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zoom RSS 映画の裏方たちを描く『俺たちはアクション俳優だ』

<<   作成日時 : 2009/03/30 00:49   >>

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画像 2008年の韓国ドキュメンタリー映画。2004年ソウルアクションスクールに入学した、スタントマン志願の8期生のその後を追ったドキュメンタリー。一般の映画ファンにも十分お勧めできる笑いと感動のあるドキュメンタリー映画に仕上がっている。本映画のチョン・ビョンギル監督自身、自分探しであちこち彷徨した末にアクションスクールに入学した、この8期生の一員である。

 映画は監督自身、そしてスタントマンになったクォン・キドク、クァク・ジンソク、シン・ソンイル、クォン・ムンチョルを中心に、さらにスタントマンの夢破れて済州島に帰ったチョン・セジンを加え、彼らの2004年から2008年までの軌跡を追っていく。
 2004年入学のアクションスクールは当初入学生が36名、しかし過酷な訓練に耐えかねてた脱落者が続出し、たちまち半数以下に。最後の合宿を終えて修了映画の撮影に参加したメンバーはわずか13名。さらに卒業後、この映画撮影開始時に実際にスタントマンをやっていたのはわずか4名だった。
 その脱落者の一人は監督自身で、自分を格好良く主人公にした映画を作るため修了映画の監督を志願した監督だったが、自分よりスタント能力の優れた同期生の姿を見、また自分の能力はスタントよりもむしろ演出の方であることを自覚して、映画監督に転身したのだ。
 映画は監督を含めたアクションスクール志願生の笑える志願動機やオーディションビデオなどを紹介しつつ、アクション、運動能力よりもまず人物本位で選択していた選抜過程を紹介。さらに実際にスタントマンの道を踏み出した4人を追って、その裏の苦労の過程を追っていく。その一方、撮影現場では寝てばかり、そのうち何を思ったかソウルで背中一面に入れ墨を彫ってしまった、何を考えているんだか分からない笑えるセジンの姿も追ったりするのだが。

 我々、映画やドラマを見る際にここから先はスタントマンがやっているから大丈夫、と何の根拠なく思ってしまうが、実はその全然大丈夫でない危険と背中合わせのスタントマンの日常がさりげなく紹介される。
 俳優の気まぐれで現場に来なくて100人のスタッフが手持ちぶさたで待たされた(『1番街の奇蹟』)などというエピソードは可愛いもので、ジンソクの場合は3階からの落下シーンで速度制動用のロープをかけ忘れて自然落下そのままのスピードで落下、体のあちこちを骨折して半年間の入院生活を余儀なくされるとか(でも友達や同僚が心配して毎日の様に見舞いに来てくれたので嬉しかった、と言っていたが...)、「ノムノムノム」の撮影現場で、『オールドボーイ』などのアクション演出で名をはせたアクション監督がロケ先で死亡して、アクションチームが急遽帰国するエピソードなど、文字通り死と背中合わせの日常が綴られる。

 その一方で韓国ならでは(?)の問題も感じさせられた。まずアクション・スタントの現場が若い人たちばかりである。日本のアクション現場であれば相当ベテランの殺陣師やアクション監督がいて現場を仕切るのではないかと思うのだが(40代、50代のアクション俳優もいる)、死亡した「ノムノムノム」のアクション監督チ・ジュンヒョン氏は享年33歳(恐らく満年齢では32)と非常に若い。その分、若さに任せて演技する傾向が強く、安全に対するノウハウの蓄積が薄いのではないかと思わされた。とにかくおよそ40代になっても勤められる様な現場ではない。
 また良くも悪くも韓国人の行き当たりばったりのやり方(この撮影チーム自体、「ノムノムノム」のロケ現場に撮影に行こうとして、事前に「ノムノムノム」の製作事務所と何のコンタクトも取らずいきなり中国のウルムチまで行って撮影許可をもらえずすごすごと韓国に引き返している)が、安全確認の不徹底につながっているのではないか(人命に関わる制動ロープのかけ忘れなど、ちょっと信じられない)。....とは思うのだが、実際に日本のスタントや殺陣の現場はどうなのだろうかと改めて気になった(かつて勝新太郎の『座頭市』の製作現場で俳優が真剣を振り回し、殺陣師がその真剣で切られて死亡する事故も起こっているし...)。

 結局、映画撮影開始当時4名だった現役スタントマンたちのうち、もともと歌手志望だった1名は仮面ヒーローショウの着ぐるみ俳優に転身。2名はチ・ジュンヒョン監督の死亡後スタントマンの引退を決め、一人は弘益大前で飲食店経営に、もう一人は無期限のバックパック世界放浪の旅に出ることに。ただキドクのみがスタントマンを続けている。

 彼らは、引退を決めた後にある女子高校から講演の依頼を受け、現場でアクションを見せることに。彼らの演技に女子高生は驚き、会場は大いに沸く。月並みだが、ある女子高生が言った「楽しく見ている映画やドラマの陰でこんなに苦労している人たちがいるなんて知らなかった」という感想を、そのまま自分の感想としたい。

 キドクが酔って語る、殴られても何でもないふりをするけれども、アクション俳優だって殴られりゃ、痛いものは痛いんだよ、という悲痛な言葉が忘れられない。

 とにかく2008年全州国際映画祭JIFF最高人気賞受賞納得の出来のドキュメンタリー映画である。日本未公開作品。

原題『우린 액션배우다』英題『Action Boys』監督:정병길
2008年韓国映画

DVD(韓国版)情報
販売: Art Service 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 韓国語 本編: 110分
リージョン3 字幕: 韓/英 片面二層 2009年2月発行 希望価格W25300

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韓国映画『良い奴、悪い奴、変な奴』- その不評の理由
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