韓国に関心のある方は必見! ドラマ『第5共和国』

 最近、近所のレンタルビデオ店に韓国ドラマ『第5共和国』(韓国MBC製作)が並んでいるのを発見して、少しずつ見ているが、これは必見のドラマである。韓国ドラマ...といっても今流行の韓流では全くない。ハンサムな男優...ラブストーリー...などを期待している人はがっかりするだろう。事実、うちのかみさんは、私が『第5共和国』を見ていると、雰囲気が悪くなる、と嫌がっている。

 内容は、文字通り第5共和国、全斗煥政権時代の韓国の政治ドラマ。朴正煕大統領の暗殺前後から、彼らがいかにクーデターを起こし政権を奪取したか、そして光州事件を起こしたか...というような流れが描かれる。しかも極力事実に基づきながら、登場人物も全て実名で描かれる。時々、筆が滑る部分もある様で、日本のタイトルの最初に、このドラマに出てくる○○氏は東国大学学生ではなく、延世大学の学生であったことが明らかになりました、とか、○○氏は××事件に関わった様に描かれていますが、製作当時は客観的な証拠がなかったためであり、後に関わっていなかったことが明らかになりました...なんていうお断りも出てくるが、韓国映画にありがちな、実名を出しながらも事実関係を大幅に書き換えた、大風呂敷フィクションはない様で、韓国の近代史を振り返る材料としてもある程度信頼できそうだ。

 韓流とは程遠い、男臭い韓国ドラマではあるし、こんなドラマ見たくないという韓流ファンもいるだろう。しかし、それでも、韓流ファンを含めた韓国に関心のある人全てに、本ドラマを勧めたい。というのは、何だかんだ言っても本ドラマに描かれる様々な事件が、やはり韓国の社会常識の根本を構成しているからである。
 例えば本ドラマに描かれる「三清(サムチョン)教育隊」や「緑化運動」といった出来事は、韓流ドラマやコメディ、あるいはバラエティ番組を見ていてもよくギャグのネタになったり、話の種として出てくる。しかし元ネタである、これらの出来事が何なのかを知らなければ、笑えもしないし、台詞の真意も把握できない。もちろん、インターネットを調べれば「三清(サムチョン)教育隊」が何なのか簡単な解説程度は見つかるが、しかし本ドラマを見て初めてその社会的な位置づけや、人々からどう思われていたのかということが実感を伴って分かった。まして「緑化運動」なんて...山に森林を育てる運動...? などと日本式に考えていると全く見当違いの理解しかできない。従って嫌でも本ドラマを一通り見ておけば、韓流ドラマなどを見る際にもより理解が深まること請け合いである。

 また光州事件に関しても、本事件が韓国の政治の中にどのように位置付くのかが、きちっと示されている。特に日本では映画『光州5.18 (原題は、華麗なる休暇)』が公開され、あの映画に描かれたことが事実だと誤解されている向きもあろう。しかしあの映画は光州事件の根幹部分に大きなフィクションが入ってきており、事実経過とは異なる部分が多々ある(場面場面では事実に基づいている部分もあるのだが。なぜあんなフィクションを入れたのか不思議だが、先に『第5共和国』が作られてしまったので、二番煎じと思われたくないと言うことだったのか、それとも軍事政権への批判につなげないためという政治的意図があったためなのか?)。
 しかし、このあたりも『第5共和国』ではきちんと描かれているので、『光州5.18』をご覧になった方は、是非本ドラマを見直して、事実関係を確認しなおして頂きたい。

 なお、基本的には本ドラマは革新派支持の立場から描かれており、全斗煥政権に対し批判的な視点から描かれている点は押さえておいて欲しい。従って、ドラマの持つ歴史観に関しては、当然韓国の保守派からは異論が出される点も多々あると思う。しかし、基本的な事実経過に関してはかなり綿密な調査に基づいて構成されていると思われる。

 『第5共和国』、もし見かけたら、是非手に取って見て頂きたい。

『光州5.18 (華麗なる休暇)』映画評
http://yohnishi.at.webry.info/200804/article_5.html


第5共和国 DVD-BOXI
ポニーキャニオン
2008-11-05

ユーザレビュー:
骨太の実録政治ドラマ ...
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この記事へのコメント

ishii
2009年08月08日 11:46
こんにちは。
第五共和国(字幕入り‐友人がドラマや映画やトークショウなどあれこれ録画して送ってくれます)、去年かなり長い時間をかけて観ました。本などで知ってはいましたが途中で少しづつ休まずにはいられなかったものですから。
先日ミュージカルで活躍している男性が、高校の時三清
教育隊へ入れられたという話をしていて驚きました。各学校何名という割り当てがあったみたいで。
とりとめのない文になってしまいましてすみません。

yohnishi
2009年08月08日 21:24
コメントありがとうございます。三清教育隊の割り当ての話も出ていましたね。ソウル大出版部からでている「韓国社会50年」という本を読んでいたのですが、そこでさらっと出てくる、民主化の転換点となったという「1987年労働者大闘争」という言葉も、ドラマを見て改めてこういうことだったんだ、と本ドラマを見て非常に実感を持って理解することができました。
ishii
2009年08月09日 12:54
お返事ありがとうございました。第五共和国を見終えるのに時間がかかったのはyohnshiさんの奥さまが雰囲気が悪くなると嫌がられたように、たびたび見るのが辛くなったせいです。
それと、“華麗なる休暇”の出演陣のインタビューで、イ・ジュンギがあんなことが自国にあったということを
知らなかったと言っていたことが驚きでした。あの映画は感情移入できなかったのですが、監督は商業性も考慮したとかでああなったんのしょう。館内ではかなりの人が泣いていましたから。

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