ウル - 辞書にない韓国語

 Tokyo MX TVで地上波放送中の『僕は彼女に絶対服従 ~カッとナム・ジョンギ~』を期待せずに録画して見始めたが、これが意外に面白い。韓国のCATV局JTBCが制作し、平均視聴率は3%程度だったらしいが、財閥の息子とどうたらこうたら、というありきたりの展開よりかはるかに良い。

 要は韓国の会社の職場を舞台にしたドラマであるが、日本でも問題になっているような元請けによる下請けいじめや、セクハラ、パワハラ問題、さらにはリストラや、社員間の分断による士気の低下、過剰接待等々、会社生活あるある問題をコメディーに描いた作品である。演出はいささか直球すぎる気もするが、問題提起としてはなかなか良い。

 ちなみに、邦題はいささか意味不明であるが、原題は"욱씨남정기"である。남정기(ナム・ジョンギ)とは主人公の課長の名前、욱씨(ウクシ)は、カッとなる、怒るという意味の 욱하다 という動詞に、씨 (氏) を付けたもので、これはナム・ジョンギの上司であるオク・ダジョン本部長の携帯電話登録名として付けたあだ名。つまりすぐカッとなる人という意味で、ドラマ中の字幕では「鬼」と訳されていた。それを直訳して邦題の副題として「カッとナム・ジョンギ」と付けているが、意味不明である。「鬼とナム・ジョンギ」ぐらいにしたほうが良かったように思う。

 ただこのタイトル全体は朝鮮時代の古典小説『謝氏南征記 (사씨남정기)』のもじりである。

 オク・ダジョン役の女優のイ・ヨウォン、どこかで見たなと思っていたが、『猫をお願い』に、ベ・ドゥナと一緒に出ていたではないか。久しぶりである。

 ところで、このドラマを見ていたら、"Welcome to 을 World " という看板が出てくる画面が2場面ほどあった。明らかに、"을 (ウル)"とは「下請け」もしくは「下請け業者」の意味で使っている。はて을とは如何に、と思っていたら思いついた。甲乙の「乙」ではないか?ということは発注元は「甲」か?

 果たして、韓国で出された『明見萬里』(KBSの韓国の社会的課題やその将来への解決策について取材したドキュメンタリーを書籍化したもの) という本を読んでいたら、韓国の社会問題の一つとして『甲乙関係 (갑을관계)』という言葉が出てくるではないか。発注元と下請けとの関係、あるいは取引上の上下関係のことであるのは明らかである。



Tokyo MX
https://s.mxtv.jp/drama/bokukano/

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