マニ・ラトナム監督タミール語映画 - 『A Peck on the cheek(ほおにキッス)』

画像 スリランカの主流派であるシンハラ人と反政府派タミール人との間の紛争を題材にしたインド映画。
 アマンダはタミール人とシンハラ人の間の紛争のためインドに避難してきたタミール系スリランカ難民の娘。母親はインドに到着するや否やアマンダを産み落としたが、育てることが出来ず、直ちにタミール系インド人のティルとインディラの夫婦に娘として引き取られたのだ。義父のティルはエンジニア兼高名な小説家。義母のインディラはアナウンサーで、その夫婦の元で何も知らず何一つ不自由なく幸せに天真爛漫に育ったアマンダ。しかし彼女の9歳の誕生日に、夫婦は彼女の本来のルーツを教えようと決意する。アマンダは、自分が実はスリランカ難民の娘だと知って非常にショックを受ける。

 だが気を取り直したアマンダは自分の産みの母親を捜し出すことを決意し、一人で自分が産まれた病院へ行き母親の名前を探し出すが、実の母は既におらず、再びスリランカに戻ったらしいことが分かる。心配してアマンダを探しに来た父母に対し、自分の産みのの母捜しを手伝ってくれる様せがむ。小説家であるティルはスリランカから丁度講演に呼ばれることになり、その機会にアマンダと妻のインディラを連れてスリランカに渡る。父が公演を行っている間、会場外の公園で待っていたアマンダは目の前でタミール人のテロリストがテロを行う模様を見てショックを受ける。
 公演終了後、シンハラ人の友人の手引きで両親とアマンダは、アマンダの産みの母がいそうな場所を探すが、なかなか行方が分からない。ようやく母親がいそうな場所を探し当てるのだが、そこはタミール人の反政府ゲリラが闊歩する危険な場所であった。果たしてアマンダは産みの母と出会えるのだろうか...

 前半は、インド映画らしい華やかな歌と踊りが展開する家族コメディ仕立ての映画であるが、インターミッションを挟んで後半、一転してシリアスな展開となる。その対比が、スリランカにおける紛争の深刻さを浮き彫りにする。
 人物造形やストーリー的には、多少型にはまった様な部分も窺えるが(逆にそういったフォルマリズムが本来インド映画の特徴とも言えるだろう)、タミール語映画とはいえ、一方的に反政府タミール人側に肩入れする様なことはなく、スリランカの紛争を悲しむべき悲劇として描き出している。但し、なぜスリランカでこのような紛争が起こっているのかというような社会的バックグラウンドは、この映画の中では明らかにされていない。

 なお、監督のマニ・ラトナムは日本でも公開された『ディル・セ - 心から』、『ボンベイ』などで知られる。確かに、基本的な映画の構造は『ボンベイ』にかなり近いものがある。『ボンベイ』のスリランカ紛争版と言うことが出来るだろう。しかし、先日のムンバイ(ボンベイ)のテロ事件を見ると、マニ・ラトナム監督が『ボンベイ』で描いた事態は未だ今日的であることに改めて感慨を抱かされる。

 DVDは、画面はアナモルフィックとなっているが、テレシネの質が今ひとつなのが残念だ。

原題『Kannathil Muthamittal』 英題『A Peck on the cheek』監督:Mani Ratnam
2002年インド(タミール語)映画

DVD(US版)情報
販売: Film Movement 画面: NTSC/16:9(1:2.35) 音声: Dolby2 タミール(一部シンハラ)語 本編: 136分
リージョン1 字幕: 英 片面二層 200 年 月発行 希望価格$19.95

Film Movement DVD情報
http://www.filmmovement.com/filmcatalog/index.asp?MerchandiseID=56
なお、こちらにはScreen Format: 4x3 Not Widescreenとあるが実際にはアナモルフィック収録であった。

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