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zoom RSS 北朝鮮に対する日韓評価の相違点 - 金正恩の北朝鮮は崩壊しない (3)

<<   作成日時 : 2014/07/04 01:30   >>

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 このあと日本人ジャーナリスト・平井久志氏(元共同通信)と津田塾大・朴正鎮氏を交えてコメントと論議が交わされた。平井氏のコメントはある種、日本側の見方の典型ともいえるものなので、紹介してみよう。

 金教授の金正恩政権への評価は全般的に過大評価。確かに金正恩の権力掌握能力については過小評価していたのは認める。軍については確かに父の影響力を一掃したと言えるかも知れないが、党では除去できていない。張成沢の処刑も、元々保衛部と張成沢率いる行政部の対立があり、その権力闘争に乗って行ったもの。
 外交面では、金正恩の全方位外交はすでに金正日晩年に方向性が出されており、金正恩のイニシアチブで行われたとは言えず単なる継承ではないのか。しかも金正恩継承後の対外関係はブレがひどい。対米関係は進展がなく、対中関係では今だ金正恩の北京訪問は許されておらず、外交面で何の成果も上げていない。金正日も金日成死後北京訪問までに6年かかっている。
 北朝鮮の経済面では、市場経済と言うよりは市場(いちば)経済という程度の規模しかなく過大評価すべきではない。今経済が上手く行っているように見えるのは、農業に「直接指導」などヘタに手を出さなかったことが幸いしている。これは朴奉珠/金敬姫の功績。金正恩の直接指導で推進しているリゾート開発などは、大量の外貨導入が必要で、やるなら「今じゃないでしょ」という感が強い。


金正恩政権の評価に関する韓国北朝鮮専門家側(これは決して韓国政府の見解ではない点に注意)と日本側の相違点をまとめてみると

金正恩がリーダーシップを発揮した政策運営を行っていると見る(韓国側)か、単に父親の敷いた路線を惰性で進んでいると見る(日本側)か

北朝鮮は外交上、他国への依存度を低め自律性を高め、外交上の選択肢を広げて是々非々の駆け引きを駆使していると見る(韓国側)か、未熟から来るご乱心に近い外交政策のブレと見る(日本側)か

北朝鮮の市場経済は順調に発展してきており、もはや後戻りまでできないところまで拡大していると見る(韓国側)か、今だ、市場(いちば)経済の域を脱しておらず北朝鮮の体制に与える影響は限定的であって元に戻る可能性もあると見る(日本側)か

リゾート開発への注力も、経済発展に支えられた自信から来る大胆かつ的を絞った経済・政治政策の一環と見る(韓国側)か、単なる若い首領の気まぐれ [もっと他にやることがあるはず] と見る(日本側)か

現在の北朝鮮の経済的好調も、金正恩のリーダーシップの成果と見る(韓国側)か、単なる偶然の産物 (主として朴奉珠の置き土産のお陰) で、好調さの規模も限定的と見る(日本側)か

というあたりになるだろう。

 また、面白かったのは、朴正鎮氏の韓国の北朝鮮政策に関する質問への金根植氏の回答の中で、今の韓国政府・朴槿恵政権の北朝鮮政策に非常に手厳しい批判が含まれていたことである。その趣旨は以下の通り。
 韓国政府の対北政策図式は、強硬−柔軟の差はあるものの、根本的に盧泰愚政権時代から変わっておらず、北朝鮮が崩壊したらどう包摂・統一するかという図式しかない。北朝鮮がかつての敵である日本と手を組むかもしれないというような突発的状況変化に何の対応策も考えていない。
 朴槿恵政権の特徴は希望的観測に基づく頑固さとでも言うべきものだ。習近平とはお友達だから、中国が北朝鮮を何とかしてくれるだろう、とか、日本の安倍政権が慰安婦問題で文句をつけてきたらアメリカが何とか牽制してくれるだろうとか、現実を直視せず単なる希望的観測で走っている。だがもはやそんな希望だけではダメだ。

 それとフロアからの質問への金根植氏の答えで目から鱗が落ちたのは、金正恩と金正日の政治スタイルの違いについてであった。
 金正日は、92年に一度姿を見せただけで、写真以外に国民に自分の姿を見せることは一切なかったという。だから国民は金正日がどんな声なのかも全く知らなかったという。それに対し、金正恩は夫人の李雪柱を連れて、あちこちに指導に歩く自分の姿をTVを通じて度々放映させており、国民に対して大きく政治スタイルが変わったと強くアピールしており、苦難の行軍の時代に戻らないという決意表明と併せて、国民の大きな支持を勝ち得ているという。
 このような金正恩の父とは異なるスタイルについて、非公式な観測では、金正恩は父に対して母を日陰者扱いしていたと強く憤っており、自分は父のように自分の妻を日陰者にせず最後まで守り抜くという姿勢を見せているのではないかと言われているという。

 この点は全く知らなかった。つまり父の金正日は、戦前の天皇と全く同じような存在だったということである。日本国民も、敗戦の詔ではじめて昭和天皇の肉声に接したのであった。それが、金正恩になって国民の前に姿を現すようになったことは、まさに戦後日本で「人間天皇」が全国を行幸したのと同じインパクトがあるはずである。この様なスタイルの違いは、確かに国民からすれば、まさに金正恩とともに、新たな希望の時代が幕開けしたと強くアピールするだろうなと思わされた。そして国民からの支持率の高さも非常にうなずけるものである。

 この二つの機会を通して、韓国の北朝鮮問題専門家(全員がそうなのかはわからないが)は日本側より高く金正恩政権の統治能力を評価していることが明らかになった。そしてその違いとは、日本側が「上から目線」ならぬ「外から目線」でしか金正恩政権を判断していないのに対し、韓国側が高く評価する理由は、おそらく、北朝鮮国民のリアリティに関する情報、「国民目線」での情報をより多く入手しているためだと推測される。

 もちろん「国民目線」の情報をより多く入手すればより正しい判断が下せる、とは限らない。「国民目線」に引きずられて誤った判断を下す可能性もある。それは、ちょうどかつて日本が日中戦争に乗り出したとき、日本国民は「中国を救うために」日本が中国に出兵しているのだと信じていたが、結局第二次大戦に負けてみるとそれは全くの錯覚だったことが明らかになったように、「国民目線」が常に正しいとは限らないからである。今の北朝鮮国民の金正恩に対する期待も、単なる幻影もしくは騙されているだけかも知れないのだ。
 とはいえ、北朝鮮国民が金正恩政権になって大きく前向きに変わったと信じ、政権に高い支持を寄せているという事実は重要だ。


[この項続く]

[前項記事]
http://yohnishi.at.webry.info/201407/article_3.html


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