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zoom RSS 孫崎亨『戦後史の正体』は陰謀論か?(2)

<<   作成日時 : 2014/06/25 23:54   >>

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 これ以外に、本書の面白かった点を挙げると、

 元外務大臣、寺崎太郎の「行政協定のための安保条約、安保条約のための平和条約でしかなかったことは、今日までに明らかになっている」「つまり本能寺[本当の目的]は最後の行政協定にあったのだ」という『寺崎太郎外交自伝』(私家版)での指摘の紹介(行政協定=日米安全保障協定、平和条約=サンフランシスコ平和条約)。(p117-118)

 また意外だったのは、1960年の日米安保条約改定の位置づけ。孫崎氏は、吉田茂首相が推進した第一次安保条約は、米軍が好きに日本に基地をおける一方、米軍には何の責務も負わせない、日本にとって何のメリットもない条約だったと指摘する一方、岸首相が推進した安保改訂は、米国に、「自国の憲法に従って」という条件付ではあるものの、日本を守る義務を明記させた、不平等条約から双務的条約に改訂したと評価。
 また、当初米軍は「日本の施政下」に限らず「太平洋」全域で米軍と共に行動することを約束させようとしていたのを、武力の行使に「国際連合の目的」という枠をはめ、日本の施政下にあるところへの攻撃、相手からの攻撃がある場合のみとさせた点も評価している。

 仮にそれがあっているならば、その意味では安倍現首相の推進しようとしている「集団的自衛権」論議は、祖父の意に反するアメリカへの全面屈服に他ならない、ということになる。

 また改めて60年安保の意味は何だったのかは考えさせられる。

 ただ、孫崎氏が指摘する、CIAと取引のあった岸が意外に対米自立派だったという点は、本当なのかという疑問が残る。岸は従米を意図していたが、官僚たちが、期限の切れる安保の再延長にこれだけの反対があるのだから、現状のままでの再延長はとうてい国民の理解が得られないとお膳立てに動いた可能性はあったのではないか。それが孫崎氏がそれを「岸首相の意図」と見た可能性は否定できない。孫崎氏の解釈は「当時の日本政府の意図」としては正しくても、それを「岸個人の意図」と解釈することには疑問の余地があるのではないか。
 また沖縄返還交渉の下交渉役に若い政治学者若泉敬氏が起用されたのは、沖縄返還交渉自体が日本側(外務省)のイニシアチブで始められたのではなく、アメリカ側のイニシアチブ(おそらくライシャワー氏の)で始められたから、という解釈もなるほどと思わされた。ただそれが佐藤首相との意思疎通不十分を生み、繊維密約を巡るトラブルを生むとともに、後々禍根を残したという指摘も興味深い。

 また、外交音痴とされていた鈴木善幸首相への高い評価も面白い。そして、湾岸戦争時、日本の財政的貢献は国際的に評価されていたにもかかわらず、なぜか評価されていないという話が日本のメディアに流布されたが、その情報の発信源はアマコスト駐日米大使という指摘(本書 p.318-9)も重要であろう。

 イラン、パーレビ王朝の崩壊につながったイラン革命も、本書によればイラクのフセイン政権同様であり、今まで米国の子飼いだったパーレビ国王が増長し手に負えなくなったので、米国がパーレビ打倒の動きに手を貸したためだという。この事実は知らなかった。だが、そうだとすれば米国は大きな失敗をしたと言える。ちょうどイラクのフセイン政権を倒した後、アメリカが状況をコントロールできなくなったのと同様に...

[この項続く]

前回記事
http://yohnishi.at.webry.info/201406/article_4.html

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孫崎亨『戦後史の正体』は陰謀論か?(3)
 そして、これは孫崎氏だけではなく、他の国際ジャーナリストらも指摘していることであるが(それにもかかわらず日本において主流の認識になっていない)、1980年代後半以降、特に1989年の冷戦体制崩壊以降、アメリカの最大の敵は、冗談ではなく、日本になっていたにもかかわらず、日本側には全くその自覚がなかった、という指摘の重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。  ドルショック、銀行へのBIS規制の導入、そして本書に指摘はないが、日本企業への国際会計基準の適用など、アメリカの組織的な日本経... ...続きを見る
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