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zoom RSS 移民労働者問題を子供の目線から描いた『セリとハル』-韓国映画-

<<   作成日時 : 2010/04/04 00:01   >>

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画像 今日の韓国において、実質的にかなりの数の移民が入ってきている。もちろん、その大きな勢力は単純労働者として入ってくる人々。そしてもう一つは、韓国男性の結婚難に伴い海外から花嫁として入ってくる外国人女性たち。そんな移民たちのくらしを子どもたちの目を通して描いた韓国のインディーズ映画作品が、本作『セリとハル』である。

 舞台はソウル近郊の工場が立ち並ぶ南揚州市。セリ(チャン・ミジ)はゴルフクラブ製造工場に勤める韓国人の父親とベトナム人の母親の間に生まれた小学生。彼女はその他人とは異なる容貌から、学校では同級生からいじめを受けている。そのため最近彼女は母親を避けるようになってきた。彼女の唯一の夢は同姓同名のプロゴルファー、パク・セリ選手のように自分もプロゴルファーになること。一方韓国生まれのハル(チェ・セナ)は、父親が不法滞在労働者のフィリピン人。母親は不法滞在の取り締まりにあって逃げる途中、交通事故にあったが、不法滞在がバレてはと父親が躊躇したため、病院にも連れて行かれないまま亡くなった。彼女は本来なら中学生の年齢だが、父親が、不法滞在で学校に入れることを躊躇したため、現在セリと同級生。
 セリとハルは元々教会が運営する移民労働者支援センターに仲良く通っていたが、最近セリがいじめを受けていることもあって、自分が外国人のハーフであることを恥ずかしく思うようになって、ハルを避けたり、同級生の言うなりになってハルをいじめるのに加担したりするようになってから、お互いの仲がしっくり行かないようになった。
 そんな中、セリの妹をお腹に孕んでいた母親が突然倒れ、流産する。病院では工場で使われていた薬品が原因なのではないかと言われる。一方、韓国生まれで韓国語しか話せないハルは入管の不法滞在取り締まりにおびえる日常に嫌気が差している。そんな中支援センターの牧師がお膳立てしたTV局の不法滞在者の取材に応じる決意を固めるが、父親は事を荒立てるだけだと強く反対する。だがTVの取材を通して支援者を増やすことを考えるべきだと彼女は強く主張する。そして彼女の取材結果が放映されると果たして多くの支援者から義捐金や勉強道具がセンターに届く。
 しかし、その一方入管の取締官が、偶々出会ったセリに、ハルの父親の働く工場はどこかと訪ねるのだが、彼らが取締官だと気づかなかったセリは、ハルの父の職場を教えてしまう...
 
 映画は、大上段に構えた政治的メッセージを扱わず、あくまでセリとハルという二人の少女の目線から語られることにより、在韓外国人たちの生活上の困難をより効果的に描いている。また外国人労働者同士が分断されなかなか連帯に至らない現状や搾取されている現状も余すことなく描かれている。
 また外国人労働者を取り巻く社会的雰囲気の違いにも、ちょっと驚かされる。映画の中では地域の人々が入管の取り締まりに異議申し立てをして、取締りの車を包囲してしまう場面が見られるが、日本では(特に最近では)、違法であったとなれば、その措置に対して実力行使をしてでも異議申し立てをするなんて考えられそうにない。だが、そのような日本の過剰順法精神が正しいのかどうか、考えさせられた。日本にあっても70年安保までは、たとえ実力行使をしてでも自分たちの主張を通そうとする社会勢力が存在し、それに対し一定の理解を示す集団が存在していたものだが...

 ただ多少残念なのが、おそらく職業俳優ではない二人の演技にやはり硬さが見られること。

 チャン・スヨン監督がこの映画を撮ったきっかけは、2004年にやはり不法滞在労働者の父を持つバングラデシュの少女タミアが、いじめなどを受ける経験などを経て、優秀な成績を収めクラス委員長になったという話を新聞記事の片隅で読んだことにあるという。

 本作品は2009.11第1回移民映画祭にて国内上映済み。

 チャン・スヨン監督はトクソン女子大社会学科卒。1997-2000年ドイツ・ミュンヘン映画大学へ留学。その後ミュンヘンのCATV局に勤務し、帰国。帰国後は『ワイキキ・ブラザーズ』『バス停留所』の演出補助。『5つの視線』の中の『お姉さんが理解しなきゃ』の助監督を経て、本作が長編デビュー作。以上Cine21データベースより。

原題『세리와 하르』英題『Seri & Harr』監督:장수영
2008年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行・販売:WIDE MEDIA 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 
本編: 91分 リージョンALL 字幕: 韓/英 片面二層 2010 年 1月発行 希望価格W19800

付記
本作品は、2010.11.25立教大学イベントである映画上映会及び講演会「韓国映画に見る外国人の子どもたち―映画とトーク」にて再度上映予定があるようだ。
http://www.rikkyo.ac.jp/research/laboratory/interdisciplinary/events/events_info/2010/1125/index.html

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