朝日の「誤報」記事がハンセン病家族を救った?

 10/9付の朝日新聞朝刊で「ハンセン病家族訴訟 (国が) 控訴へ」との記事が出たが、その日の夕刊で記事訂正に追い込まれた。結局、その日の午前中の閣議で首相が控訴しないという決定をしたためである。

 その後の各社の報道で、参院選中なので、控訴した場合の影響を懸念した、また小泉政権時のハンセン病患者訴訟の対応に倣った等の解釈がなされていたが(逆に言えば選挙中でなければ控訴した、という話だが...)それ以外にもう一つ大きな理由があったのではないかと推測する。それはまさに10/9朝刊での朝日新聞の報道である。

 おそらく、法務省、厚生労働省ベースでは90%控訴方針が固まっていたと思う。各社の報道を見る限り、とくに今回の判決で民事時効の成立を認めなかったことに、国側は受け入れられない、いったん認めると後々面倒なことになると考えていたようだ。

 ただ、今回首相判断でその方針が覆ったことは、もちろん選挙への影響もあるだろうが、それ以上に大きな理由があったのではないか。それは安倍首相に、朝日新聞を「誤報メディア」に仕立てたい、朝日に一泡吹かせたい、という強い動機があったのではないか、というのが私の推測だ。たとえ、今回の不控訴が、あとあと国の行政に不都合なことが発生したとしても... と考えていたのではないか。

 モリカケ報道では、安倍首相と朝日のどちらか死ぬ、と言われるほどの報道戦を朝日が仕掛けたが、結果的に朝日の報道が正しかったことが明らかになった(もっとも安倍首相は首相を続けられているが)。必ずしも反安倍でない人にも、嘘は方便と容認するにしても、安倍首相は「嘘つき」であると広く認識されたのではないか。安倍首相にどこかでそれに報復したいという気持ちがあったとしても不思議はない。それが今回の大番狂わせにつながったのではないか。

 もし、10/9の朝日朝刊の報道が、読売や産経が行ったものとしたら、安倍首相は予定通り控訴したのではないだろうか。逆に、朝日新聞側がそこまで計算して10/9の朝の報道を行ったとしたら、これはすごいが、さすがに、自己のイメージダウンまでも覚悟していたとは思われないので、そこまで計算されたものではないだろう。

 ちなみに毎日新聞は、政府内で控訴断念の声も浮上しているとの報道を7/9 午前2:00の記事書いている。これを見る限りやはり朝日の報道は勇み足だった、と言わざるを得ないが、省庁サイドの懸念の声を押し切る背中の一押しが、この朝日報道だった可能性は否定できないのではないか?


ハンセン病家族訴訟 記事を誤った経緯を説明します (朝日新聞 2019.7.10)
https://www.asahi.com/articles/ASM796VF8M79UTFK02M.html?iref=pc_ss_date

元ハンセン病家族訴訟、控訴しない方針 安倍首相が表明(朝日新聞 2019.7.9)
https://www.asahi.com/articles/ASM792T42M79UTFK002.html?iref=pc_ss_date

ハンセン病家族訴訟判決要旨(朝日新聞 2019.6.29)
https://www.asahi.com/articles/DA3S14074645.html?iref=pc_ss_date

ハンセン病家族訴訟 政府内に控訴断念論 (毎日新聞 2019.7.9 AM2:00)
https://mainichi.jp/articles/20190709/k00/00m/040/010000c




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