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zoom RSS 神風特攻隊とイスラム「自爆テロ」をつなぐもの (1)

<<   作成日時 : 2013/09/14 07:15   >>

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 先日、9.11は世界貿易センタービルに「自爆テロ」攻撃の旅客機が突撃して多数の死者が出てから12周年だった。当時この「自爆テロ」は国際的には"Kamikaze Attack"と報じられ、それに対し、日本のメディアからは「神風」とイスラム「自爆テロ」とは関係ない、一緒にしないでくれ、との反発の声が発せられたように記憶している。

 だが、本当に関係ないのか、むしろ、やはり、深い因縁があるのではないかと当時からずっと考えていた。つまり、イスラムの「自爆テロ」は、1972年、日本赤軍によって起こされた、イスラエル、テルアヴィヴ・ロッド空港乱射事件を経由して「カミカゼ」の影響を受けているのではないか、と私はずっと考えてきたのだ。

 私が当時からそう考えてきたのは次の理由からである。イスラム=「自爆攻撃」と誤解している人も多いと思うが、そもそもイスラム圏では1980年代初頭まで「自爆攻撃」は一切存在しなかった。イスラム圏で初めて「自爆攻撃」が行われたのは、1983年に、イスラエルが南レバノンに侵攻した1)際に、ヒズボラによって行われたものとされている。

 それ以前にアラブ圏/イスラム圏で「自爆攻撃」が存在しなかった理由は、イスラム教では元々、キリスト教同様、「自殺」は神に対する罪であると厳しく禁忌されてきたからである。多くの人は良くご存じなく、かつ誤解していると思うが、元々ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は同じルーツを持つ。ユダヤ教から派生したのがキリスト教、それから派生したのがイスラム教である。イスラムの最高聖典は「クルアン(コーラン)」であることは間違いないが、同時に旧約、新約聖書も聖典として引き継がれている。ヤハウェもゴッドもアラーも本来は同一の神であり、ただそれに対する信仰の様式が異なるだけである。そしてムスリムもクリスチャンと同様、自分たちがアブラハムの子孫だと信じているのである2)。従ってイスラム教においてもキリスト教徒同様自殺禁忌は引き継がれているのである。
 なお、アラブ圏=イスラム圏ではないことに注意して欲しい。アラブ人の中には少数派のキリスト教徒も含まれ、その少数派のキリスト教を含んだ全アラブ圏で自殺禁忌が存在していたということである。

 しかし、1972年5月30日、日本赤軍によって行われた「カミカゼ・アタック」(テルアヴィヴ空港乱射事件)に全イスラム圏は衝撃を受けた。一つは、それまでアラブ圏/イスラム圏に全く存在しなかった「自殺攻撃」という概念に彼らは初めて接したこと。そして、それが全く違う文化圏に属する(従ってアラブ人が全く思いも付かない攻撃方法を考え出した)日本人によって、アラブのために行われたこと3)。そして最大の影響は、1967年の第三次中東戦争によって、アラブ=パレスチナ側はイスラエルに完膚なくまでに叩きのめされ、軍事的・政治的に全くの閉塞状況であった中、この事件がアラブ側にとっての唯一の胸のすく報復であったことである。
 日本では、怪しからん日本人テロリストによって起こされた国際的恥辱であり、汚点とされたこの事件、しかしアラブ側にとっては賞賛すべき英雄的行為であり、「日本はアラブの友だち」だと、大きく日本のイメージアップ(アラブ側に錯覚させること?)に役だった。
 事実、テルアヴィヴ空港乱射事件の唯一の生存者、岡本公三はアラブの英雄としてあがめられ、イスラエル当局に逮捕され、1985年にイスラエル=PFLPの捕虜交換により釈放された後も、中東の支援組織によりかくまわれている。また1997年、岡本は他4名の日本赤軍メンバーと共に偽造旅券容疑でレバノン当局に逮捕され、3年の懲役を科せられるが、刑期終了後4名は日本に強制送還されたのに、岡本だけは送還されなかった。レバノン当局も中東の英雄である岡本を送還「できなかった」のである4)。
 また、1979年イラン革命で、アメリカがイランに持っていた石油権益がすべて革命政府によって取り消されたのに対し、日本はずっと石油権益を認められてきた。この背景には、日本赤軍のお陰で出来た中東における「日本はアラブの友だち」という「錯覚(?)」があったことは否定できないだろう。しかしアメリカの顔色ばかり伺っていた日本政府はそのせっかくの権益も、2006年自ら手放してしまう5)。
 そして中東で活動していた日本企業も、この「日本はアラブの友だち」という錯覚を大いに享受したはずである。欧米企業は度々中東地域でテロの対象になってきたのに対し、確か日本のイラク戦争支持まで、中東地域における日本企業や日本人を狙ったテロはほとんど起こっていないはずだ。テロリストにとって「アラブの友だち」である日本を狙うなどという恥ずべき行為はあり得なかったはずだ。それによって日本企業は安全対策に掛けるコストを大幅に節約できたはずである。日本企業こそ「テロリスト」日本赤軍のお陰で大いに得をしてきたはずなのだ。
 それが、日本によるアメリカのイラク攻撃支持で一変してしまったのはご承知の通り。「日本はアラブの友だち」という錯覚が消えたことで、その後何度日本人や日本企業がイスラム圏でテロの対象になったことか。なまじそれまで日本人がテロ攻撃対象になることが少なかった分、欧米企業よりも対策が疎かだったのだろう。また日本がイラク攻撃を支持しなければ、アルジェリアにおける「日揮」の悲劇もなかったことだろう。

 それだけテルアヴィヴ乱射事件における日本赤軍による「カミカゼ・アタック」のアラブ世界への影響は、日本人が考えている以上に非常に大きなものだったのだ。これが、1983年以降のイスラム「自爆テロ」に影響を与えていないと考える方が、どう考えても無理というものである。

 だが、自殺を厳格に禁忌していたムスリムが、どういうロジックで「カミカゼ」を受け入れることが可能となったのか。その点が、私の個人的な謎であった。
(以下次回記事に続く)

1) この侵攻は、アリ・フォルマン監督によるイスラエルアニメ『バシールとワルツを(公開邦題: 戦場でワルツを)』で描かれた戦争である。
http://yohnishi.at.webry.info/201006/article_6.html 参照

2) 例えば、以前紹介したドキュメンタリー映画『エンカウンター・ポイント』(http://yohnishi.at.webry.info/200809/article_2.html) を見ると、ユダヤ人に対し憎悪を募らせるパレスチナ人に対し、平和を志向する活動家が、同じ聖典を共有するもの同士争ってはいけないとクルアン(コーラン)にあるのに、それに反するのか、と説得しようとする場面が見られる。

3) 因みに日本赤軍はパレスチナ解放人民戦線(PFLP)と強いつながりを持っていたが(Wikipedia日本語版「日本赤軍」の項参照 )、PFLPは元々パレスチナ・キリスト教徒地域を本拠として生まれ(Wikipedia英語版「Popular Front for the Liberation of Palestine」の項参照。日本語版には詳細な記述なし)、イスラム色はほとんどない。

4) Wikipedia英語版「Kozo Okamoto」の項を見ると、レバノン当局は「彼は反イスラエル抵抗作戦に参加し、イスラエルの監獄で拷問されてきた」という理由で送還しなかったとある。この情報の出典は "Japanese Red Army member Okamoto wants to return to Japan". Lebanonwire. May 6, 2003. Retrieved September 6, 2011.(http://www.lebanonwire.com/0305/03050601KDO.asp)である。

5) 例えば、森永卓郎「新政権は米国と対等に付き合える外交力を磨くべきだ」(2009.8.31日経BP SAFETY JAPAN) http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090831/177671/?P=1 参照

次回記事
http://yohnishi.at.webry.info/201309/article_10.html

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
日本の恥。
たくま
2015/11/26 00:30

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