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zoom RSS 『パンガ? パンガ!』 - 外国人労働者を扱った韓国商業コメディ映画

<<   作成日時 : 2011/02/08 17:44   >>

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画像 外国人労働者問題を扱った商業コメディ映画。韓国のリベラリズムの現在の水準を示す貴重な証言といえる映画。

 ソウル郊外、京畿道のとある工場に、自称ブータン人、パンガという人物(キム・イングォン)が働きにやってきた。実は、彼は外国人労働者ではなく本名パン・テシクという韓国人。皮膚が浅黒く背が低いため高校時代から「東南ア」とのあだ名で呼ばれてきた。エリートになりたかったが、容貌と生まれつきの要領の悪さから失敗。同郷の先輩、ヨンチョル(キム・ジョンテ)がやっているカラオケに転がり込んできた。しかし、そのカラオケも経営がうまくいかず、彼は外国人労働者のふりして工場に職を求めてきたが、パキスタン人のふりをすれば、同じ工場のパキスタン人から怪しまれ、フィリピン人のふりをすれば、やはりフィリピン人から怪しまれ、さらにネパール人に偽装すれば高い工事現場にやられ、南の人に偽装すれば暑いところへ、北の人に偽装すれば寒いところへ... というわけで、ブータン大使夫妻以外に在韓の人がおらず、韓国人にも場所がよくわからないブータン人のふりをすることに。
 とはいえ、その工場でも要領の悪さから同僚の韓国人からも外国人からも持て余され気味。工場では「ブタンガス」とのあだ名も頂戴した。さらにヨンチョルから、彼のカラオケに外国人労働者でも連れてきてくれと頼まれるが、いくら誘っても誰もカラオケに行こうとしない。
 だが、ある日入管の摘発が入る。大半が不法滞在の、逃げ惑う外国人労働者たち。職場のアイドル的存在だったヴェトナム人労働者のチャンミ(シン・ヒョンビン)がつかまりかけるが、国外追放になる心配のないパンガは、入管職員にタックルをかけ、チャンミを救う。
 その「勇気ある」行動以来、いきなり職場での、それまでお邪魔虫だったパンガの株が上がる。捕まった仲間の釈放を呼びかけるデモの先導役にもパンガが選ばれ、パンガがカラオケに行こうといえば、皆も素直についてくるようになる。おかげで、カラオケ店を売って故郷で食堂を開こうとひそかに画策していたヨンチョルも、なんとか高値でカラオケ店を売る算段が付く。
 職場のアイドル、チャンミにも好意を持ってもらえるようになる。しかし、彼女には別れたヴェトナム人の夫との間に韓国生まれの息子があり、息子のため在留資格を得るために韓国人と結婚するのだと言う。パンガは自分が韓国人だと告白しようとするのだが、彼女が結婚しようとしていたのは先輩のヨンチョルであった。
 ところが、ある時、パンガが韓国人の証明である住民登録証を持っていることがばれてしまう。偽装外国人労働者だったことがばれるかと思いきや、皆、金はいくらでも出すから自分にも「偽装」登録証を作ってほしいと頼んでくる。パンガは何とか断ろうとするのだが、実は自分のためにヨンチョルの知らないうちにヨンチョルのカラオケ店は抵当に入っており(そのためパンガはヨンチョルのカラオケ店売却計画に反対していたのだ)、ヨンチョルがカラオケ店を売ったとしても幾らも資金が残らないことが明らかになるのだ...

 外国人労働者の人権侵害状況や彼らの境遇を笑いに乗せて伝えるという非常に貴重な映画。外国人労働者が韓国人を偽装しようとするという話はよくあるが、逆に韓国人が外国人労働者を偽装するという卓抜なアイディアが、本作品の外国人労働者への共感を支えていることは間違いない。コメディとしては多少あか抜けないところもないではないが、本作の挑戦には拍手したい。
 国家人権委員会製作の映画やインディーズ系映画では外国人労働者の人権啓発を行う映画はすでに作られていたが、商業的なコメディ映画としてこのような題材を扱うのはおそらく初めて。日本でもシリアスな映画の題材としては取り上げられていたと思うが、コメディとして作られた映画というと、私の知る範囲ではちょっと思いつかない。そういう意味ではかなり意欲的な作品。ただ、やはり純商業的な投資としては企画が実現できなかったらしく(DVDジャケットの記述では、撮影までの準備に5年を要したという)、2009年度映画振興委員会の資金援助を受けている。とはいえ、300本余りの資金援助申請のなかから選ばれた、数少ない完成度の高いシナリオだったということだ。
 それでもKOFIC(映画振興委員会)の情報によれば2010年9月30日に封切られて全国観客動員数が98万4634人ということで、商業的にはまずまずの成功を収めている。人権啓蒙の良い映画が作られることも重要だろうが、それがやはり多くの人口に膾炙することが必要だ。そういった意味では非常に画期的な作品だし、韓国のリベラリズムの現在の成熟ぶりをうかがわせる作品。
 もし、今の日本でこういった作品が作られたとしたら... 残念ながら、おそらくネトウヨあたりが、外国人の違法行為を正当化するような映画はけしからんと騒ぎ立てそうだ。

 なお、パンガという主人公の名前は、主人公の本名がパンなのと、韓国語で「歓迎する」という意味の「パンガッタ」をかけている。

 本作品は日本未公開。

 監督のユク・サンホは1964年生まれ。ソウル大学国語国文科卒業後、スポーツ新聞記者として勤務。シナリオ作家として脚光を浴びた1998年、南カルフォルニア大学へシナリオを学びに留学。帰国後『アイアン・パーム』で長編監督デビュー。さらに2004年『達磨よソウルへ行こう』を監督。本作が長編3作目。また、シナリオ作家としてはイム・グォンテク監督の『祝祭』(1996)の脚色を担当したり、キム・ホンジュン監督の『バラ色の人生』(1994)のシナリオも担当している。以上記述はDaum映画データベースを参考に記述。
 
 また、主演のキム・イングォンは『海雲台(邦題: TSUNAMI)』や『隣の男』で助演を務めていた。おそらく本作が初主演作ではないかと思われる。

 韓国盤DVDは本編と付加映像の2枚組。付加映像には、撮影現場、試写会場、予告編等が含まれるが、撮影現場映像はだらだら撮影現場が流れるばかり、試写会場映像も、招待された芸能人が、「期待できそうだ」とか当たり障りのないコメントを言うばかりで、個人的にはあまり資料的価値が高いとは思われない。本編の解像度は、韓国映画DVDとしてはベストとは言えないがまずまずといったところ。

原題『방가? 방가!』英題『Delighted? Delighted!』監督: 육상호
2010年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:KD Media 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 韓国語 本編:110分
リージョンALL 字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(2枚組) 2011年 1月発行 希望価格W23100

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