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zoom RSS イ・ジェヨン監督の最新作『女優たち』

<<   作成日時 : 2010/07/09 07:11   >>

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画像 イ・ジョンジェとイ・ミスクが出演し、不倫を扱った『情事』、ヨン様が出演し好色な両班を演じた『スキャンダル』で知られるイ・ジェヨン監督の最新作。元々『情事』『スキャンダル』などで韓国の倫理意識に挑戦してきた監督だが、『多細胞少女』で韓国では珍しいミュージカルに挑戦し、映画の方法論的な挑戦路線を行き始めたイ・ジェヨン監督、果たして本作では...?

 2008年のクリスマスイブ。ファッション画報誌「ヴォーグ・コリア」のグラビア企画、「宝石より美しい女優たち」の撮影ため、韓国のトップ女優6人がソウル江南の清譚(チョンダム)洞にある撮影スタジオに呼び集められた。呼び集められたのは60代のベテラン、ユン・ヨジョン、50代を代表してイ・ミスク、そしてコ・ヒョンジョン、チェ・ジウ、キム・ミニ、キム・オクビン。とはいえ自分こそがトップという強い自負心を持つ女優たち、6人を並べて呼び寄せるのは並大抵のことではない。女優たち自身もお互いに対する引け目やコンプレックス、羨望、年長・大物俳優に対する気遣いで、呼ばれる方も憂鬱。直前になって出来れば行きたくないとごねる女優も。だがヴォーグ編集次長の強い要請によりともかく6人が集まることになった。
 何とかぎこちなく顔を合わせた6人だが、案の定トラブルが。日本向「韓流女王」の地位を固めたチェ・ジウに対し、同世代で「韓流」に乗れない国内向け女優コ・ヒョンジンがやっかみから難癖をつけ口げんかが勃発。それでも何とか撮影は始まったが今度は日本から送られてくるはずの宝石が、日本の大雪で飛行機のダイヤが乱れ、いつ現場に到着するか分らないという。
 別の日に撮影して欲しいという女優たちに、宝石は撮影終了後翌日シンガポールに発送する予定だからどうしても今日撮影しないとダメだと編集次長。仕方なく女優たちは宝石の到着を待つことに。
 待っている間の退屈しのぎにと、チェ・ジウが焼き芋を差し入れ、さらに家がすぐ近所のコ・ヒョンジョンがシャンパン類を差し入れて、女優たちの本音トーク炸裂の即席パーティーが始まった...

 女優たちのあけすけなつばぜり合い、お互いに対するコンプレックスと嫉妬の発露に、これって事実... と絶句する観客もいるかもしれない。が、今回のイ・ジェヨン監督の挑戦はフェイク・ドキュメンタリー。どこまでが事実でどこまでが演技なのか観客を疑心暗鬼の渦に放り込もうという作戦。フェイク・ドキュメンタリーと言えば、やはりまず思い浮かぶのはイランのアッバス・キアロスタミ監督の『クローズアップ』、そして日本でも、国内的にはあまり注目されなかったが、梶俊吾監督の『駅弁』などが記憶に残る。DVDの付属パンフには韓国「映画史上空前絶後の企画」と書かれているが、実は既に90年代に発表された、当時異色のカルト監督と言われたチェ・ヤソンによる『パパラッチ』『ロケットは発射された』あたりもフェイク・ドキュメンタリー企画映画と言って言えるし、キム・ギドクの超長回し、リアルタイム撮影企画の『リアル・フィクション』あたりも微妙なところか。とはいえ、メインストリームの映画としては異色の企画であることは間違いない。

 タネを明かせば、もちろん、チェ・ジウとコ・ヒョンジンの喧嘩場面などがドキュメンタリーであるはずもなく、基本的にはイ・ジェヨン監督による脚本に従った演技であり、しかも撮影は2009年6月。撮影時期は冬でさえない。
 ただ、登場人物の大半は本物。各女優たちは自分自身を演技しているほか(もちろんだ)、ヴォーグ・コリアの編集次長も、編集担当かどうかは分らないが実際にヴォーグ・コリアの次長だそうだ。化粧などの各現場スタッフもそう。チェ・ジウを訪れる日本人ファンは、実際にチェ・ジウの日本ファンクラブに呼びかけて、撮影時に韓国に旅行に来る予定の人を募って、撮影現場に来てもらったそうだ。
 DVD付録の監督・俳優コメンタリーで女優たちが、彼ら素人の演技の自然さに驚嘆していた。また日本人ファンがわざわざ来た場面に関しては、日本人のファンって俳優をとてもよく応援してくれるのよね、と非韓流女優たちがうらやましがっていた。また編集次長が他のスタッフに、女優たちは気分害さないように適当におだてるよう指示を出す場面では、やはりコメンタリーで、実際にも裏でああ言われているのかしらね... と複雑な心境のコメント。 ただ、最後の女優たちの座談場面では、実際に女優たちにお酒を飲んでもらって気楽に本音トークをしてもらったようだ。
 
 というわけで、虚実ない交ぜになっており、ある部分やはり女優たちの実際の本音部分も含まれている。女優の内に潜む意外なコンプレックスやライバル心、嫉妬心、離婚にまつわる苦労話など、どこまで本音かどうかは分らないが、彼らのファンであれば間違いなく興味津々の話題である。DVDを購入し、かつ韓国語のヒアリング能力のある人は、一度本編を通してご覧になり、さらに、本当のところどうなの... という興味で再度コメンタリーを再生して楽しめば、1本で2回楽しめるというお得企画である。本作品に関しては映画館で楽しむより、DVDで楽しむのが正解かもしれない。あるいは韓国で売れないDVDの販売活性化企画なのかも?

 なお、女優たちのファンであったり、あるいは監督の遊び心や挑戦の意味が理解できる人には十分楽しめる作品だが、人によってはDVDのおまけ映像みたいな映像をだらだら104分も見せられて... と感じる人もいるかもしれない。韓国の観客の評価も高評価と低評価に割れている。

 韓国盤DVDに収録されている映像は透明度の高い画像でなかなか良好。

 本作品は現在のところ日本国内での上映は未定。ただ、下記のニュース(2010.5)によるとシネカノンとメイツ社が国内上映権を買ったそうなのだが、シネカノン、公開できるの?
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=6&ai_id=114681


原題『여배우들』英題『The Actresses』監督:이재영
2009年 韓国映画

DVD(韓国盤)情報
発行・販売:EIN S&M 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1/2 韓国語 
本編: 104分 リージョン3 字幕: 韓/英 片面二層(2枚組) 2010年 6月発行 希望価格W22000


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