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zoom RSS 韓国語の語尾・助詞・表現と文法辞典 (韓国語文法辞典購入ガイド)

<<   作成日時 : 2016/02/19 00:14   >>

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 韓国語中上級の領域に入っていくと、文法のキーになる点、つまり、悩むのは語尾・助詞である。日本語以上に多くの語尾・助詞があって、読む分にはその語尾の意味を辞書で探せば済むだけだが、会話したり作文をするときに、どの場面、どの文脈でどの語尾・助詞を使うのが適切で、適切でないかを判断するのが非常に困難である。最近フォーマルな韓国語の文書を書かなければならない機会があって、改めてどの語尾を選択したらよいのか非常に困った。最終的にネイティブの人にチェックしてもらったが、だいぶ直された。

 というわけで最近文法書 (文法辞典) を買い足したりしてみたのでそのレビューである。

 まず韓国語文法書に扱われている語尾や助詞の日本人学習者から見た問題として、単純にいえば、どれほどその文法書で網羅されているのか、ということがある。いくら文法書の中で探しても、その表現が出ていない、ということが結構ある。あるいは文法書のどこかに出ているのだけれども、その情報が検索しづらい、ということもあるかもしれない。
 あとはその使い方が丁寧に説明されているか、そして使う上で間違いやすい点などが解説されているか、という点も挙げられよう。

 そして最後に、ある表現と同じ機能を持つ、もしくは類似の機能を持つ表現が引きやすいか、そして類似の表現同士の場合、その差 (使用コンテクストやニュアンス) がわかりやすく説明されているか、という点が挙げられる。

 この最初に挙げた問題点に関していうと、外国人から見て結構困るのは、語尾や助詞の縮約形である。例えば韓国語で理由を表わす −ㄴ/는다기에 という表現がある。例えば例文として挙げると、

그 사람들이 제주도로 여행 간다기에 나도 함께 가자고 했어요.
(その人たちが済州島へ旅行に行くというので、私も一緒に行こうと言いました)

 で、この −ㄴ/는다기에 という表現はもともとは −다고 하기에 の縮約形である。このことは韓国人には常識なので、彼らからするとこの表現は −다고 と −기에 (→하다 + 기에)という二つの文法事項に原理主義的には分解されることになる。そしてそれぞれ別々の文法事項として解説されることになる。

 実際、日本で一番定評ある韓日辞典である、小学館の朝鮮語辞典を見ると、−ㄴ/는다기에という表現は掲載されていない。あるのは −다고 −기에 −ㄴ/는다기しかない。
 だが、それを知らない外国人は、−ㄴ/는다기에を探すと、「出てない」、という話になり、これは何だということになる。そして辞書にない俗語なのかと思ってしまう。あるいは「기에」を探してみる。しかし、用言の語幹+기에という用法しか載っておらず、用言の終止形다+기에という用法はない。では誤用なのか、と思ってしまう。

 で、実は小学館の朝鮮語辞典を見れば −ㄴ/는다기という項目には、「−ㄴ/는다고 하기の縮約形:....するということ」という説明があるので、それから類推すれば、−ㄴ/는다기에 は、 −다고 하기에 の縮約形だな、と思いつくかもしれない。とはいえ、もちろんそう思いつく可能性は皆無ではないが、そこまで外国人学習者に類推しろと言うのはそもそも無理というものであろう。従って外国人学習者にはあまり原理主義的ではない、掲載項目の多い文法辞典が使いやすいと言えよう。

 という観点から次の4点の文法辞典的文法書を評価してみる(出版年は翻訳書の場合は原著ではなく翻訳書の出版年)。

○白峰子, 2004,『韓国語文法辞典』, 三修社 (翻訳書)
○国立国語院, 2005,『外国人のための韓国語文法2 用法編』,コミュニケーションブックス (邦訳: 2012,『標準韓国語文法辞典』,アルク)
○李姫子 李鐘禧, 2010,『韓国語文法 語尾・助詞辞典』,スリーエーネットワーク (翻訳書)
○イム・ジョンデ,2015,『中上級ハングル文法活用辞典』,秀和システム

なお、『外国人のための韓国語文法2』は手元に原著しかないので、原著を基準にする。但し本書の翻訳書は一部訳者による補足説明が加筆されているらしいので、翻訳書とは異なるかもしれないことを予めお断りしておく。

○白峰子, 2004,『韓国語文法辞典』, 三修社, 本体定価4600円
 本書が日本で翻訳出版された当時は、まとまった日本語で書かれた韓国語文法辞典は延世大学出版部の『韓国語文法』ぐらいしかなく、それに比べるとはるかに詳しく、非常に画期的な文法辞典が出版されたと喜んで買い求めたし、お世話になった。だが今日では、韓国語専攻者が研究資料、あるいは韓国語文法の規範的資料として活用する以外は、日本人の韓国語学習書としての役目はほぼ終えたと言って良いだろう。
 上に述べた −ㄴ/는다기에 という表現はもちろん載っておらず、さらに、 -다든가 (-다고 하든가 の縮約形。さらに 든가 は  든지 の非標準形)レベルさえ載っていない一番原理主義的な (その意味では規範的な) 韓国語文法書と言える。原著の出版年が書いていないが、訳者が5年掛けて翻訳したと書いているのでおそらく1998年か99年頃に出ているはずである。
 Amazonなどで評が高いのは、これは2000年代(ゼロ年代)以前から韓国語学習を始めた人が絶賛しているからである。もちろんその当時はその評に偽りがなかった。しかし2010年以降、下にあるような、より優れた文法辞典が翻訳出版されるようになったのである。

 なお原著は、2006年に『外国語としての韓国語文法辞典 (외국어로서의 한국어 문법사전)』(出版社: 하우기획출판)として改訂された。こちらは翻訳されていない。また内容も筆者は見ていないのでこれらの点が改善されたのかどうかは不明。

○李姫子 李鐘禧, 2010,『韓国語文法 語尾・助詞辞典』,スリーエーネットワーク (翻訳書), 本体定価4600円
 白峰子本の次に国内で翻訳出版された体系的な韓国語文法辞典。文法辞典としての項目数は増加しているし、口語に用いられる表現か、文語に用いられる表現かの区別なども記されている。また、韓国人自身も取り違えやすい文法的な急所 (例えば 든가 / 든지 と던가/던지 の違いなど。日本語で言えば「ら」抜き言葉のようなレベル) を「アドバイス」というコラムで随所に説明。また関連、類似表現なども記されているので、全般にかなり懇切丁寧な説明がついていると言えるだろう。
 ただ外国人がはまりやすい縮約表現の収録は不十分で、上に例示したうち -다든가 レベルはさすがに載っているが −ㄴ/는다기에 レベルは掲載されていない。原著出版は2006年(『풍부한 관용구를 수록한 어미 조사 사전 - 한국어 학습 학습자용』 出版社: 한국문화사)。但し、韓国語のフォーマルな作文用参考書として活用価値は高い。

 なお、余談だが、ネイティブ韓国人でもスルーしてしまいがちな文法的な誤りに関しては、意味的ではなく形式的に判定可能であれば、ハン/グル(アレアハングル)の文法チェッカーが有用である。ネイティブチェックをしてもらっても結構ネイティブの人もスルーしてしまう誤用は結構ある。日本人だって「ら」抜き表現をスルーしてしまう人が多いことを考えれば、理解できるであろう。

○国立国語院, 2005,『外国人のための韓国語文法2 用法編』,コミュニケーションブックス (邦訳: 2012,『標準韓国語文法辞典』,アルク, 本体定価6600円)
 翻訳書は持っていないので、原著での評価。さすがに「外国人のための」と銘打っているだけあって、外国人がはまりやすい縮約表現も比較的丁寧に拾ってあり、項目数も最大。原著で900ページ以上ある。上に例示した −ㄴ/는다기에 も拾っている。アマゾンでの評に、原著は1000円足らずなのに、7倍以上取るなんてぼりすぎ、と書いている人がいたが、これは何かの誤解。原著でも45000ウォン、しかも翻訳者の追加記載もあって1000ページを超える大部なので (紙が薄いので本の厚さはそれほど厚く見えないが)なので、翻訳の手間、刷り部数を考えると本体6600円は全くリーズナブルな値段。
 関連語 (前につく語が動詞か形容詞か、終声があるかないか等で変化した表現)の解説は詳しいが、類似語の示唆、文・口語の区別はやや弱い。ただ例文を見れば文・口語の区別はある程度つく。このあたり翻訳書で補足されているだろうか?とりあえず4冊の中で1冊を選べと言ったら、本書を間違いなく推薦する。

 なお原書は2色刷でとても見やすいが、翻訳書は単色刷で残念という評があったが同感。ただコストを考えるとやむを得ないか。原著: 『한국어 문법 2(외국인을 위한)(용법편)』 出版社: 커뮤니케이션북스。


○イム・ジョンデ,2015,『中上級ハングル文法活用辞典』,秀和システム, 本体定価2200円
 この4冊の中ではもっとも個性的。また日本オリジナルな文法辞典であり、翻訳書ではない。まず良い点は他の文法辞典に載っていない (外国人が戸惑いやすい) 縮約表現が載っていること。例えば −다길래 という表現が載っているのはこの4冊の中では本書のみ。また類似表現の微妙なニュアンス差を比較しながら詳しく解説している点も良い。韓国で出された文法書の翻訳ではない、オリジナルの日本人学習者のための文法書を、という意気込みが感じられる。
 一方、「中上級」と銘打っているように、中上級の人でも迷うような表現に重点を置くということで割り切っている。従って初級で習うような表現は省かれており、収録表現数は控えめ。これは初級に関しては今後著者が別途文法活用辞典を執筆する予定のようだ。また文・口語の区別の説明もないが、どうやら基本的には口語・会話で使う表現のみに限っているようだ (もちろん口語・文語共通に使う表現は扱われているが、文語のみの表現は省かれているようだ)。従って「中上級ハングル会話文法活用辞典」と銘打った方が正確だと思われる。もちろん、縮約表現の多くは会話、口語であることが多いので、文語表現に関しては他の文法辞典を見ればよいと割り切ってしまえば問題にならないだろう。この一冊ですべての文法を済まそうというのは無理があるが、中上級の人たち向けの2冊目の会話文法辞典として好適。あるいは、ネット上のブログやSNSなどの口語体が多用される文書を中心に勉強したい人には必携だろう。逆にビジネス韓国語などフォーマルな韓国語中心に勉強するなら必ずしも必要ではない。2色刷なのも見やすい。


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