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zoom RSS 金正恩の北朝鮮は崩壊しない (1)

<<   作成日時 : 2014/07/02 06:55   >>

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 6/26立教大学の公開講演会「金正恩時代の北朝鮮のメディア文化と住民の生活における韓流」に出かけてみた。講師は韓国の北韓大学院教授、李宇榮氏。この中で北朝鮮では、市場経済の拡大はもはや後戻りできない状況にあり、この中で、現在でも公式には韓国の情報に接することは違法とされていながらも、実際にはかなり黙認されているという。その中で韓流ドラマなどが海賊盤VCDやUSBメモリへの複写などの形でかなり入り込んでおり、平壌では若い世代の間で韓国ドラマ『シークレットガーデン』でヒョンビンが着ていたようなトレーニング服の流行が確認されている、といった状況が報告された。また、韓流コンテンツを含む中国テレビの視聴や、海外ラジオ放送を聞くことも、おおっぴらには出来ないがある程度黙認されているという。これは恒常的な電力不足によりかつてのように海外放送を妨害する妨害電波を恒常的に発信することが困難になっていることも手伝っているようだ。

 但し、このような北朝鮮における韓流ブームの大きさを過大評価すべきでないということも指摘され、外来文化のうちもっとも人気があるのは中国映画・ドラマで韓流コンテンツは第2位、また都市部の若者層では、韓流コンテンツ人気はハリウッド映画の次に落ちているという調査結果もあり、さらにこのような韓流文化(あるいは他の外国文化)の流入が体制崩壊につながるなどという見方は早計であり、あくまでも北朝鮮社会において限定的影響しかないということは注意しなければならないと指摘していた。

 そして金正恩の北朝鮮の体制把握、そして政権運営は現在非常に上手く行っており、北朝鮮では不安定要因がなくなり、安定的な統治がなされるようになったと考えられるという。特に経済面で金正日時代よりも改善しているという。金正恩は現在「親人民」「公開性」を政策スローガンとして掲げているが、この具体的内容とは若い世代重視であるという。海外からは批判的な目で見られがちなスキー場等のリゾート建設などは、この若い世代重視の象徴であり、海外の娯楽文化流入への寛容もその一環と見られるという。また金正恩政権は、携帯電話の大幅な普及などに見られるように、かつてのような情報統制を行うということはもはや不可能だということを十分理解しており、その中で行われているのは情報統制の「選択と集中」だという。つまり娯楽文化などのような規制をゆるめても害の少ないと思われるものはある程度寛容になる一方、政治的ニュースなどは徹底的に統制するということをやっているのだという。

 また、日本から見ると金正恩が対外融和に出るのか強硬に出るのか政策がふらついているように見え、安定性を増しているとは思えないという質問に対しては、第一に、金正日が病を抱えていつ倒れるかわからない、という状況の方が、国内的には不安定であり、若くて健康な指導者が出たということ自体が、安定性を増していると考えられること、また張成沢の処刑については、国民の間で張成沢に対する不満の声が高まっており、それを知って処刑に踏み切ったのであり、国内世論的には歓迎されている、そういう意味では金正恩政権は北朝鮮世論を非常に正確に把握していると言えるという答えであった。

 また、この講演の直前に上映された北朝鮮映画の中で出てきた子供たちがディズニーらしきキャラクターのついた鞄等を持っている場面に関連した質問で、北朝鮮にディズニーのアニメは知られているのか、という質問に対しては、ディズニーは以前から北朝鮮(および韓国)に広くアニメ製作の下請けをやらせていることは知られており(と言っても日本では全然知られていなかったと思うが... )この下請け作業を通じて北朝鮮国民には以前からディズニーのキャラクターはよく知られていたという。
 つまり皆さんが『アナと雪の女王』を見に行けば、間接的に北朝鮮を支援していることになる、という訳である。

 以前、北朝鮮が規制の緩い万国著作権条約ではなくベルヌ条約加盟国であるのを知って1) 驚いたことがある。そもそもあまり北朝鮮の著作権コンテンツに国際競争力がさほどあるとは思えないので、万国著作権条約ではなくベルヌ条約に加盟するメリットが北朝鮮にあるとはとても思えなかったからだ。一般に、自国コンテンツの国際競争力が弱く、他国コンテンツの力が強い場合は、著作権遵守条件の緩い万国著作権条約に加盟した方が有利なのだ(自国で他国のコンテンツを守る条件が緩くなる一方で、自国コンテンツの保護も他国に緩い保護を要求する権利しか生じない。ただそれは直ちに他国が緩い保護を提供することを必ずしも意味しない)。だが、それもディズニーから仕事を受けるのに必要だったからだとすれば、非常に納得がいく。

1) ベルヌ条約加盟国については以下のWIPO(世界知的所有権期間聞機関)サイトを参照。
http://www.wipo.int/treaties/en/ShowResults.jsp?lang=en&search_what=B&bo_id=7

[この項続く]
http://yohnishi.at.webry.info/201407/article_3.html


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 やはり先週末都内で行われた別の北朝鮮関連ワークショップ。こちらでは韓国で北朝鮮問題となると必ずテレビにコメンテーターとして呼ばれる(但し最近は、韓国の北朝鮮問題への関心の薄まりから、あまりコメンテーターとして呼ばれる機会が少ないそうだが)金根植・慶南大教授をメインパネリストとして呼ばれて行われた。 ...続きを見る
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2014/07/03 21:53

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