馮小剛監督『誠実なお付き合いできる方のみ(非誠勿擾)』

画像 ここのところ中国のお正月映画ヒット作を必ず出している馮小剛(フォン・シャオガン)監督。シリーズものでこそないが中国の山田洋次といった存在になりつつある。その監督の今年のお正月映画が本作品。中国人の中年男の婚活を描いたラブコメディ。

 アメリカ帰りの禿で中年の独身男、秦奮(葛優)。アメリカから必ずしも成功して帰ってきたわけではないが、中国へ帰って早々、中国の投資家(范偉)にエセ発明品1)を200万ドルで売りつけることに成功する。
 そこで秦奮、家でも買い嫁さんでも貰うかと、インターネットに嫁さん募集広告を出して、見合いを始める。一人目を待っていると、来たのはなぜか、軍隊時代の知人だったゲイの男。二人目は、実はお墓のセールスウーマンで、見合いをするつもりがお墓の勧誘を受けてしまう。3人目に会ったのがフライトアテンダントの笑笑(舒淇)。秦奮は一目で気に入るが、話を聞くと実は彼女はある男(方中信)と不倫関係でにっちもさっちもいかなくなっており、それを何とかしようと見合いに来たという。秦奮は一旦は断るものの彼女が気になってとりあえず単なる友達ということでずるずる付き合ってしまう。その後、中国奥地の伝統ある少数民族のお嬢様などとも見合いを続けるがいずれもNG。
 秦奮は杭州での台湾の企業家のお嬢様(ビビアン・スー)との見合いと家の物色のため、笑笑が勤務する杭州行きの飛行機に予約を取ると、偶然彼女の不倫相手とその奥さんが乗り込んでくる。杭州での見合いのほうは、台湾のお嬢様はすでに別れた他の男の子供を宿しており、その父親になってほしいというものでやはりNG。そこで、やはり杭州にいる笑笑から、彼女の不倫相手と一緒に会ってほしいと頼みがくる。つまり彼の反応を見るために、婚約者の振りをしてほしいという訳である。秦奮は彼女と一緒に不倫相手と会うのだが、改めて笑笑の彼への気持ちの強さに気づかされて、秦奮は途中で席を立ってしまう。しかし結局彼は奥さんと別れることが出来ず、笑笑は秦奮に、亭主に尽くす奥さんになるが、心の底で別の男を思い続けてもいいという条件であれば結婚してもいいと提案し、秦奮はそれを受け入れる。
 そして笑笑は不倫の彼と初めて旅行した北海道へ秦奮と旅行し、昔の彼との気持ちに蹴りをつけたいと言い出し、彼らは北海道に出発するのであるが...

 今年日本では中国の個人観光客へのビザが解禁になったが、本作品の後半は北海道で展開し、また本作品が中国で大ヒットしたところから、中国人観光客の北海道ブームが起こっているという2)。
 プロデューサーは台湾の映画監督兼プロデューサーの陳国富(チェン・クーフー)で、舒淇とビビアン・スーの二人の台湾俳優が出演。メインの投資会社は香港。

 本作品を見た第一印象は、良くも悪くも中国映画らしい泥臭さがないということ。あえて泥臭いと言えばあくの強い葛優の起用だけか。中国の都市住民層では消費社会化がかなり進行しており、それに見合った中国流トレンディ映画を作ってみたいというのがやはり製作意図としてあるのではないかと思う。題材が「海亀(海帰)」と「婚活」に「不倫」というのもいかにも今の中国風。
 また後半の北海道シーンはなかなか美しく、中国人観光客に北海道ブームが起こるのもむべなるかなというところ。高級北海道プロモーションビデオといった風情。そして笑いどころも満載。映画としての深みという点では今一つという気もするが、笑えて、北海道に旅行に行った気分にもなって、と考えてみるとまずまず良くできた娯楽作品と言えるだろう。

 日本国内では、大阪アジアン映画祭(2009.3)および沖縄国際映画祭(2009.3)で公開されたが、国内配給はまだ決まっていないようだ。上記邦題は大阪アジアン映画祭での公開題。なお、ディスクはDVDが香港、中国で、Blue-Rayが香港、アメリカで出ている。

1)ちなみにこの「発明」、香港のパン・ホーチョン監督の『AV』に出てきたもののそのまんまパクり。クレジットの最後にパン・ホーチョン監督への謝辞が出る。

2)映画『非誠勿擾』のブームで北海道が中国人観光客から注目(北京週報日本語版2009.2.3) http://japanese.beijingreview.com.cn/yzds/txt/2009-02/01/content_176542.htm

原題『非誠勿擾』英題『If you are the one』監督:馮小剛
2008年 中国=香港映画

DVD(香港盤)情報
発行: 美亞娯楽 画面: NTSC/16:9(1:1.78) 音声: Dolby5.1/DTS 北京/広東語
本編: 125分 リージョン3(実際は1, 3)字幕: 英/中 片面二層 2009年3月発行 希望価格

付記:
本作品は東京国際映画祭協賛、2009東京・中国映画週間で『誠意なる婚活』なる邦題で上映される模様。それにしても邦題、ころころ変えないで下さい....
http://cjiff.net/2009tc/

追記(2010.4)
本作品は日本公開が決まり、結局『狙った恋の落とし方。』に落ち着いた様だ。邦題が二転三転したのも日本語に翻訳しにくいからだろう。日本公式サイトは下記。
http://nerakoi.com/






狙った恋の落とし方@ぴあ映画生活

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