韓国映画『携帯電話』 - オム・テウン主演でストレス社会を背景に起こった事件を描く
2009年韓国映画。ある芸能プロダクションの社長が、一台の携帯電話を無くしたことで、とんでもないことに巻き込まれる事件を描いた作品。オ・スンミン(オム・テウン)は小さな芸能プロダクションの社長。唯一の看板タレントであるユン・ジア(イ・セナ)がようやく売れ出してきて、化粧品のCMも契約か、というところにこぎつけてきた。だが、その一方で妻ジョンヨン(パク・ソルミ)との関係は冷えてきており、ジョンヨンは、ハン・ジュンスと浮気していた。さらに悪徳サラ金業者(パク・ギルス)から借金し、その取立てにも悩まされていた...
そんな中青天の霹靂のような事件が起こる。ジアのマネージャー、テジン(ファン・ボヨン)が彼女の行動管理をきちんとしなかったため、行きずりの男とセックスして、その時に動画を撮られてしまったのだ。その件で携帯電話に動画を送りつけスンミンをゆすってきたのは、スンミンの昔の悪仲間、ユンホ(キム・ナムギル)。だがスンミンはユンホに金を渡すと同時に、再びゆすらないよう、徹底的に動画を捜しだし、ユンホを痛めつけて一件落着... かに見えたのだが、しかし、彼は、セックス動画を保存しておいた携帯電話をどこかに置いてきてしまったのだ。真っ青になるスンミン。だれかがその動画をネットにでもあげたらジアの芸能生命&彼のプロダクションの命運は絶たれてしまう。
自分の携帯電話を取り戻そうとイライラするスンミン。だがストレスの集中でイライラしたあまり、スンミンに電話を返そうと電話してきた拾い主を思いっきり罵倒してしまうスンミン。だが、そのことがスンミンを地獄に陥れるのだった...
監督は『極楽島殺人事件』のキム・ハンミン。緊張感あふれるストーリーラインで最後まで観客をひきつける力があるとともに、ストレスの大きい現代社会における、ストレスのはけ口を巡るトラブルという現代的な話題をうまく組み込んだ作品。前作の『極楽島殺人事件』は、若干疑問の点も無きにしも非ずだったが、今回は前回よりもストーリーがよく考えられていると同時に、現代の世相も良く盛り込まれていると感じた。そして単純な善(or 被害者)対 悪、という図式に収まっていない点も良い(その分、すっきりしないと感じる人もいるかもしれないが)。この作品は韓国よりも、むしろ、例えば、ストレスのはけ口として鉄道駅員に暴行のはけ口がむけられたりしている、日本人の方に訴える力がありそうだ。とくにパク・ヨンウ演じる役柄、シチュエーションには、多くの日本人に共感を呼びそうな感じがする。韓国では様々な要素を盛り込みすぎでちょっと複雑すぎというネティズン評もあがっていたが、日本人にはむしろ思い当るところ大という感じではないかと思う。
この作品は韓流作品としては、オム・テウンとパク・ヨンハ主演ということで、俳優としての演技力はあるが、今一つ「韓流タレント」力が弱い(冬ソナのパク・ソルミや一部で人気が高まっているキム・ナムギルが脇役で出ているが)。とはいえ、むしろ韓流枠でないところで見ていただいて、十分楽しめる作品に仕上がっているように思う。
本作品の韓国公開は2009.2.19。全国観客動員数は、62万3001人とヒットとは言えないにしろ、まずまずの数字。日本では、劇場公開&DVD発売はないようだが、2011年2月衛星劇場で放映されたようだ。日本のDVD市場も狭まりつつあるので、今後はBS or CSのみ公開という韓国映画も増えていくのかもしれない。ただ、これより、いまひとつな映画でもDVDが出たり、場合によっては劇場公開もされているので、ちょっともったいない。
韓国盤DVDの画像解像度は韓国映画ベスト水準をちょっと下回るが、色彩はすっきりしておりまずまずの仕上がり(なお、DVD画質評は1枚組一般版での評価。初回盤はDTS付きでマスタリングが異なる)。
原題『핸드폰』英題『Handphone』監督: 김한민
2008年 韓国映画 カラー
DVD(韓国盤)情報
発行販売: Planis Entertainment 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby5.1/(初回盤のみDTS) 韓国語
本編:105分 リージョン3
字幕: 韓/英(On/Off可) 片面二層(初回2枚組) 2009年 6月発行 希望価格W27300/(1枚一般版W9900)
▼2012.11国内盤DVD発売("The Phone")
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