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zoom RSS 『終電で来たお客たち』 DVD「ユ・ヒョンモク コレクション」の一作

<<   作成日時 : 2010/01/01 08:29   >>

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画像 『誤発弾』で有名であり、今年物故した韓国映画界の重鎮、ユ・ヒョンモク監督の1967年作メロドラマ映画。年末に韓国で出た「ユ・ヒョンモク コレクション」DVD収録作品。社会からの疎外感を持つ三人の男性と女性との関係を描いた作品。

 本作品は、良くも悪くもユ・ヒョンモク監督の特徴が出た作品と言えるだろう。有名な『誤発弾』でもそうだが、ユ・ヒョンモク作品には観念に走る部分があり、本作品にもその傾向が見られる。また、男性の持つ、女性に対する思い入れの重さ(同時に「女性」は、社会、あるいは俗世間への象徴となっている)とその空回り傾向も顕著である。
 本作品の場合は登場人物の3人の男性はいずれも社会(or 俗世間)から疎外された感覚を持っており、それが同時に女性からの疎外として表現される。男たちは、所詮俗世間など馬鹿馬鹿しいという気持ちを持つと同時に、その一方で世間とつながりを回復したいというアンビバレントな気持ち(簡単に言えば世間から拗ねた姿勢)を持っており、それが彼らの女性との関係の持ち方に象徴される。
 それが最も顕著に表現されているのが、本作品のメインキャラクターでもある33歳の若さで末期肺癌に侵されたドンミン(イ・スンジェ)。映画の進行を見ると必ずしも肺癌患者である必然性はなさそうなのだが、世間から拗ねた姿勢を持たせる理由付けとしてそう設定されているのだろう。そこへ、天使の様に舞い込んできた女性がボヨン(ムン・ヒ)である。ドンミンはボヨンに対しアンビバレントな感情を持ちつつ、当初彼女の受け入れを拒否するが、散々彼女に対して揺れた後、映画の最後では生きる(=社会につながる)希望を持って彼女の愛情を受け入れていく。
 一方彼の友人であるチュンヒョン(キム・ソンオク)は一旗揚げようと妻を置いて日本に行き、成功して戻ってくるが、妻は家を出奔。妻の代用としてインスク(アン・インスク)を囲い込み、自作の前衛絵画展を開くなど色々あがくのだが、結局妻との関係は回復せず(つまり社会との関係を回復できず)自裁する。
 この中で比較的社会との折り合いが良いのは精神科医のキョンソク(ソン・フン)。とは言え、大金持ちの未亡人であるセジョン(ナム・ジョンイム)の求婚をなかなか受け入れない。金持ちと結婚したと言われたくないとの理由からである。結局彼とセジョンとの結婚式は、正統な遺産相続者と判明したボヨンが式場に現れることで大混乱に陥る。

 おそらくは『誤発弾』に見られる様に体制批判的な表現者として活動しようとして、それが上手くかなえられない、社会的に受け入れられない、監督自身のもどかしい思いと、女性に対するコンプレックスがない交ぜになって表現されている様な、そんな作品と言える。

 ユ・ヒョンモク作品は東京のフィルムセンターで特集上映が行われているが、東京近郊に住む人以外にはなかなか目に触れる機会のない作品でもある。今回、韓国映像資料院からユ・ヒョンモク監督追悼作品集として、韓国盤ながらも日本語字幕付きでDVDがリリースされたのは大変喜ばしい。しかもリストア映像、アナモルフィック収録であり、韓国の歴史的作品がこれ以上の画質でリリースされることは望むべくもない。韓国映画史に関心のお持ちの方は是非購入をお勧めする。

 また、『憎くてももう一度』シリーズなどで一世を風靡したムン・ヒの魅力をDVDの最良画質で堪能するには、本作品集DVDがベストであろう。

原題『막차로 온 손님들』英題『The Guests of the Last Train』監督:유현목(兪賢穆)
1967年 韓国映画

DVD(韓国版)情報
発行:韓国映像資料院/BLUE KINO 販売:トクスン・メディア ※以下本作品に関する情報 
画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby1 韓国語 本編: 106分 リージョンALL
字幕: 韓/英/日 片面一層 (全体では4枚組) 2009 年 12月発行 希望価格W49500 (分売なし)

※ユ・ヒョンモク コレクションには本作以外に『あなたと永遠に』『金薬局の娘たち』『梅雨』を収録

ソウル・セレクション販売サイト (英語)
http://www.seoulselection.com/index.php?page=shop.product_details&category_id=2&flypage=flypage.tpl&product_id=2730&option=com_virtuemart&Itemid=53

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ユ・ヒョンモク監督後期の名作 朝鮮戦争を描いた『梅雨』 -韓国映画-
 ユ・ヒョンモクコレクションの中の一編。1979年製作の作品で朝鮮戦争における人々の対立の愚かさを描いた作品で、有名な『誤発弾』につながるユ・ヒョンモク監督面目躍如の作品と言えるだろう。 ...続きを見る
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2010/03/01 17:29

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