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zoom RSS 失業を家族に告げられない男を描く『日課 (l'emploi du temps)』

<<   作成日時 : 2010/08/10 08:01   >>

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画像 やはり『パリ20区、僕らのクラス』のローラン・カンテ監督による作品。失業してしまったがその事実を家族に告げられず、仕事をしているふりをして悪あがきをする男を描いた作品。

 企業コンサルタントだったヴァンサン。彼は会社解雇後もその事実を家族に告げられなかった。仕方なく、出勤をするふりをしては公園や駐車場に車で出かけて時間をつぶす日々。だが実は彼の日課表は真っ白。そして度々今日は出張のため家に帰れないと電話しては、自分の車の中で野宿をするのだった。
 しかし、さすがに蓄えも少なくなり、これ以上家族に誤魔化しきれなくなる。そこで、彼は家族に今の会社は出張が多くて忙しすぎるので、ジュネーブの国連関連のアフリカ島発展途上国への投資をコンサルティングするNGOに転職することを決めたと告げる。さらに、ジュネーブに行くたびにホテルに泊まるのは高いのでアパートを買いたいと家族に話し、その頭金として妻の父親から20万フランを借りるのに成功する。
 これに味を占めたヴァンサンはさらに実際にジュネーブのNGOに出かけ、投資計画に関するパンフレットを仕入れ、更に知人らにアフリカ投資をしてみないかと呼びかけて資金集めに走る。
 だが、あるホテルで彼が「クライアント」と「投資」話をしている模様を、ある男がじっと見つめて、やがて彼にアプローチしてくる。「君のスイスの仕事の話を聞かせてくれ」。彼は変なものを感じてその場を取り繕って逃げだそうとするが、その男はヴァンサンに名刺を渡し、「後で必ず連絡してくれ」。
 だがヴァンサンは同じホテルのロビーでうたた寝しているところを再び男に捕まってしまう。その男は、ヴァンサンの投資話を一通り聞くと「君の話には具体性がない」そして「君は自分の話している話を信じていないようだが...」。結局ヴァンサンは彼のやっていることをその男ジャン=ミシェルにすっかり見透かされてしまう。男は「私は警察ではない。ただ君を手助けしたいんだ」。結局洗いざらい告白したヴァンサンに彼は「君は正気かね?」。「でも時間稼ぎにはなる」というヴァンサンに、男は自分の仕事を手伝わないかと問う。実は彼は偽ブランド品を東欧で作らせてはそれをフランスなどに持ち込んで売り込むブローカーなのだった。この仕事なら利益率も高いし、借りた資金も返せると説得されたヴァンサンは彼の一味になることを決める...

 日本でもバブル崩壊後、自分が失業したことを家族に話せない人々が話題になっているが、フランスでも事情は同じようだ。このようなタイムリーな話題をいち早く2001年に取り上げて映画化したローラン・カンテ監督の慧眼はさすが。もっともイギリスの『フル・モンティ』は1997年だったが。しかし韓国で同様な話題を扱ったイ・ジュニク監督の『楽しい人生』は2007年、そして日本で扱ったのは黒沢清監督の『トウキョウソナタ』の2008年。
 だんだん嘘を積み重ね、徐々に引き返せなくなる微細な心理の描写は非常に巧み。まさに『パリ20区...』の微妙な先生と生徒との間の心理的駆け引きの描写に通じるものがあり、これこそがローラン・カンテ監督監督の持ち味なのだと納得させられる。この巧みな描写力のおかげで見ていて非常に身につまされる。そんな中で人生の中で働くことの意味、あるいは人間としての地位、名誉や体面とは、さらには家族とは一体どんな意味があるのかということを正面から改めて突きつける作品。

 DVDはフランス盤の他、イギリス盤、アメリカ盤が少なくとも出ている。英語字幕を求める方は、イギリス盤、もしくはアメリカ盤がよいだろう。

原題『L'emploi du temps』英題『Time Out』監督: Laurent Cantet
2001年 フランス映画

DVD(仏盤)情報(ローラン・カンテDVDボックス Coffret Prestige Laurent Cantet)
発行・発売:France Télévisions Distribution 画面: PAL/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1 仏 本編: 128分
リージョン2 字幕: なし 片面二層(4枚組) 発行年2009年10月 amazon.fr価格 € 29.99
※ローラン・カンテボックスには、本作以外に、『パリ20区...』『人事(Ressources humaine)』『南を目指して(ver le sud)』を含む。上記データは基本的には本作品に関してのみのデータ。

単品販売あり

『パリ20区 、僕たちのクラス』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201005/article_7.html

『人事』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/201010/article_7.html

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