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zoom RSS ポン・ジュノ監督『スノーピアサー』

<<   作成日時 : 2016/05/16 07:42   >>

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 2013年韓国映画。といっても大半の台詞は英語で進行し、出てくる韓国人俳優はソン・ガンホとコ・アソンのみ。しかも助演である。
 近未来、地球温暖化を防止するためとして大気中に冷却剤をまいた結果、逆に地球は氷河期を迎え、ただある列車に乗った人以外は人類が絶滅してしまったという設定。

 地球が滅亡して人類がある宇宙船の中だけで生き残っている、というノアの方舟的設定はSFでありがちだが、それがかなり長い列車になり、それが1年掛けて地球を1周しているという設定。なぜ宇宙船が列車になったのか、というとあきらかに社会階級格差のひどさを表現するために、狭い宇宙船空間ではなく、長い列車になったということは明らかである。ただ、列車というのは、列車単独で完結するものではなく、本来は列車を走らせる線路を維持・保守する外部システムを前提としているはずだが、そのあたりが捨象されている点が、ややマイナス。

 結論的に言うと、本映画は決してつまらなくはない。ただ映画を見ても新しい発見があるわけではないし、やはりポン・ジュノの真骨頂は、韓国人であるにもかかわらず、韓国社会に対する異邦人的な視点による洞察力にあると筆者は考えているので、その真骨頂が発揮されない残念な映画とは言えるだろう。実は最近まで本作を見ていなかったのも、結局ポン・ジュノの真骨頂が発揮されない作品ではないかという懸念から敬遠していたのだが、ほぼその懸念を裏付ける結果となった。とはいえ、韓国映画史的に考えると、なぜか韓国映画においてSFがSFとして成立しがたく、大抵はオカルトと融合してしまうことが多いのに対し、まがりなりにもSF映画として成立している点では、画期的な作品と言えるかも知れない。

 結局この映画のポイントは、社会学で言うところの「対抗的相補性」である。例えば、安倍首相と中国の習近平主席の関係がこの「対抗的相補性」的関係である。一見対立しているように見えて、実は相互に「対立」を「演出」することが、その二人にとって相互に利益になるという関係である (ただしその場合国民は不利益を被る可能性が高い)。そしてこの世界が対立しているようであって、実は「対抗的相補性」関係にあって、なにも知らない人々がそれに踊らされているのではないか、というのが本作品の問題意識である。
 それと共に世界をゼロサム関係で見る世界観への批判も読み取れる。そして世界を閉じた系としてみた場合、往々にして対抗的相補性とゼロサム関係が結合しかねない問題状況への批判も含まれるだろう。

 「対抗的相補性」という概念を知らない人にとっては、その発想に発見を見いだすかも知れない。ただ、既に知っている人にとっては、それほど新鮮な発想ではないし、その上に「ノアの方舟」的SFものかという既視感を覚えざるを得ない。

 先に述べたように、やはり、オカルトに走らなかった韓国製SF映画、という点が最大の評価ポイントか。逆にオカルトに走らないためには韓国という舞台を捨てざるを得なかったのか、という気もしないでもない。そして、それはポン・ジュノだからこそ可能だった、ということなのだろうか。


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