レネ・リウに捧げられた台湾映画『徴婚啓事(パーソナルズ)』

画像 1998年、台湾の奇才、陳國富によって撮られた作品。お見合いを繰り返す女性の複雑な心境に焦点を当てた映画。

 病院の眼科医であるウー(劉若英[レネ・リウ])は、ある心境の変化により、病院を辞め、自分の生活を変えようと新聞に求婚広告を出す。そして何人もの男性と次々と見合いを繰り返すのだが、なかなか意中の男性に出会わない。ある男は自分の考えを一方的にまくし立てるだけだし、ある男は実は既婚でセックスフレンドになろうと提案してくる。果てには母親が自閉症の息子を連れてきて、自分の息子に嫁になってくれと懇願されたりする。
 そんな見合いを繰り返す一方彼女は心理カウンセラーに、カウンセリングも受けていた。やがて彼女が見合いを繰り返す理由が見えてくる。実は彼女は既婚男性と恋愛関係に陥っていたのだ。だが、彼女の妊娠が分ると男は突然連絡を絶ってしまう。彼女は一人妊娠中絶をし、そして彼の留守番電話に夜な夜な自分の苦しい心境を一人訴えるのだった...

 ストーリーらしいストーリーがあると言うよりは、男性との見合いを行うウーの表情の変化を通じて彼女の心境の変化や相手に対する困惑のじっくり追いかけていくという、いささか実験的な色彩を帯びた作品。ただし、映画の最後に思いもよらないどんでん返しが仕掛けられている。
 陳國富は台湾の映画監督で、日本でも『ダブル・ビジョン』(2002)や『トレジャー・アイランド』(1993)が一般劇場公開 or ビデオリリースされているが、ちっと一癖、二癖のある作風で好き嫌いは分かれそうな映画作家。映画を自ら監督するよりはプロデューサーや企画の仕掛け人としての仕事の方が多いようだ。
 本作品の主演であり、台湾を代表する歌手の一人でもある劉若英(レネ・リウ)は、当時陳國富と個人的なパートナーであり(現在もパートナーなのかどうかは、知らない)、彼の彼女に対する思い入れを思いっきりぶつけるように、劉若英の笑ったり、困惑したりした様々な表情が生き生きとスクリーンに大写しになる。まさに陳國富による劉若英へのオマージュ作品である。もし、あなたが劉若英ファンであれば必見。なお劉若英が本作以外出ている陳國富作品は『我的美麗與哀愁』(香港盤DVDあり)および国内で一般公開されDVDも出た『ダブル・ビジョン』がある。画像

 ちなみに題名の徴婚啓事とは結婚広告の事。フランスなどでは結婚を求めるプティタノンス(新聞の小さい広告記事)は一般的だが、台湾でもそうなのだろうか(日本では殆どあり得ないが)?

 本作品は日本では未公開。

 本作品は、元々英語字幕がなく画質の悪い、台湾・豪客唱片盤と、やはり画質のあまり良くないレターボックス収録のFirst Run Featuresから出た米国盤があり、筆者は米国盤で最初に見ていた。しかし先月(2011.4)、台湾・中影/SonyよりデジタルリマスターのBlu-ray&DVD同梱パッケージ盤がリリースされた。これが非常にすばらしい画質。
 Blu-rayはとにかく鮮明・高精細で瑞々しい画質。本作品を初めてスクリーンに近い状態で見る事が出来た。またデジタル修復が行われたテレシネ自体がすばらしく、フレームの上下微動がきちんと修正され、傷や埃はほぼ完璧に近く取り除かれたクリアな画像。おかげで劉若英の左目の下にある幼い頃犬に噛まれた傷跡が鮮明に見える。なお特典映像は含まれていない。
 同梱のDVDは、内容自体はBlu-rayと全く同じ。だがこれもすばらしい画質で、おそらくNTSC規格のDVDの潜在表現力を95%以上使い切っていると言って良い画質。鮮明で瑞々しいという画像傾向はBlu-rayそのままで、私の環境では(Sony BDP-S370アップスケール使用)、Blu-rayより多少ローコントラストのソフトフォーカス気味か、という印象になる。Blu-rayを見ていなければこのDVD以上の解像度は必要ないのでは、と思わせる出来であるのは間違いない。DVDにありがちのエッジの強調も殆ど目立たない。


 なお、DVDのビットレート分布も取ってみたが、中影の先行したデジタルリマスター版DVDがほぼ固定ビットレートだったのに対し、本DVDはきちんと可変になっており手抜きがない。台湾映画を台湾の文化遺産としてきちんと残していこうという意気込みの感じられるディスクとなっている。
 もし日本語字幕がなくてもOKなら、この台湾盤は強力推薦である。

原題『徴婚啓事』英題『Personals』監督:陳國富
1998年 台湾映画 カラー

DVD & Blu-ray(台湾盤)情報
発行: 中影 販売: Sony Music Taiwan 画面: NTSC/16:9(1:1.85)[HD/1:1.85] 音声: Dolby[+/LPCM]2 北京語
本編:108分 リージョンALL 字幕:中/英(On/Off可) DVD片面二層[BD一層] 2011年 4月発行 希望価格NT$790
※[]内はBlu-rayの仕様

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陳國富(台湾映画祭資料集 -台湾映画の昨日・今日・明日-) 日本財団
http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1997/00612/contents/135.htm

レネ・リウ出演映画映画評

『今夜は誰も帰らない(今天不回家)』
http://yohnishi.at.webry.info/200809/article_7.html

『ハッピーバースデー(生日快楽)』
http://yohnishi.at.webry.info/200809/article_3.html

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