台湾新進監督のショーケース『台北異想』

画像 台湾の新進監督8名による全長95分のオムニバス映画。台北の朝6:00から翌朝6:00までの24時間を8本のショートフィルムでつないでいく。

 『晨之美』は6:00-9:00までを、『午後3時の初恋』、『聴説』の鄭芬芬監督が描く。高い木の上に登ってしまって降りられなくなってしまった子猫を救おうとする人々の人間模様を描く。
 9:00-12:00は『那個夏天的小出走』で『モンガに死す』でヒットを飛ばした鈕承澤監督。友人と男の取り合いでけんかを始めてしまったシングルマザーの元を、好きな男の子を呼び出して、バスでちょっとした家出を試みる、女の子の3時間を描く。
 12:00-15:00は現在大学院在学中である許榕容監督の『午熱』。たまたま昼食に出た出先で出会った男女が、昼休みにそのままラブホテルにベッドイン。しかし、いざことに及ぼうとする矢先に、様々なおかしな妨害にあってしまう。
 15:00-18:00は『ミャオミャオ』の程孝澤監督の『旧・情人』。やくざのルーキーが親分の命令で、離れたところから彼の愛人の監視を命じられる。ところが愛人がリストカットで自殺しようとしているのを見つけてあわててそれを止めようと彼女のアパートに駆け付けたところ...
 18:00-20:00は『乱青春』の李啟源監督による『煙』。高校から放校になるより自主退学の道を勧められた女子高生の父親とその娘が、川の土手で煙草を巡って無言で取り合いをする。ほとんどセリフもなくそれだけだが、印象深い作品。
 そして、20:00-24:00は『走夢人』で、『十七歳的天空』の陳映蓉監督。新交通システムでで出会った、派手な格好をした男の子がなぜかしつこくついてくる。
 24:00-4:00は、安哲毅監督の『末班車』。安哲毅監督TVドラマ及びドキュメンタリーで活躍している人物。終バスを運転する父と娘のバス車内での葛藤を描いていく。父娘関係の葛藤と愛情を描いている点ではちょっと『煙』と似ているが、本作品もなかなか良い。
 そしてラスト4:00-6:00。蔡明亮監督のアイドルで最近は監督業にも進出して『西瓜』『ヘルプ・ミー・エロス』などを撮っている李康生監督の『自転』。閉店の決まった深夜の喫茶店。その店の閉店を惜しむように最後のコーヒーを飲む常連客と店の女主人。店の女主人に蔡明亮作品の常連、陸弈静。彼女は実生活でも20年間コーヒー店を経営してきたらしい。そして常連客に蔡明亮。喫茶店の最後の晩を惜しむ二人に、やはり蔡明亮作品の常連であり、3人の共通の知人であり、2006年に51歳で亡くなったダンサーの羅曼菲の追悼を重ねる。

 全員ではないにしろ、現在元気のある台湾映画界の有望若手監督の作風をコンパクトに一望できる短編集。意外だったのは『乱青春』でかなり複雑で実験的な作風を見せた李啟源監督が、セリフも少なくごくごくシンプルな映像で情感を巧みに表現していた点。李康生監督の、知人に寄せる追悼の思いと、喫茶店の閉店を惜しむ気持ちのオーバーラップが余韻を感じさせてなかなか良かった。

原題『台北異想』英題『Taipei 24H』
監督:鄭芬芬/鈕承澤/許榕容/程孝澤/李啟源/陳映蓉/安哲毅/李康生
2008年 台湾映画 カラー

DVD(台湾盤)情報
発行・販売:公共電視文化事業基金会 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 北京・ミンナン語 本編:95分
リージョン3 字幕: 中/英(On/Off可) 片面一層 2010年 7月発行 希望価格 NT$390

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