4月韓国盤DVD化、韓国映画評

 2014年4月に韓国でDVDとして刊行された韓国映画の、韓国の映画情報サイト、シネ21(一部ダウム映画)における評価を以下にまとめてみた。以下、発行日は Yesasiaサイト記載の発行日、分野はシネ21の区分によるもの、評価平均は評論家及び一般ネチズン評価の平均値(満点10点)[下段はDaum]、投票総数は評価投票の総数で( )内は評論家の投票数[下段はDaum]、評論家評価平均はシネ21が選定した評論家の評価平均値、評価幅は評論家の最低評価-最高評価点、代表的な声は、評論家および一般ネチズンによる映画の一行評を見て、筆者がだいたいの傾向と思われるものを記述。
 なお、3月下旬の時点で4月に発売が予定されていたDVDの中で、結局発売が3月に繰り上がったものがあるので、今回は3月25日以降のDVD発売映画を含んでいる。また3月に発売予定で4月に繰り下がったものもあり、だぶって紹介しているものがある。


 なお、廉価版DVD再発の映画は除外している。

 一般的にはシネ21は映画マニアを自認する人がアクセスする傾向が強く、Daumはより幅広い層がアクセスする傾向にある。シネ21の評価が高く、 Daumの評価が低い場合はシネフィル向きのアート映画、逆にDaumの評価が高く、シネ21の評価が低い場合は娯楽プログラムピクチャーだと推測できる。また、評定者数が少ない場合は当然誤差が大きくなる。特にDaumで評定者数が1桁の場合は高得点が出る傾向にあるので注意。

 4月にDVD化された(る予定)映画の最大の話題作は、2010年白翎島沖で謎の沈没事件を起こした(北朝鮮の攻撃とも言われた)天安艦の真相を探る『天安艦プロジェクト』。プロデューサーは『南部軍』『ホワイトバッジ』『南営洞』のベテラン監督でもある、チョン・ジヨン。監督はペク・スンウ。曰くがついて上映打ち切りとなり観客動員数は伸びていないがDaumの評者数が凄い。Daumでは今期最高の8.9をたたき出している。
 次いで、韓国では珍しい(初の?)本格的SF映画『AM11:00』。試みは評価されているが、ストーリーに納得いかないというあたりであろうか。
 そして人気のWeb連載漫画を映画化した『ザ・ファイブ』。原作の漫画家が監督まで務めたようだが、ダメと言うほどではないが、やや微妙なできばえのよう。
 さらに、北朝鮮スパイを扱ったアイドル映画『同窓生』。これは国内DVD、Blu-ray発売が予定されている。やはりアイドル映画らしいできばえの模様。

 多様性映画での最大の注目は、アニメ『いんちき(サイビ/似而非)』。似而非宗教を描いた社会告発型アニメで、今期『ソウォン』に次ぐ高評価作。これも当ブログで紹介済。『ケットンイ(犬糞野郎)』は微妙でCine21では好評価だが、専門家評、Cine21はぱっとしない。主人公は台詞がないらしい。
 今月最高の評点を得ているのは『アンニョン! オーケストラ』。ハーフの子供たちに生きる力を与えるためにオーケストラに参加させる試みを描いた心温まるドキュメンタリー。『イントゥギ(剰闘記)』は、今の社会からのはみ出し者の呼称である「インヨ(剰余)」1)の暮らしを描いた作品らしいが、実話を元にしているようだ。個人的にはチェックを入れたい作品。これもかなり高い評価を得ている。そして『1999、面会』はかつての軍隊生活の厳しさを描いた作品らしく、見た人びとは追憶とかつての軍隊生活の厳しさに思いを馳せている。韓国文化理解には必見の映画か?
 『語る建築:シティーホール』は新設されたソウル市庁建設をめぐるドキュメンタリー。賞賛と罵倒の対象となっている新市庁舎だが、そのデザインが決定された裏事情を描くことを通して、現代の都市が抱えている問題を明らかにした作品のようだ。これも是非見てみたい。
 『悲念』は、済州4.3事件とカンジョン地区に建設されている海軍基地の問題を追ったドキュメンタリー。我が国で言えば辺野古米軍基地建設問題のような性格の問題を扱ったいるのではないだろうかと想像する。『カルカルカル希望バス』は韓進重工労働問題を追ったらしいドキュメンタリー。評点が必ずしも高くないのは、映画の政治姿勢に対する反対勢力の0点評価のためか。評点は大きく割れる。
 『少女の祈り』は柳寛順を描いたドキュメンタリー。2月に試写会が行われたようだが、映画紹介サイトにそもそも情報がない。
 『小説、映画に出会う』は短編小説を映画化した3つのオムニバス映画。最初の作品は評価が高いが残りの二編は可もなく不可もなくというあたりらしい。『華麗な外出』は女性を拉致して「飼育」する、『完全なる飼育』の韓国版といった趣。

 来月にリリース予定されているのは、『チング』の続編『チング2』、チョン・ドヨンの演技が評判の『家へ帰る道』、評価の高いドキュメンタリー『余り者(剰余)たちのヒッチハイク』、エロ映画監督の奮闘記『アーティスト・ポン・マンデ』、そしてマリッジブルーを描いた『結婚前夜』が予定されている。

また、韓国版Blu-rayの発売状況は、

4/2 『ファイ』 KD Media [韓英字幕] 初回限定版
4/23 『初恋のアルバム ~人魚姫のいた島~』 Nova Media [韓日英中字幕]
4/28 『反則王』 Contents Zonea [韓日英字幕] 初回限定版 (発売日延期)
5/8 『オオカミの誘惑』 Contents Zonea [韓日英字幕]
5/8 『シングルズ』 Art Vision [韓日英中字幕]
5/14 『うちのソニ』 DS Media [韓英字幕]

なお、韓国映画史上屈指の名作、『殺人の追憶』の国内盤Blu-rayが6月に発売予定。米国盤も4月に発売されている。韓国盤は品切れなのでこれは朗報。

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1) 辞書的な意味ではない、ネット俗語としての「インヨ(剰余)」の意味は、社会的に必要とされない、使えない暇な人間という意味。
例えば
http://ask.nate.com/qna/view.html?n=10902687
http://k.daum.net/qna/view.html?qid=52Bwk&l_cid=Q&l_st=1
を参照。

『殺人の追憶』国内盤Blu-ray

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