小さな恋人たちの家出旅行を描いた『ビバ・キューバ』

画像 2005年キューバ映画。小さな恋人たちの家出旅行を描く映画。

 幼なじみの小学校高学年、女の子マル(マル・タロー・ブローチェ)と男の子ホルヒト(ホルヘ・ミロ)。二人はいつも遊んでは喧嘩ばかり。大概は身体の大きいマルが「大将」になりたがって、一緒に遊んでいてもルールを変えようとすることから喧嘩が始まる。だがいつも喧嘩しながらもなぜか一緒に遊ぶのを止めようとしない。まわりの子どもたちは、喧嘩する程仲が良いと二人の関係を冷やかしている。
 だが、マルとホルヒトの親たちは二人が一緒に遊ぶのを快く思っていなかった。マルの両親は幼い頃離婚して、マルは母(ラリサ・ヴェガ・アラマル)とともに暮らしている。母親は熱心なキリスト教徒でキューバの社会主義体制を嫌悪しており、最近外国人の遠距離恋愛の恋人もできたことから一刻も早く国外に移住したがっている。一方、ホルヒトの家族は典型的な革命家族。カストロやゲバらを敬愛し、父は国から遠方に単身赴任を命じられても、拒否せずに国のためには仕方ないと唯々諾々として受け入れようとしている。
 マルとホルヒトの母親は互いに、教養のない労働者家族、反革命ブルジョア家族とののしりあっており、子どもに互いに遊ばないようにと言いつけている。

 だが、マルの母親はついに外国(おそらくアメリカ)のグリーンカードが入手できる見込みに。母親はマルを連れて出国するために必要な父親の同意書を取ろうと手配を始める。しかしホルヒトと離れたくないマルは何とか父親の同意書署名を阻止しようと考えを巡らせる。その結果、離婚して現在キューバの東端にある灯台に勤務する父親に会いに行き、署名しないよう求めることを決め、ホルヒトとともに父親に会うために、ヒッチハイク旅行に出発する...

 キューバ映画の特徴は、社会主義国家にもかかわらず、キューバ政府や政策への批判が平気で描かれること。マルの母親のキューバの社会体制への嫌悪感も包み隠さずに描かれている。その一方でマルとホルヒトがヒッチハイクしながら旅行をしていく過程において、キューバの人々の人情や社会的なセーフィティネスなどがさりげなく描かれており、微笑ましい小さな恋人たちの大冒険を通じてキューバ社会の長所、短所をさりげなく紹介する映画になっている。 やはり社会主義国キューバが、社会主義体制のまま今日唯一生き残っているのは、社会批判、体制批判を許す社会体制であるというところが最大の理由ではないだろうか(北朝鮮も生き残っているを社会主義体制だという人もいるかも知れないが、あれは最早社会主義体制ではない。名目は社会主義でも、実態は封建制国家である)。
 もちろん、堅苦しいことを考えなくても微笑ましい小さな恋人たちの冒険物語として楽しく見てもらっても良い映画だ。

 本作はJuan Carlos Cremata MalbertiとIraida Malberti Cabreraの共同監督。Juan Carlos Cremata MalbertiはWikipedia英語版http://en.wikipedia.org/wiki/Juan_Carlos_Cremata_Malbertiによると1961年ハバナ出身。1986年ハバナ高等芸術大学卒、さらにハバナ郊外サン・アントニオ・デ・ロス・バニョス国際映画学校卒。1994-5年にブエノスアイレスで映画の演出・編集を教える。1996年にはグッゲンハイム・フェローとして一年間ニューヨークで過ごす。2001年最初の長編劇映画『Nada +』を製作。テーマは本作と同様、アメリカ出国へ心揺れる女性の心理を、パートカラーによる斬新な画像作りで表現した作品。その後『Nada +』の続編を2編企画し三部作にしようと計画を立てるが資金不足で実現せず。2005年に製作した本作でカンヌ映画祭児童映画グランプリをはじめ30余りの国際賞を受賞。最新作は低予算で製作された『El Premio Flaco』でハバナ映画祭で上映された。

 本作は、2008年第5回 スペイン・ラテンアメリカ映画祭で国内上映された。

原題『Viva! Cuba』監督:Juan Carlos Cremata Malberti
2005年 キューバ映画

DVD(US盤)情報
発行・発売:Film Movement 画面: NTSC/16:9(1:1.85) 音声: Dolby2 西語
本編: 80分 リージョン1 字幕: 英 (On/Off可) 片面一層 発行年2007年9月 希望価格 $19.95

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