7月韓国盤DVD化、韓国映画評

本文
 2014年7月に韓国でDVDとして刊行された韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。

 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 7月にDVD化された映画の最大の話題作は、サムスンの白血病労災事件を映画化した告発映画『もう一つの約束』。サムソンの事件を扱うことで映画化には相当苦労があったようだ。専門家の評価は必ずしも高くないがDaumで9.7と驚異的な評価ポイントを稼いでいる。監督はキム・スロが主演していた『残酷な出勤』のキム・テユン。前作は必ずしも評価は高くなかったので、これは「テバク(大当たり)」であろう。
 これに比べると後は小ぶりになってしまうが、次は80年代青春譚映画『血沸く青春』。『サニー』あたりに通じるものがありそうだが、そこまでの評価は得られていない。監督はキム・ユンソク主演の刑事物『亀走る』や引っ越しコメディー『2424』のイ・ヨヌ。
 そして、日本原作映画のリメーク『さまよう刃』。評価は、緊張感ある展開と評価するものと、原作より落ちると評価する層とに二分されている。監督のイ・ジョンホの前作は、オム・ジョンファ主演のやはりミステリー『ベストセラー』だった。次は『チング』のクァク・キョンテク監督の『醜いアヒルの子』。民主化前の軍隊生活を描いた作品らしく、苦難の時代を懐かしく思う世代に支持されているらしくDaumで8.9と高得点。但しDVD化までに劇場公開から2年掛かっているのはなぜ?

 あとは多様性映画&古典になってしまうが、個人的には韓国映像資料院のイ・ソング監督ボックス(『日月(1967)、そばの花咲く頃(1967)、将軍の髭(1968)、地下室の7人(1969)』の4作)に注目したい。4作はいずれも古典映画の傑作らしい。そしてやはり韓国映像資料院ものと思われる(但し発売元が異なる)『憎くてももう一度』シリーズ(『憎くてももう一度 '80 第2部(1981)、憎くてももう一度 '80 (1980)、憎くてももう一度 完結編 (1970)、続・憎くてももう一度 (1969)、憎くてももう一度 (1968)』)。これは一部が韓国映画を回顧する映画祭で上映されている。第一部についてはリマスター&ブルーレイ発売となっており、日本語字幕もついている。ただ、国内上映の際は第二部の方が評価が高かったのだが、第二部以降は字幕なしの仕様が残念。おそらくリマスターもないのではないか。このうち、初期(1968-70)の三編はかつてやはり字幕なしで他社よりDVD化済み。

 そしてDVD Topから、やはり字幕なしだが1965年の『殺人魔』が出る。これは60年代ホラーの代表作らしい。それ以外にDVD Topからいくつか古典映画が出てているが(『月下の共同墓地 (1967)、帰らざる海兵(1963)、張禧嬪(1961)、自由夫人(1956)』)、いずれもかつて韓国映像資料院や他社からDVD化されたもの。しかも字幕もないので、一般の日本人にはメリットがないだろう。他社のものは英語字幕もしくは日本語字幕があった。

 そしてマニア向けはパク・チャヌク監督のデビュー作『月は太陽が見る夢』がDVD化。Daumで9.0の評価。残念ながら英・日字幕なし。ムーダンを扱った野心的なドキュメンタリーとドラマ融合実験作、『萬神』はマニア層の評価が高くてCine21では8.2。但し、人によっては退屈という評価もある。アート映画マニア向きであろう。監督のパク・チャンギョンは以前にパク・チャヌクと共同で『波瀾万丈』を撮っているが、基本はアート系作家のようだ。

 男女の仲を描いた『青春情話』は評価が分かれる。Daumで8.0と高いが、Cine21および専門家は5.0と低い。オムニバス映画『空腹な女』は元々ネットで公開された動画だったようだが、DVD化。Cine21ではデータすらない。シングル女性の暮らしを料理とともに生々しく紹介するらしいが評価はやはり二分。


なお、韓国版Blu-rayの発売状況は、

7/2 『サイビ』 KD Media (韓英字幕)
7/3 『憎くてももう一度』 Art Vision (韓英日字幕)
7/4 『怪しい彼女』 CJ E&M (韓英字幕)
7/28 『雪国列車(スノーピアサー)』 CJ E&M (韓英字幕)
8/1 『ウリビョル1号とまだら牛』 KD Media (韓英字幕) Blu-ray先行発売

発売予定
8/22 『月は太陽が見る夢』 Nova Media (韓字幕)
8/22 『弁護人』 KD Media (韓英字幕)

が予定されている。

なお、『ウリビョル1号とまだら牛』はファンタジー・アニメーションで、魔法で少女の姿に変えられた人工衛星「ウリビョル1号」と牛に姿を変えられた少年キョンチョンの出会いを描いた作品らしい。

画像

この記事へのコメント