6月韓国盤DVD化、韓国映画評

 2014年6月に韓国でDVDとして刊行された韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。

 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 6月にDVD化された映画の二大話題作は、『トガニ』のファン・ドンヒョク監督のコメディ『怪しい彼女』とコン・ユ主演の脱北者アクション『容疑者』。『怪しい彼女』は800人越えの興業成功作。『怪しい彼女』は専門家、およびCine21票は今ひとつだがDaumでは9.0と評点は高い。どうやらストーリー的には単純娯楽映画というあたりだが、演出・演技力に対する評価が高くそれが感動につながっている模様。そういえば『トガニ』もストーリーは単純だったが、演出の高さで評価された面があった。そして『トガニ』の主演だったコン・ユ主演の『容疑者』。ここのところはやりの北朝鮮スパイもの。評点面ではDaumでの『怪しい彼女』の評点まで行かないが、やはりストーリーは単純でも、スピード感スリリングな展開が評価されている。本作は既に日本でも公開され国内ビデオディスクの刊行も予定されている。監督は『セブンデイズ』『殴打誘発者』のウォン・シニョン。
 そして韓国「新派」映画の『男が愛するとき』。主演のファン・ジョンミン演技力のお陰なのか、ありきたりの「お涙頂戴」映画である筈だが、なぜか心に残るという評多数。監督は『犯罪との戦争: 悪い奴らの全盛時代』のハン・ドンウク。さらに『チラシ: 危険な噂』。いかにも386-486世代が好きそうな設定の娯楽作品で、そのためかDaum評点と比べるとCine21、専門家評ともやや高めの評点。これについては近日評をあげる予定。
 これ以外は多様性映画の領域だが、評点高めの順に挙げると、『晩餐』『シヴァ、人生を投げて』『マイ・プレイス』『遭難者たち』『彼女が呼ぶ』 『お兄ちゃんが帰ってきた』『愛してる! ジニョン』『一度もしたことのない女』という順か。
 『晩餐』は2013年釜山国際映画祭閉幕作。『鮫』『はじめてあった人々』など社会から排除される人々を主題にしてきたキム・ドンヒョン監督作品。社会学者ウルリッヒ・ベックの言う『リスク社会』、あるいジグムント・バウマンがいう『液状化社会』における現代家族が抱えるリスク、危険をえぐり出した作品のようだ。ストーリーに若干無理があるという指摘はあるが概ね高い評点を得ている。
 『シヴァ、人生を投げて』はインドをめぐる思索的なアート系作品のようである。この作品はKBS出身で、フリーランスのTVドキュメンタリープロデューサーとして活躍してきた、インドを愛するイ・ソンギュ監督の自伝的作品ということであり、監督は本作の劇場公開を目前に控えた2013年末肝癌で亡くなったということである。『マイ・プレイス』はカナダから韓国へ逆移民してきた韓国人一家の韓国社会への不適応状況と彼らの選択を描いたドキュメンタリー作品のようである。全北独立映画祭、ソウル独立映画祭等で受賞。『遭難者たち』は、『昼間から飲む』のノ・ヨンソク監督最新作。かなり奇抜な設定を評価する声がある一方、欲張りすぎて竜頭蛇尾に終わったのではないかという声もある。『彼女が呼ぶ』はCine21では低めだが、Daumで高めの評価が出ている、評価の分かれる作品。国内でDVD発売された『マウミ... 』のパク・ウンニョン監督の作品。ある女性の生き様を日常生活から描いた作品らしいが、どうも日本的な感性で作られた作品ではないかという気がする。

 『お兄ちゃんが帰ってきた』は、親を縛って殴りつけるとんでも家族の話らしい問題作。最後は円満に終わるらしいが、どうやら儒教精神に反すると、韓国では青少年観覧不可に指定されたようだ。やはりこの点で評点が割れ、不愉快という人と、問題提起的な側面を評価する人で意見は二分。『愛してる! ジニョン』は同性愛を含んだ青春成長映画らしいが、やはり同性愛部分に不快感を訴える人がいて、こちらも評価は二分。『一度もしたことのない女』はセックス・コメディを狙った作品のようだが、どうも思い切りがない作品のようで全般的に不評。

 来月、発売が予告されている作品には、80年代回顧青春映画『血沸く青春』、そしてかつてフィルムセンターの韓国古典映画特集でも上映された韓国古典メロである『憎くてももう一度』、『JSA』『オールド・ボーイ』等のパク・チャヌクの初監督作で最近はじめて韓国劇場公開された『月は太陽が見る夢』、コメディ『青春情話』などが予定されている。


また、韓国版Blu-rayの発売状況は、

7/21『雪国列車(スノー・ピアサー)』 CJ E&M (韓英字幕)
7/7 『怪しい彼女』 CJ E&M (韓英字幕)
7/3 『憎くてももう一度』 Art Vision (韓英日字幕)
7/2 『サイビ』 KD Media (韓英字幕)

が予定されている。

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