yohnishi's blog (韓国語 映画他)

アクセスカウンタ

zoom RSS 改めて、台湾映画『海角7号』が提示していた日本人像が示唆するもの

<<   作成日時 : 2014/01/01 21:43   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

 年末韓国に行ってきたのだが、改めて韓国における福島原発事故に伴う水産業界における風評被害ぶりを確認。向こうの人の話では、魚類、海鮮料理店の売り上げは80%減少、店をたたむところも後を絶たず。会社の会食では(韓国の飲食業界では、この売り上げが重要)、海鮮料理店に行くことは絶対あり得ないという状況。もちろん韓国政府は東海(日本海)側に放射能汚染はないと言っているが、だいたい韓国人は政府の言うことをあまり信じない1)。
 日本のビールとして確固たるブランドイメージを確立しているアサヒビールでさえも、福島に工場があるという理由で敬遠傾向が広がる中、韓国の新聞に缶ビールの製造記号からどこの工場産なのかを識別する情報が載るという状況である2)。

 そういう中で昨年夏の韓国政府による福島県周辺地域産の水産物類輸入禁止措置は、以前にも指摘したように3)、風評被害をいくらかでも少なくするための最小限度の措置であった。韓国の措置は科学的でない、日本政府がきちんと検査して出荷している筈ではないかという日本側の反論はあるが、そもそもこれは、まず第一に韓国人の心情に対応した措置であり、さらに自国政府も十分信じない韓国人に日本政府を信じろと言うのはどだい無理な話である。

 問題は、この措置が日本のオリンピック立候補に対する韓国側による妨害行動であるという、極めて被害妄想的見方が日本で広がったことである。だが、日本のイメージダウンを狙ったものであれば、これも既に指摘したが、日本全土からの水産物輸入を禁止すればよい話である。
 これがネットの上での話であればそれもありなんとも思われるが、さらに呆れてしまったのは、これが雑誌等の主要メディアに、韓国側への十分な取材もなく、堂々と掲載されたことである4)。東京五輪妨害説を堂々と主張する「識者」の被害妄想、半可通ぶりもさることながら、そういう人たちの見解がメディアに「識者」の見解として紹介されることも呆れてしまう。

 東京五輪誘致に、福島原発汚染水垂れ流しは、世界各国から不安材料とみなされたのであって、ひとり韓国からそうみなされた訳ではない。だから安倍首相は福島汚染水のコントロールを国際公約せざるを得ないところまで追い込まれたのである。だが、それと韓国対日水産物輸入禁止措置は別物であって、これは正に韓国の水産業界の死活問題なのである。これまで韓国政府が再三にわたって過度にこの問題に過敏にならないよう呼びかけてきたにもかかわらず、国民がその言を信頼してくれないため、ここにいたってこのような措置に追い込まれたものに過ぎない。

 そこで思い起こされるのは、かつて2009年に製作された台湾映画『海角7号』5)。この映画は、国内の一部からは「親日映画」として歓迎された。だが、この映画で描かれた日本人(田中千絵演ずる「友子」)は、ひとりで空回りしたあげく被害妄想気味のヒステリーを爆発させる人物として描かれている。『海角7号』は台湾を構成する諸民族(およびその要素)を、いささかカリカチュア化されたステレオタイプとして描くことを通じて、台湾のアイデンティティを探る作品であったが、そのなかで日本人が「ひとりで空回りする被害妄想気味のヒステリー」として描かれたということの意味は決して軽視できない。そして、韓国の日本産水産物輸入禁止措置への日本国内の反応を見ると、この『海角7号』で描かれたステレオタイプ的日本人イメージが決して根拠のないことではない、ということを改めて確認させられるように思われるのである。




1) この韓国人の政府に対する不信ぶりを非常にカリカチュア的に表現し、韓国で大ヒットした映画がポン・ジュノ監督の『怪物(グエムル)』であったが、日本では大コケした。逆に言えば、日本人は彼らの政府・体制不信の心情的部分は全く理解できないということである。

2)例えば「アサヒビール福島産?裏返してみたら... - ロッテ酒類『福島製品は正式輸入なし』底面に生産工場表記」マネートゥデイ 2013.8.27付記事(韓国語)
http://news.mt.co.kr/hotview.php?no=2013082714500278543&type=1&sec=S&hid=201307301515524377&hcnt=84&vgb=hot
もちろんこの記事は、アサヒビールの放射能不安を煽る記事ではなく、沈静化を図る記事である。

3) http://yohnishi.at.webry.info/201309/article_4.html 参照

4) 例えば 鈴置高史「なぜ、韓国は東京五輪を邪魔したいのか」(日経ビジネスオンライン 2013.9.26) http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130924/253788/?rt=nocnt

島田耕「なぜ?不可解な韓国の水産物全面禁輸 唐突なタイミング…東京五輪落選狙い? 」(SankeiBiz 2013.9.11) http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130911/mcb1309110600019-n1.htm

「露骨な嫌がらせが水泡に帰した「韓国」の歯ぎしり」(週刊新潮2013.9.19号掲載)


5) 次の当ブログ記事参照 http://yohnishi.at.webry.info/200901/article_9.html


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
孫崎亨『戦後史の正体』は陰謀論か?(3)
 そして、これは孫崎氏だけではなく、他の国際ジャーナリストらも指摘していることであるが(それにもかかわらず日本において主流の認識になっていない)、1980年代後半以降、特に1989年の冷戦体制崩壊以降、アメリカの最大の敵は、冗談ではなく、日本になっていたにもかかわらず、日本側には全くその自覚がなかった、という指摘の重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。  ドルショック、銀行へのBIS規制の導入、そして本書に指摘はないが、日本企業への国際会計基準の適用など、アメリカの組織的な日本経... ...続きを見る
yohnishi's blog (韓国語...
2014/06/29 09:45

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
改めて、台湾映画『海角7号』が提示していた日本人像が示唆するもの yohnishi's blog (韓国語 映画他)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる