韓国映画『ホワイトバッジ』日本語字幕付Blu-ray発売

本映画のあらすじ等はこちら
『ホワイトバッジ』 Movie Walker
https://movie.walkerplus.com/mv16641/
アン・ジョンホの同名の小説を映画化した作品。簡単に言えば韓国版『プラトーン』というところだが、ベトナム戦争での不条理が一つ一つ描かれており、韓国軍がベトナム市民に対して行った戦争犯罪も含めてきっちりと直視し描いている。チョン・ジヨン監督の最高傑作と言ってよいだろう。ちなみに『プラトーン』は当時ベトナムと米国間の国交がなかったためフィリピンで撮影されているが、本作は制作時期は、韓国とベトナム国交樹立直後であり、実際にベトナムでロケを行って撮影されている。
なお、録音の一部は日本のアオイスタジオがかかわっており、ドルビーミキシング担当に安藤邦夫の名がみえる。また現像の一部は東映化学となっており、オプティカルレコーディングや、色の補正を担当していた。
本作品はすでに国内でも韓国でもDVD化されているが(ちなみにDVDの原盤は日本で制作、ブロードウェイより2004.8.6発売)、レターボックスであり画質的にも今一つであった。今回のBlu-rayは韓国映像資料院が製作しており、4Kレストア原盤をもとにつくられている。夜間戦闘シーンや、主人公の家などの暗いシーンも鮮明であり、汗の一滴一滴まで再現されている。今回の出されたディスクが決定盤といえよう。韓国盤ではあるが日本語字幕も収録されており、韓国商品を扱っている通販サイトを通じて購入することができる。
ちなみに韓国語コメンタリーに紹介されていた裏話をいくつか紹介する。
・原作小説を最初に読んだのはアン・ソンギであり、彼が『南部軍』撮影中チョン・ジヨン監督に映画化してはどうかと紹介した。
・アン・ソンギは、韓国外国語大学ベトナム語学科を卒業(1973)したが、当時ベトナムと断交状態であったため、ベトナム語を使う機会もなく、撮影当時はすっかり忘れている状態だった。
・チョン・ジヨン監督は入営中、映画を作るなら戦争をも体験する必要があると思ってベトナム戦争に参戦を志望したが、却下された。
・主人公の一人、ビョン・ジンス役は当初、チェ・ミンスがキャスティングされていたが、別の映画を撮るために辞退し、イ・ギョンヨンに交代した。結果的にはチェ・ミンスよりもイ・ギョンヨンが適役だった。
・映画の初めの方、アン・ソンギが演じるハン・ギジュ記者が息子と別れを告げる場面は建国大学にある池(今も現存)で撮影。ただし映画では横で釣りをしている人が出ているが、実はこの池では釣りが禁止されているので本当はまずい。
・製作費は当時約25億ウォン。当時の韓国映画としては史上最大の映画製作費だった。
・ベトナムでのロケ日数は約80日間。ベトナムのロケ地はいずれも車で2時間以内の場所に設定された。
・ロケでは当初、ヘリコプターを『地獄の黙示録』では15機使ったというので、自分も15機借りることでベトナムの映画社と合意していた。ところが、ロケで現地に行ってみると2台しかなかった。理由を聞くと、国連軍カンボジア監視団のためヘリコプターを回してくれと言われ、故障した2機をのぞいてカンボジアに送られてしまったという。残ったヘリで大丈夫なのかと問うと、一所懸命直したから大丈夫だと現地のスタッフは言った。
ところが、撮影当日空から来るべきヘリコプターがトレーラーに乗ってやってきた。これでヘリコプターに乗らなければならない俳優たちはすっかり恐怖におびえてしまった。仕方なく監督が一度ヘリに乗って1週回ってみたものの、俳優たちはみなヘリコプターに乗るのを怖がっていやがったが、それでは撮影が進まないので、仕方なくアン・ソンギが肝を冷やしながら率先して乗った。
しかも、映画会社は一人当たりの生命保険を5000万ウォンしか掛けていなかったので、のちにトラブルになった。
・シム・ヘジンが躍るショーパブは、当時実際に東豆川にあった米軍キャンプ前のショーパブにてロケ。
・映画終盤に近いデモ隊と警官隊が衝突する場面は漢陽大学安山キャンパスでロケ。
・最後の場面をどうするかチョン・ジヨン監督は非常に悩み、撮影も遅延したが、結局アン・ソンギがアイディアを出してそれをもとに撮影した。
・脚本には現在小説家として著名なコン・ジヨン(但しクレジットにはコン・スヨンの名前ででている)が参画している。
1992年 韓国映画 125分 カラー 1:1.78
原題 하얀전쟁
英題 White Badge
監督 정지영
脚本 공수영(공지영), 조영철, 심승보, 정징영
原作 안정호
韓国盤Blu-ray Disk情報
韓国映像資料院刊行、Blue Kino発売
1080p 韓英日字幕付 (コメンタリーには日字幕なし)
ディスク1枚、韓/英パンフレット付き
2019.6.25発売 希望小売価格 W27500
なお今回気づいたが、今まで韓国のBlu-rayはたいてい台湾プレスであったが、このディスクからドイツ盤に代わったようである。他社のディスクでもドイツ盤がみられるようになっているので、何か変化があったようなのであるが...
ワンズショップ 『ホワイトバッジ』販売サイト
http://www.onesshop.com/goods/goods_view.asp?item_name=&idx=17978&g_cate1=B19&g_value=3
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