は、ソウル・グランプリで、ウソクの復帰を掛け、ユジョンに、アキエダ騎手の乗る「無敗戦」との対決を申し出る...
画像
 付加映像の監督の言葉によると、元々は単に傷心の騎手が復帰していくという台本だったようだが、彼が済州島出身と言うこともあり、舞台を済州島に移し、更に話にメロをいれて発展させれば面白くなるのではないかと考えて引き受けたということだ。おそらく自分の出身地を舞台にするということで、かなり気負ったのではないかと思う。そのためかどうも却っていろいろな要素を詰め込みすぎて、焦点がぼけてしまった印象がある。ちょうど気負いすぎた井筒監督の『パッチギ2』の失敗のように。
 登場人物はそれぞれ傷心の過去を持ち、それぞれに因縁を持っているのだが、それらが多すぎて、傷心や因縁を掘り下げて描けなくなってしまい、そこからの回復の部分が今ひとつ伝わりにくくなってしまっている。そのため韓国の多くのネティズンのネット評で「山場がない」との感想が出てくる結果になっている。済州4.3事件への言及も、おそらく『花雨』に先に越されたという焦りで、エピソードに入れたのではないかと思うが、必ずしも4.3事件の因縁である必然性があまり感じられず、また観客たちに4.3事件への理解を深めたとも言い難い結果になっている。

 それと、撮影をしながら台本に手を入れたのではないかと思わせるところもあり、随所につじつまが?と思わせる部分がある。そもそもウソクは元々日本の競馬界で活躍していたはずなのに(でなければジュヒはウソクを事前に知っていて良いはずだ)、なぜか、自分の代わりに「無敗戦」を韓国で走らせるために、日本から騎手をスカウトしてくる話になっているし、お互いに韓国を代表する名競走馬排出の名門牧場になっているはずのマンチュルとユジョンが、4.3事件以降今の今までお互いに生死を知らない、という設定にも無理が...

 とはいえ、熱心に演技するキム・テヒの魅力は全開。という訳で、キム・テヒファンの方々には、本作は「強推(カンチュ=強力推薦)」!

 本作の韓国での公開日は2010年9月16日。韓国での観客動員数は168,576人(2010年ボックスオフィス117位)。日本国内未公開。

 本作のDVDは、韓国盤スタンダードより画質が荒い印象。おそらく、Mpegのエンコーディングは問題がないが、テレシネ自体のクオリティが今ひとつな気がする。解像度が甘めである上に、草や森などの表現でちょっとざらつくような印象がある。また色彩もやや深みに欠ける。多分イ・チャンドン監督の『詩』と同じテレシネ機を通しているのではないか。もっとも『詩』などのUEKのディスクはテレシネが悪い上にMpegのエンコーディングのクオリティも低いという印象があるが、それよりはかなりましである。

原題『그랑프리』英題Grand Prix『』監督:양윤호
2010年 韓国映画 カラー

DVD(韓国盤)情報
発行・販売: PRE.GM 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編: 108分 
リージョン3 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層 2011年 2月発行 希望価格W22000

DVDビットレート(平均7.77M/S)
画像


エンコードはオープニングをのぞくとほぼビットレート固定。Mpegのエンコーディングは、平均ビットレートは比較的高いとはいえやはり手抜きか。

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