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zoom RSS アダム・スミス『道徳感情論』を読む (1)

<<   作成日時 : 2016/08/15 00:42   >>

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 現在、アダム・スミスの『道徳感情論』を読み進めていて、第二部まで読んだところ。ここまで読み進めて分かったことを、以下に備忘録として書いておく。

 まず、アダム・スミスの発想としてあるのは、エコロジーとしての社会イメージである。社会生態学的発想とでも言おうか。あるいはある種の社会有機態説的発想というべきか。

 彼は道徳、あるいは道徳感情というものを社会のエコロジー、すなわち社会の存続(場合によっては発展)に与するものとしてイメージしている。そしてある人の行為に対して、賞賛したり、罰則を与えたりするのは、その行為の社会的文脈に照らしての適合性、不適合性であると説く。適合であれば賞賛され、不適合であれば罰が与えられる。そしてこの適切性、不適切性を決めるのは共感できるか、できないかという道徳感情に依るのだと説く。適合する行為は共感され、また間接的に共感される(第三者の立場に立ってみた時に、共感されうると判断される)行為は功績とみなされる。

 だから行為者の主観上、善意の行為であっても共感されなければ感謝されないし、また主観的には悪意ある行為であっても、それに共感が得られれば (例えばかたき討ちなど) 社会的に是認される可能性がある (訳書 p. 144)。

 このようなある行為が社会的共感を得られるか、得られないかは、ある視点からは、きわめて気まぐれに見える。しかしこのような共感されるかどうかという道徳感情は、実は社会の存続のために人間に自然に備わった本能的な機能である。社会の存続・発展に与する行為は共感され、与しない行為は共感されない。

 共感を得らえる行為、すなわち賞賛されたり、是認されたりする行為には二つのレベルがあって、一つは善行であり、もう一つは正義である。善行とは積極的に社会の存続や発展に寄与する行為である一方、正義は、それが守られないと社会が崩壊しかねない最低限の行為、ルールである。だから善行を行うことは積極的に賞賛されるが、正義を守っても、取り立てて高く賞賛されることはない。また社会は、徳が存在せず、有用性 (個人の欲望) だけあっても存続可能である。しかし正義を破れば (例えば犯罪を犯すなど) それは、社会の存続自体を危うくしかねないので、人々の憤りを受け、厳しい制裁を受ける。その一方で善行を行わなくても (徳が不在でも) 、それが人々の失望を招いたとしても、取り立てて非難されることはない。

 このような共感、非共感は、基本的には行為者の意図 (善意 or 悪意) にかかっている。但し、近代社会では、行為者の意図にかかわらず、行為がなされなかったり実現されなければ、賞罰を受けることはない。そして個人の内心は神の領域として取っておかれる。一方、前近代的社会では内心 (例えば王に対する) 反逆の意図を持つこと自体が、たとえ具体的な行為に及ばなくても、反逆罪として処罰されることがある。したがって社会が近代化するほど、処罰は寛大になる傾向にある。

 とはいえ、悪意のような意図がなくても、偶然性(運)によって、結果的に他者に被害を与えること (悪) がある。これらも処罰の対象になりうるが、近代化が進むほどこのような意図なき悪事には処罰は寛大になる傾向があり、前近代的であるほど結果の「悪」を問題視する傾向にある。

 結局、このような共感/非共感、賞賛/処罰は、社会の存続という点から決まっていく。
 但し、各個人は社会の存続を意識して共感/非共感するのではなく、それらは宗教的道徳性として自覚されていることが多い。

 なお、アダム・スミスのの「神」概念はスピノザの神概念にかなり近いように思われる。つまりある意味、無神論に近い、汎神論的神概念に近いようだ。





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『道徳感情論』第7部道徳哲学の大系について
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